API連携が大好きで、そして大嫌いな私がiPaaSのスタートアップであるdatableに入った理由
はじめまして、2023年4月よりdatableに入社しました、谷と申します。
少し過激なタイトルにしてしまい気が引けるのですが「API連携が大好きで、そして大嫌いな私」というのは決して嘘ではなく、そんな私がiPaaSのスタートアップであるdatableに入った理由をお話したいと思います。
※datableがどんな会社か気になる人は、こちらをご覧ください(ちなみにサムネイルはCEOなので私ではありません)
私がAPI連携を大好きになったきっかけ
2017年大学卒業時、「最高のソフトウェア作って世の中便利にしてみてぇなあ」という超ざっくりとした夢を持っていた私は、新卒でfreeeというクラウド会計ソフトの会社に入りました。
といっても、当時の私はプログラミングもからっきしで、学生時代に簿記や会計学を学んでいたので、それらの知識を活かしたセールス・カスタマーサクセスを主な業務としていました。
ただ、業務しながらもいつもどこか頭の片隅にあったのは
「自分でもなにか作りてぇ….!」
って気持ちです。
そんな私のウズウズした気持ちを全てぶつけたのが、完全0から独学で作った、freeeとGoogleスプレッドシートを連携したアプリのリリースでした。
仕様としてはとてもシンプルで、ただfreeeの会計情報をAPIで取得して、Googleスプレッドシートに出力するだけのアプリです。
(それでも当時はAPI連携について何もわからず、休日や夜中にウンウン唸りながら試行錯誤し、数カ月かかってしまいましたが…)
そしてこのアプリが、シンプルなのですが社内外からとても大きな反響をいただき、そこで私は初めて「そうか、全部サービスを作らなくても、既存のサービスを繋ぐだけでも、誰かの役に立てるんだ」という確証を得ました。
この日が、私がAPI連携が大好きになった日です。
ひたすら繋ぎまくった毎日
そこから私は、片っ端からいろんなAPIを繋いで遊んでみました。
Gmailと繋いでメールの添付ファイルを別ストレージサービスに飛ばしてみたり、GoogleHomeやAlexaから音声で取引データを作ってみたり。
その他にもLINE、Hubspot、Shopify、Twilioなどなど、節操なく繋いでは「おぉ、ちゃんと動いた…!」と毎回感動していました。
今思うと、実はどれも大したことではないのですが(Oauthで認証できてREST APIのAPIを公開しているサービスは既存のコードの横展開で実装できるので)
これまで「自分で何かを作る」ということが、やりたくてもできなかった私にとって、それはこの上なく楽しい時間でした。
私がAPI連携を嫌いになったきっかけ
そうしてAPI連携で遊びまくっていた私ですが、楽しんで学んだ知識は、意外と業務にも活かせるものです。
freeeのカスタマーサクセスとして導入支援を担当している際、お客様から「APIで自社サービスと連携してみたいんだけど」と相談を受けたときは「よっしゃ!待ってました!!!」とばかりに食い気味で相談に乗り、自分の強みとしてチームで活躍することができました。
そしてそんなことを続けているある日、開発チームのCPO(Chief Product Officer)から呼び出しがかかりました。
勝手なことするなって怒られるかも…とドキドキしていたのですが、どうやらAPI連携に関する熱意を評価いただいたようで「APIを盛り上げるための開発チームに来てほしい」という打診を受けました。
「はい!喜んでぇ!!」とこれまた食い気味で返事をして、そこから私の本業としてAPI連携業務が始まります。
やっていた業務
私がAPI連携周りでやっていた業務は以下の通りです。
freeeがオーナーとなって開発する、公式の連携プロダクトやAPI自体のPdM(企画考えたり、改善策考えたり)。
freeeの公開しているAPIを使ってサードパーティアプリを作りたい、と思っている開発者やSaaS企業のPjM(連携までのプロマネとか相談に乗る)
freeeの公開しているAPIを使って、非公開のアプリを使って業務を改善したいと思っているエンドユーザーへのサポート
いろいろ書きましたが、ここで覚えておいてほしいのは、APIに関わる「API提供元」「外部開発者」「エンドユーザー」とにかくいろんな属性の人と関わったということです。
APIは魔法のツールなんかじゃねえ
ここまでの経緯を見てもらってわかるように、私はAPI連携によって新しい学び、感動、そして新しいキャリアを得ることができました。
だから当時の私は「APIさえあればなんでもできる!」レベルのAPI信者だったわけですが、ここで大きな壁にぶつかります。それが
APIは個人で楽しむ分には簡単だが、組織やビジネスの中に組み込むのは、めっっっちゃむずい!
ということです。
今回の重要なテーマなのでもう一回言います。
APIは個人で楽しむ分には簡単だが、組織やビジネスの中に組み込むのは、めっっっちゃむずい!!!!
※そして先にネタバレしておくと、この記事は「でも、こうやれば課題解決したよ」というような記事ではありません。
どんな難しさがあるか
この記事を見られている方は、API連携について関わったことがない人もいると思うので、あえて細かくは書かないのですが、一部抜粋すると以下のようなことがありました。
APIの提供元企業の悩み
「API盛り上げちゃうと、自社プロダクトではなく他社プロダクトを利用してしまうのでは」といった懸念
繋ぐ目的として「多くのユーザーの利便性向上」「連携先サービスとの相互送客やLPとかでの映え狙い」「大口顧客の要望対応」などバラバラだし、フワッとしたまま進みがち
連携してくれるアプリが少ないと、APIの保守費用の方が上回って赤字
外部開発者の悩み
開発費用を自分たちが負担すると、利用者が少ないと赤字になってしまう。
APIの仕様がわからん。もっと言うとサービスの仕様もわからん。
エンドユーザーの悩み
連携したいけど、開発してくれるベンダーを知らない&どこに依頼してどう進めたらいいかわからない。
偉い人にAPI連携しろって言われたけど、要件定義難しいし、API仕様上できないこともあるから制限もあるし、これCSVでの手動連携のほうがぶっちゃけ楽では…?
