「ダイニングテーブルとは?」と聞かれてなんと答えますか?〜西洋人と東洋人の考え方の違い〜
最近、YouTubeで「How culture made Japanese Internet design "Weird"(文化が日本のWEBデザインを"奇妙"にする理由)」という動画を見ました。これがWEBデザインの域を超えた、ものすごく面白い内容です。
英語に抵抗がなければ、ぜひ一度、動画を見てほしいのですが、内容としては、欧米のWEBデザインはシンプルでミニマルなのに対し、東洋(日本、中国、韓国)のWEBデザインは情報がぎっしり詰まった、マキシマムなものが多く、その理由を西洋と東洋の文化的違いといった側面から説明しています。
その文化的違いを生み出す理由として、西洋人と東洋人の考え方の違いがあると、彼女は説明します。
西洋人は、個々の物事とその詳細や属性に焦点を当てるAnalytic Thinker(分析的思考者)なのに対し、東洋人は、物事の関係性に焦点を当て、それ全体を事象として捉えるHolistic Thinker(総合的思考者)だと言います。
双方の考え方の違いの例として「ダイニングテーブルとは何か説明してください」と聞かれた時、Analytic Thinkerは「木でできていて、4つの脚がある」などと説明し、Holistic Thinkerは「人と一緒に食事をする場所」などと説明します。
(私はこの質問に「ダイニングルームにあって食事をする場所」と答えたので完全にHolistic Thinkerでした。イスラエル人のパートナーに聞いたところ「4つの脚があって…」と答え出したので、笑ってしまいました。)
このように、西洋人はその物自体や詳細に注目するのに対し、東洋人はその物と周りの関係性に注目する傾向があるので、欧米のWEBデザインは、より重要な情報にフォーカスを当て、その他の要素は削ぎ落としているのに対し、東洋のWEBデザインは、重要な情報に関係する情報も記載するので、マキシマムなデザインになりがちなようです。
この考え方の違いはWEBデザインだけでなく、広告デザイン全般、街並みに対しても表れています。こんまりさんのYouTubeのサムネは有名な例です。
このビデオのコメント欄も、かなり興味深い意見が多かったです。
日本語で言うところの「橋、箸、端」や「神、髪、紙」など、東洋の言語には同じ発音で違う意味の言葉が多く、文脈から意味を理解することに脳が訓練されているので、どのような情報に対しても、その物事自体よりも、それに関わる状況などから情報を得ることができるようになったという意見。なるほど。
日本語は英語に比べて、一文に多くの情報が含まれるので、通訳するのが大変だという意見。これは個人的に本当に納得しました。
ニュージーランドの語学学校で、先生に英作文を添削してもらったとき、「一文が長すぎる」と言われました。短くしたつもりでも「まだ長い」と言われ、「こんな細切れじゃ、子供の文章みたい」と思ったのを覚えています。
また、私は英語で過去の経験を話したり(昨日こんなことがあって〜というレベルの話でも)、何かを説明するのが下手で、これは私の英語力が低いことが原因だと思っていました。もちろんそれも一因ですが、日本語と英語の適切な情報の量も違うせいか、と納得しました。
日本語で話すときは話に対する付加情報が多く、同じ要領で英語で話すと、冗長に聞こえてしまいます。英語で話すときと日本語で話すときでは、スクリプト自体の変更が必要だった訳です。
逆も然りで、イスラエルで就職活動をしていた際、現地の会社は英語で面接なので、英語で面接の回答を作っていました。そんな中、一社だけ日本企業と面接があり、英語で作っていた面接の回答を日本語答えたところ、「あれ、なんか足りない…?短い…?」となったことも思い出しました。
もちろんこの「西洋的思考・東洋的思考」説が、全ての事象に対して当てはまる訳ではありません。ニューヨークのタイムズスクエアのような超マキシマムな場所が欧米にもあるし、禅のようなミニマルな考え方が東洋にもあります。ただ私のこれまでの海外生活、語学学習の「?」に当てはまっていたので、すごく面白かったです。
また動画の中で、彼女は以下のように述べています。
欧米の基準に合わないからと言って、そのデザインが悪いというのは、自己中心的だということ。これは欧米人からよく感じられる態度だなと思います。
どのようにして、東洋人はこのようなHolisticな考え方をするようになったのか、気になります。この意味での東洋って一体どこまで?東南アジアの国々ではどうなんだろう?小さい子供に聞いたらどう答えるのかな?帰国子女とかの人はどう考えるのだろう?たくさんの疑問が湧いてきます。
ダイニングテーブルの質問、これから色々な人にしてみたいと思います。
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