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「淪落の人」(オリバー・チャン)

基本筆不精で、何かを褒めたりするのが上手くない人間なんですが、ミニシアター及び映画館文化の応援の気持ちで、褒めるべき作品は頑張って更新していこうと思ってます。

ソーシャルディスタンスなので、隣の席が空いてます。だから、隣の隣の席で観ている人が、確かに時折ハンカチで目を拭っていました。そんなオレも、ボロボロ涙しながら観ていました。

朝日新聞に以前、こんな記事が載ったことがあります。「干されても香港デモを支持し続ける俳優アンソニー・ウォン」1月30日に載った記事をそのまま載せます。ちょっと長いです。

5年余り前、中国映画の撮影で滞在した上海でのことだ。香港民主化を求める雨傘運動への警察の弾圧の報に憤り、携帯電話でフェイスブックにデモ支持を書き込むと、中国のSNSに転載され、ネットで非難の嵐に。「中国で稼いでいるくせに中国を害するな」

ヒット映画「インファナル・アフェア」の心ある警視役などで知られ、香港版アカデミー賞を計5度受賞した実力派。だが、この日を境に仕事がなくなる。撮っていた中国映画も公開中止に。関係者から「君のせいだ」と責められ、自身の収入も激減した。

それでも昨年来、香港で再燃したデモへの弾圧に対し、当局批判を続ける。中国との関係から沈黙する人が多い香港映画界で、まれな存在だ。

4歳で英国人との父と生き別れた。幼い頃は自分が何者かと苦しみ、「自分が香港人だと誇る感覚はなかった。でも若者に勇気づけられ、今は誇れる。引き続き力になりたい」。英国人の異母兄2人は移民を勧め、妻は警察を支持し、長男は発言を控えるよういさめるが、いずれにも耳を貸さない。

2月1日公開の香港映画「淪落の人」では、差別のなか夢を追うフィリピン人家政婦に介護される役で主演する。今作の新進監督を応援するため、報酬は辞退した。「自由や公正に少しでも触れた作品は今後、政府の助成審査を通らなくなるかもしれませんからね」

アンソニー・ウォンと言えば、上記「インファナル・アフェア」の他に、ジョニー・トー作品のようなコワモテのイメージを持っていました。「エグザイル/絆」なんかは、まるで宍戸錠みたい。そんなアンソニー・ウォンが、優しい障害者を演じています。

あまりにもあまりにも暖かい「四季」の物語。


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