『万葉集』を読む (漢字)
万葉集は謎解きが多いので、不思議な感覚になる。
「私はこんなことを感じたよ、見つけたよ」
と自分ひとりで悦に入ることが多いのだ。
例えば次の歌。
世間乎 宇之等夜佐之等 於母倍杼母 飛立可祢都 鳥尓之安良祢婆
読めない! けど・・
この中にある漢字で目につくのは・・
世間・夜・母(2回)・飛・都・鳥・安・良・婆
こんな世間に住んでいると、夜になると、母を思い、都を思い、飛んでいきたくなる。もしそうできたらどんなに安らかだろう(ではないだろうか?)
まだこの時期は「かな」がなく、音を漢字に対応させている。ある程度の制限はあるにしても、その選択肢は相当広くなる。意識的に上のような漢字を選んでいるのだろう。
この歌は実はみなさんがご存知、山上憶良の「貧窮(ひんぐ)問答歌」
世間を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば
よのなかをうしとやさしとおもへどもとびたちかねつとりにしあらねば
世間乎 宇之等夜佐之等 於母倍杼母 飛立可祢都 鳥尓之安良祢婆
憂しとやさしと・・いきて行くのはつらく耐え難い
現代でも、いや現代だからこそ、このようなことを思う若者も多いのではないだろうか。
万葉集をもう一度じっくりと紐解くと、これほど心に響く書物は珍しいです。
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文字を媒体にしたものはnoteに集中させるため
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