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短歌のおもちゃ箱8

今日は、卒業の日の短歌です。私の勤務校では3月1日でした。

・生徒らが輪になり歌う「ディアフレンズ」その中心に私をおいて

・三年間やり抜くことの報われるそんな思いの弥生朔日

・「先生が担任でよかった」無口なる子が呟くを喜びとする

・十八の乙女が次々ハグをしてくれる当分教師でいるか

・われよりも若き教師が退職すいま立つ基盤その脆弱さ


三年間、学年を持ちあがり卒業式を迎える。さまざまな思い出が去来します。満足感や喜びもあれば、後悔もあります。それでも卒業の日は、三年間ないしは一年間の苦労がそれなりに報われる日でありました。

この短歌の年、私を真ん中にして、担任クラスの生徒たちが「ディアフレンズ」を歌ってくれました。そのあと、次々と私に抱きついてきました。廊下には生徒の保護者がいます。もちろん抱きついてこない生徒もいます。ハグに、ハグで返すわけにもいかず、背中をポンポンとたたいてお返しとしました。それでも、それだけ慕ってくれたかと思うと、そりゃあ嬉しかったですねぇ。そして、無口でおとなしい生徒が「先生が担任でよかった」と呟いてくれたこと。

そして、その三月一日は、その年度で退職する教職員が発表される日でもありました。卒業式の一連の行事のあと、私よりも若かった、ある教師がトラブルのため退職しました。そのトラブルは、退職を聞いて驚いた私が、他の教職員に聴いて初めて知りました。彼はトラブルの責任をとる形での辞任でした。その思いを詠んだのが最後の歌です。


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