名言大好き。愛してる。

名言が好きな奴にロクな奴はいない。お前である。
ほぼ全ての人が何かしらのSNSで発信するようになった現代。毎日地球のどこかのバズが起こり、そして名言が生まれている。

言い忘れていたが、私は名言が大好きだ。
高校生の頃は『名言』という“ラーメン二郎 名言店のファーストロット”のようなアプリを暇さえあれば見ていた。

今はアプリ自体なくなっている

名言というものは、不思議なもので原動力になり得る。だから、私は今でもたまに「名言ドーピング」を打つ。（Instagramのストーリーズに漫画や映画のスクショした名言が溜まったら、シークバーが米粒になるまで連投している）

ただ、当時の私は帰宅部だった。加えて、『ドラゴン桜』を読んで、定期テストの勉強時間を減らすような馬鹿でもあった。そんな奴に名言のバフがかかるワケがない。「馬鹿に付ける（打てる）薬は無い」とはよく言ったものだ。

そんなモラトリアム期間の真っ最中。劇的な何かが起こったわけでもないのに、なんとなく気づいてしまった。

「名言って、大体一緒じゃない？？？？」と。

たとえば、漫画『アイシールド21』に登場する悪魔の司令塔・蛭魔妖一の名言。

ないもんねだりしてるほどヒマじゃねぇ。あるもんで最強の戦い方探ってくんだよ。一生な。

『アイシールド21』蛭魔妖一

対して、漫画『ピーナッツ』に登場するオスのビーグル犬・スヌーピーの名言。

配られたカードで勝負するしかないのさ……。それがどういう意味であれ。

漫画『ピーナッツ』スヌーピー

“オスのビーグル犬”と“悪魔の司令塔”の発言が被った……という事実は、私を名言の白昼夢から覚ましてくれた。そして、私はアプリ『名言』をアンインストールした。

常識とは、18歳までに身に付けた偏見のコレクションである。

アルベルト・アインシュタイン

これだけ名言をこきおろしても、名言は私の血となり肉となり、生活に常識として擦り込まれている。皮肉なものだ。
名言大好き。愛してる。