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『万葉集』を読む (相聞)

万葉集には相聞、いわゆる恋愛の歌が多いが、その内容(経緯)はどれも生々しい。
そうでなければ、恋愛の強い思いの言葉を紡げなかったのかも。

あまり知られていないが、高市皇子(たけちのみこ)、穂積皇子(ほずみのみこ)、但馬皇女(たじまのひめみこ)の三角関係の歌が万葉集にある。

高市皇子の家にいる但馬皇女が、穂積皇子を恋い焦げた。
高市皇子は穂積皇子を近江の志賀の山寺に幽閉した。



以下は万葉集から・・

但馬皇女の高市皇子の宮に在います時、穂積皇子を思ひて作らす歌一首
秋の田の穂向きのよれる片寄りに君によりなな言痛(こちたかり)とも(万2-114)
【通釈】秋の田の稲穂が一つの方向に向いているように、私はひたすらあなたの方に寄りかってしまおう。世間の評判がいくらうるさくとも。


穂積皇子に勅みことのりして、近江の志賀の山寺に遣はさるる時、但馬皇女の作らす歌一首
おくれゐて恋ひつつあらずは追ひしかむ道の隈廻(くまみ)に標結へ我が兄せ(万2-115)
【通釈】後に残って恋しがっているよりは、いっそ出掛けて行ってあなたに追いつきたい。道の曲がり角ごとに、目印を結びつけておいて下さい、あなた。


但馬皇女の、高市皇子の宮に在います時、穂積皇子にひそかにあひ、事すでに形あらはれて後に作らす歌一首

人言(ひとごと)をしげみ言痛(こちたみ)生ける世にいまだ渡らぬ朝川渡る(万2-116)

未渡 朝川渡

いまだ渡らぬ朝川渡る


とは実際に、朝、高市皇子の家を出て、川を渡ったのであろうか??
別の意味があるのだろうか……



以上の解釈は折口信夫による解釈。


【通釈】人の評判が余りうるさく煩わしいので、生まれてこの方経験したこともない程、衣に袖を濡らしています。



冒頭の写真は以下よりお借りしました。




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文字を媒体にしたものはnoteに集中させるため
Facebookより移動させて少しリライトしました。


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