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映画は心を動かす(2月20日しんぶん赤旗 子どものページ)



映画館に行ったことがありますか?大きな音と映像、そして展開される物語にびっくりしたり、笑ったり、泣いたり。小学生から高校生まで映画を見てつくって楽しむ「子ども映画教室」の代表理事・土肥悦子さんに映画の魅力を聞きました。

「子ども映画教室」は2004年から始めました。プロの監督さんを招いて映画の話を聞きますが、作品づくりはすべて子どもたちだけでやります。3日間、どんなものをつくるのか、撮影、編集、ポスターをつくって上映するまで全部です。
2007年、子どもたちがつくった「I Love You」という作品は、美術館内にいるカップルをつかまえては、さまざまな質問をしていきます。
最後、全員に必ずする質問が「キスしたことがありますか」。そしてキスしたことがあるなら「ここでキスしてください」とお願いするんです。15分の短い映画。子どもたちの質問にカップルがどうこたえるかー。心の動き、変化が切り取られた、すてきな作品です。
「子ども映画教室」には決まりごとがあります。おとなが手出しや口出しをしないことです。「I Love You」も子どもたちだけでつくった作品です。

やりとげた実感

もちろん、わからないことはおとなに聞きます。でも、必ず答えを持っているわけではないよ、と伝えています。
この教室では、おとなと子どもは対等です。スタッフはじめ、お招きしている監督さんも子どもたちはニックネームで呼びます。
子どもたちは「どうやら、ここは映画づくりを教えてはくれないんだ」と気づきはじめると、自分の言葉で議論しはじめます。
1チーム5〜6人。みんなの前で自分の意見をいうのが苦手な子もいますし、不登校気味の子、おしゃべりの子と、いろいろです。
意見の対立はもちろんあります。でも、みんながいい作品を作ろうという思いを持っています。だから、自分の思いをぶつけるだけの子も、次第に「○○ちゃんの意見のほうがおもしろいかも」と変わってきます。
発表を終えた子どもたちは、すがすがしい、すっきりした表情をしています。自分たちの力でやりとげたと実感できるからでしょう。

人と出会い変化

今年度はコロナの影響で、初めてオンラインで映画を作りました。学校での出前授業はほとんどできませんでしたが、来年度はぜひたくさんの学校でやれたらと思っています。
映画の魅力は「心が動く」ところです。映画に出てくる人は優等生ばかりじゃありません。のび太のように不器用な人が多いですよね。そんな人たちがいろんなことに遭遇して変わっていく。そこに見ている私たちも心動かされます。
古い作品ですが「赤い風船」「霧の中のハリネズミ」「友だちのうちはどこ?」などがおすすめです。少年4人の冒険物語「スタンド・バイ・ミー」では、怖いシーンもありますが、パイの早食い競争で、会場にいるみんなが次々おう吐するシーンに、みんな大笑いです。
映画館にぜひ行ってみてください。地域密着のミニシアターという映画館もあります。ぜひ探してみてください。映画とともにいろんな文化の情報を発信したり、イベントをやったりしていますよ。

※子ども向けの記事なので漢字が少ないですが、そのままにしました。紙面では全部の漢字にルビが振られてます。

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