トゥルゲーネフ(著)『初恋』を読む。
私は、新刊書はほとんど読みません。
なぜなら古典と言われている小説はまだまだ無数にあり、読みたい小説がたくさんあるからです。それに何よりも価格が安いからです。世界の(当時の)ベストセラーが一冊百円で読めるのですから、こんなにありがたいことはありません。
今回読んだ古典は、トゥルゲーネフの『初恋』です。トゥルゲーネフは通常ツルゲーネフと表記しますが、翻訳者の沼野恭子さんが、トゥルゲーネフを推奨していますので、それに従いました。
トゥルゲーネフの小説は『猟人日記』を読んだことがあります。ロシア文学には似合わない、やさしいまなざしの文章で、とてもすてきな時間を過ごさせていただきました。
この『初恋』もとてもやさしく翻訳されています。読みやすいですし、短いですから、ゆっくり読んでもそんなに時間を取りません。ぜひ一文一文を味わいながら読んでみてください。
この本のタイトルは「初恋」ですが、実はこの本は、思春期から人生の終わりまでを、少年(十六歳)の眼差しで映し出した物語です。
最初は激しく燃え、他の人が顔をしかめるくらいに騒ぎますが、やがて、この恋は、本当の愛とは何かという問題に突き当たり、深く沈み、やがて、美しい思い出になるまでを描いています。
1833年のお話という設定になっていますので、今から180年以上も前の物語です。
トゥルゲーネフはこの『初恋』をとても愛していました。次のような文章が残っています。
これは、今にいたるまでずっと私の喜びをもたらしてくれている唯一の作品です。なぜなら、人生そのものであり、作り物ではないからです……。『初恋』は身をもって体験したものなのです。
まさしく、この小説は人生そのものです。美しい人生……。人生って、その過程でいろいろありますが、結局はこんなにも美しいものなんだなあと感じることのできる作品です。
私が読んだのは図書館から借りてきた本でした。図書館から借りることは滅多になかったのですが、一冊(それは『ラディゲ全集』でした)借りると、返しに行った時に次の方を借りてしまいますね。
それもまた縁だと思い、楽しんでいます。
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