見出し画像

ニューヨーク(NY)ワインを試飲した話

丹治です。

 先日、友人のご好意でNYワインの試飲会に参加させていただきました。今回の記事はその時のものです。かなり時間が経ってしまったため、欠落している部分もあるかと思いますが、そこら辺はソムリエ教本の情報を利用して埋めていければと思います。

お店紹介

 会場はGO-TO WINEさん、経堂駅から徒歩四分です。オープンは2022年12月18日とまだ日が浅く、ワイン業界の方でも知る人ぞ知るNYワインインポーターのお店です。もちろんワインバー併設しているため店内飲食可能。


↓インスタグラムも是非フォローしてください↓


NYワインと言われた時にどんな品種が浮かびますか?

 これ、結構面白い質問でワインが好きな人でも意外に答えられない質問です。アメリカだからカベルネ・ソーヴィニヨン、寒いからドイツ品種、と答えられたら御の字です。NYワインの主要品種は以下です。
白品種:リースリング、シャルドネ
黒品種:カベルネ・フラン、メルロー

 意外と知っている品種が出てきたかもしれません。NYは冬季は雪が降るほどの冷涼な気候であるが故に温暖なイメージのあるメルローは大丈夫か?とは思いますが、そこはテロワールが解決してくれます。

 そのほか、新興産地故に品質はまだまだでは?と言う声もあるかもしれませんが、NYという大都会が消費地として存在することで、近郊栽培、つまりアーバンワイナリーのビジネスモデルでメキメキ品質を伸ばしていった産地でもあります。なかでもリースリングの評価は非常に高く、その完成度はドイツと遜色が無いレベルです(動画参照)。そのほか、冷涼な気候故にスパークリングワインの生産地としても注目が集まっています。


今回飲んだワインは以下6種類(+追加1種類)です。全部美味しかったです。

試飲ラインナップ

写真のようにみんなで卓を囲って白3種類、赤3種類を飲みました。

試飲風景①
試飲風景②

NYワインのキーワード

NYワインのキーワードは①サスティナブル②料理に寄り添う③発展途上が挙げられるとのことです。

 ①は持続可能なワインづくりを意味します。これは農薬を使わないことや、醸造時の添加物を利用しないという意味には留まりません。例えば、エネルギーの節約、生態系の保護、資源リサイクル、従業員や地域住民との関係改善、経営の持続など、ワインづくりに取り巻くあらゆる要素を包含した表現です。この考え方は世界中に浸透し始め、取り組みが始まっているとのことですが、NYワインはこの特徴が大きく出ているとのことです。

 ②は地域色が出る特徴となっています、NYにはフランスのような郷土料理や長い歴史がありません。その代わり、NYという大きな市場とそこに集まる人、食事が存在します。NYワインはさまざまな料理に合う食中酒というポジションを確立し、地元の富裕層にも愛されています。試飲した感じ、和食とのペアリングも成立しそうです。

 ③はそのままです。NYのワイン文化は成熟しきっておらず、進化に進化を重ねている勢いのある産地です。そのような産地にはパワーのある生産者が集まり、好循環を生み出します。歴史が浅い、ワイン自体の知名度が低い、遠いという他の産地と比べてデメリットの要素はありますが、彼らの生み出すストーリーや絶対的な品質、そしてニューヨークというブランドは帳消しにできるほどのポテンシャルがあると思っています。

 余談で、教本の中で面白いと思ったのは「カスタム・クラッシュ」という設備。お金を支払えばブドウの破砕から瓶詰めの全工程を生産者に提供するサービスです。これにより生産者は最低限のコストでブドウの生産に力を入れることができるようになります。なんかシャンパーニュみたいですね。


完熟した寒冷地ワイン

 私が試飲したときNYワインに「完熟した寒冷地ワイン」の印象を持ちました。実はこの表現、ちょっとした矛盾にもとれます。と言うのも、寒冷地のブドウは日射量、日較差、平均気温の都合で成熟しにくい傾向があるためです。しかし、NYワインは十分な日射量とテロワールによってそれを解消しています(もちろん、全部が全部そうでは無いです)。

 その筆頭がフィンガーレイクです。この産地は湖が指のように放射状に位置していることから名付けられた産地です。この湖は太古に氷河によって削られてできた窪地に水が溜まって形成されました。

 地下1~2mの温度は地表より安定しており、地中に食材を埋めて保存していた、という話を聞いたことがあるかと思います。地中は地熱のほか、空気より比熱という温まりにくさのスコアが高いことが理由です。比熱が高いほど熱されにくく、冷めにくくなります。その地中よりも比熱が高いのが水中です。結果、水深何百メートルに及ぶ湖は周辺の急激な温度変化を和らげる役割を果たし、厳しい寒さや雹害からブドウを守っています。ちなみに海側の産地でも同様の傾向があり、ロングアイランドも主要な産地として名を馳せています。


おまけ、試飲メモ

 最後に実際に飲んだ品種について思い出しつつ書いていきます。

リースリング

 一番記憶に残りました。
 モーゼルを思わせるミネラル感のある香りとシャープなレモン感とは裏腹に残糖の無い成熟した果実味はとても印象的でした。アメリカではリースリング=甘口ワインであるとのことで、甘口ワインを嫌って売れなかったことから、リースリングは「ドライ(辛口)・リースリング」という表記で販売されているとのことです。

シャルドネ

 ナパとブルゴーニュを足して2で割った印象。成熟も酸も感じられるが気持ち控えめのためいろんな料理に合わせやすい印象。生産者によって色々変化はあるかも。

カベルネ・フラン

 これもなかなか美味しかった。ピーマン香が強いイメージであるが、そんなことはなく、逆に心地よい。成熟しきった赤い雫は苦手なイメージをひっくり返してくれた。世界で一番美味しいカベルネ・フランをつくる国は?という質問にNYと答えるソムリエが多くいることにも頷けます。飲むべき。


そのほか。

 シラーやヴィオニエ、ルカツィテリ(ジョージア原産だが非常に強い耐寒性を持ち、同様にサペラヴィの栽培もある)など、バリエーション豊かに栽培されていることに驚きました。また、主要品種として挙がりがちなピノ・ノワールをあえて数%しかブレンドしない生産者がいるなど、新興産地ならではのワインもあることも興味深い。関税や距離もあるとはいえ、3000円~購入できるのはありがたいなと思います。


終わりに

かなり前にお邪魔したものの、2500文字もかけて一旦安心です笑。

このような機会を提供してくれた友人、
そしてレクチャーいただいた後藤さんに感謝を。


宣伝

 将来のソムリエ・ワインエキスパート受験者向けに模擬問題集を作成しました。ソムリエ教本の内容に準拠し、基礎的内容から重箱の隅を突くような内容まで網羅し、加えて語源の紹介や内容理解のためのヒントなど50000文字を超える大ボリュームとなっています。これをやり込むことで当日の得点が+10点上がる自信があります。是非お手にとってください!

以上。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?