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『万葉集』を読む (嫁菜)

万葉集は日本の詩歌だから、当然のようにその当時の日本各地の風土、つまり地理や気候、風習に依存している。

例えば瀬戸内海の流れが急な場所は、昔は手で漕いで往来していたので、激流に巻き込まれて遭難することも数多くあっただろう。

柿本人麿が讃岐の国の狭岑(さみね)島(現在の香川県坂出市)を訪れた時に、岸の岩場に倒れていていた行路死者を詠んだ歌。(221番)

妻毛有者 採而多宜麻之 作美乃山 野上乃宇波疑 過去計良受也

妻もあらば 摘みて食げまし 沙弥の山 野の上のうはぎ 過ぎにけらずや

つまもあらば つみてたげまし さみのやま ののへのうはぎ すぎにけらずや

「うはぎ」は別名を「嫁菜(よめな)」という野草で食べられる。

現在でもおひたしにすると美味しいという。「嫁菜(よめな)」という言葉がいいですね。

現代語訳は・・
もしこの人に妻があれば「嫁菜(よめな)」を摘んで食べさせてくれただろうに、こんなところで行き倒れになって、もう嫁菜も季節を過ぎてしまったではないですか、可哀想に。

柿本人麿の細やかな心遣いが感じられます。



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文字を媒体にしたものはnoteに集中させるため



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