これでも一部です、実際はもっともっと複雑でお互いの悩みが絡まったりして大変なことになるときもままあります。
そして、最終的にいろいろ絡まった結果「とりあえずAPI連携をする」という手段自体がプロジェクトの目的になってしまった場合、関係者全員が投下した工数の割に生み出されたものの本質的な価値が正直低く、気が滅入ることもありました。
この頃から私の中で、APIは「単に楽しくて万能なもの」ではなく、「使い方を誤れば関係者を不幸にしてしまうもの」という、嫌いな側面が目に付くようになってしまいました。
APIの現場から離れて
そんなこともありながら月日は流れ、いずれ私はfreeeでは会計ソフト本体のPdM(プロダクトマネージャー)を担当することになります。
その後、社会全体に影響のあるプロダクトに携わりたいということで、デジタル庁へPdMとして転職しました。
結果として、APIだけに注力した業務はその時以来ありませんでしたが、やはりプロダクト開発をしている以上、API連携という話は定期的に関わることになります(コロナ禍になったこともあり、DXというワードがより一層あらゆるところで飛び交ったことも影響してます)
デジタル庁にいた時は「〇〇省のXX課では、すべてのデータ連携をAPI連携にすることが目標になっている。正直現場としては余計手間が増えて不要なんだけど、偉い人が言ってるのでやるしかない」というような話も聞きました。
でもこの頃には、私も立派に(?)つまらない大人になっていて「まあそれなら頑張るしかないですねえ」と気が滅入ることもなく、淡々と業務を進めていました。
datableとの出会い
そんな私にある日、Facebookのメッセンジャーで連絡が届きます。
お相手は鈴木眞理(すずきしんり)さん。
私がかつてfreeeで「API連携たのしいい!ひゃっほおおおおい!」と目を輝かせていた当時、一緒に働いたことがある方です(当時は、システム連携が絡む大型案件に、鈴木さんがセールス・私が導入支援という形で組んでいました)
そしてこの方は、何を隠そうdatableのビジネス側の1人目の社員で、noteで1万5千字超えの激熱入社エントリを書いていらっしゃいます。
この時に、datableの紹介とお誘いをいただきました。
でも、正直、その時の私はiPaaSと聞いても乗り気じゃありません。
理由は、iPaaSはそれまで色々と海外のサービスを使っていたものの、どれも結局、私がAPI連携に感じている至上命題
を解決しうる、と思えなかったからです。
APIに明るい私のような開発者が小さなスケールのプロジェクトで使うにはとっても便利なのですが、期待しているのは「誰が使っても、組織やビジネスに本質的に価値のある組み込み方ができるか」であり、
iPaaS各社が、今後日本のこの泥臭い問題に真摯に向き合ってくれるとは思いませんでした。
とはいえ、鈴木さんはfreee時代大変お世話になった方ですし、その本質的な提案スタイル(ノリで進めず、ちゃんとお客様のやりたいことを傾聴して双方納得して進める感じ)がとても好きだったので、話を聞いてみることにしました。
メンバーと話してみて
実は、鈴木さんからはじめてdatableのプロダクトについて説明を聞いたときは「お~便利だな~」くらいで、入社しようとは考えていませんでした。
そんな私の考えが変わったのが、その後鈴木さんにセッティングしてもらって、CEOの高松さんやCTO角井さんと直接会ったときです。
二人ともエンジニアでありながら、それでいて社会課題に対してパッションを持っていて「プロダクトで本質的な価値を提供したい」という強い想いを感じました。
あとは何より、いつも前向きで他者にリスペクトがあり、「あ~この人たちと一緒に働いたら楽しいだろうな~」とすぐに思えるチームでした。
会食は、きりたんぽが美味い秋田料理屋だったのですが、解散後の帰り道、私のAPI連携への感情が爆発します。
datableに全部ぶつけてしまいたい
以下、そのときの爆発具合です(原文ママ)
datableにJoin!!
このようないきさつがあって、私はdatableに入社しました。
役割はセールスエンジニアで、datableを使って連携したいSaaS企業の方にdatable活用を支援し、そしてその中で見つけた課題をプロダクトにフィードバックしていきます。まだ入社1カ月くらいですが、やりがいしかないですね。
そして、最後になりますが、実は私の中で短期と長期の野望があります。皆様にはあまり関係がないかもしれませんが、自分に発破を掛ける為にも、こそっとここで宣言させてください。
長期の野望
「APIは個人で楽しむ分には簡単だが、組織やビジネスの中に組み込むのは、めっっっちゃむずい!」問題を解決するプロダクトを作る。
短期の野望
上記を実現するには、まだまだAPI連携の酸いも甘いも経験が足りない。この領域では、誰にも負けないと胸を張れるくらいの広く深い理解が必要。
だからとにかくたくさんのAPI連携案件に「率直に・誠実に」ぶつかって、血の通った学びを得ること。そしてそれを咀嚼して、プロダクト戦略を考えること。
お読みいただきありがとうございました
以上が、私がdatableに入社した理由です。
もしも、この記事を読んでdatableに興味を持った方は、ぜひご連絡ください。「一緒に働きたい!」でも「datable導入検討したい!」でも大歓迎です!
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?