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「キネマの玉手箱」(大林宣彦)ユニコ舎

映画監督が書いた本を手にするのは矢口史靖の「映画監督はサービス業です。」以来。我が家はもう家の中がレコードと雑誌と映画パンフレットばかりで、本は置くところが無いから読み終わったら売ってるのですが、これは取っておこうと思います。

良い本でした。晩年に病におかされていた状態でこんな饒舌な本を書いていたことにまず驚かされました。

「生命の章 病気と闘う者として」「虚実の章 自主映画の作家として」「非戦の章 敗戦国の軍国少年として」「未来の章 未来を生きる人として」の四章でできている本なんですが、「生命の章」の何と前向きなことか!これから悩んだ時に読み返すだろう。

幼少期に家にあった活動写真機と出会ってから終生映画と運命を共にした大林宣彦だけあって、映画愛に満ち溢れてる一冊。あらゆる映画を観まくっているので色んな映画の話が出てくるのも楽しい。映画観賞の手引きにもなるし、映画を観る視点が変わると思います。こういう人は普通の人とは映画を観る視点が全然違う。映画記憶力も凄い。私なんかはどんどん忘れていく。

色んな映画人や著名人との関わり合いの話も出てきます。黒澤明を筆頭に山田洋次、高畑勲、相米慎二、常盤貴子、原田知世、立川談志などなど。

あとがきを是枝裕和が書いているのですが、是枝裕和は試写で「海辺の映画館 キネマの玉手箱」を観たようで彼の感想が読めます。そして、意外な大林宣彦愛が書かれてます。

大林宣彦の映画を愛した人、「海辺の映画館 キネマの玉手箱」に心を打たれた人に広く読まれてほしい一冊です。


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