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001 「南丹市地域おこし協力隊」吉田宙斗氏インタビュー(第五期)

- 本日は宜しくお願い致します。

宜しくお願い致します。

- 先ずは「南丹市地域おこし協力隊」に応募したきっかけを教えて下さい。

きっかけというか、元々食品加工メーカーでサラリーマンをしていまして。そこで本当は営業をしたかったんですけど、農業の分野に携わらせて頂く事になりました。農園の開発チームに配属されて福島にずっと居たんですけど、将来的なライフワークバランスやライフプランを考えて地元関西に近い場所に帰りたいなと言う気持ちもあり退職しました。退職後、その時は第二新卒だったので他の会社に就職も考えていたんですけど、今までやってきた農業(そこまで好きではなかったんですけども・笑)を活かしてみたいなと考えて色んな人に相談する中で「地域おこし協力隊」に出会いました。
そこで各自治体の募集要項を確認し、自分の希望とマッチングする場所が「南丹市」だったんですね。ぶっちゃけて言えば他の地域だと給料が安くて、家賃補助はあっても生活出来るレベルではない位の給料とかもあったので、正直に言うと給料部分を重視しました。その中で「南丹市」は条件が凄く良かった事、比較的何でも自由に活動させてくれるのかな?という事もあったので、そういったきっかけで「南丹市地域おこし協力隊」と出会いました。次の「南丹市地域おこし協力隊」を目指す人々へのアピールとして一番良いのが条件面だと僕は思います。

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- 吉田さんが思う「南丹市」の魅力とは何でしょう?

南丹市は広いので・・・。以前は「日吉町」に住んでいましたがそれぞれの地域にそれぞれの良さがあると思うんですけど、現在僕が住んでいる「美山町知井地区」に限定して言えば、本当に人が優しい。本当に人が温かくて優しい。田舎なので地域の皆さんと一緒に土日に草刈りをしたりとか勿論そんな事はありますけど、僕が思っていた程の頻度ではないです。(大体二か月に一度位との事)コロナ禍って事もあると思いますし、都会から来た人間から見たら不便さ、という意味では不便な所は確かにあるんですけど、やっぱり一番は人ですね。人が感じる魅力は様々でそれが「自然」になってくると好きな人もそうでない人もいると思います。でも「人」が良くて「そんなん嫌や」って人はいないと思うので、一番は人の温かさって答えますね。

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- 「地域おこし協力隊」として現在どのような活動をされていますか?

当初は「農業してる方のお手伝いを」と考えていたんですけど、ひょんなことから自分で農地と畑を持って現在は「南丹市」における「さつまいも」の栽培を行っています。一番最近で評価されたのは「さつまいもの苗づくり」ですね。案外「簡単にできるだろう」と思っている方もいらっしゃるとは思うんですけど、専門的な知識であったり技術であったりもやはり必要でして。そこらへんは僕が前職で培っていた知識を使って、「南丹市」で「さつまいもの苗」の栽培に成功し、普通のお店で買うよりも10円から20円ほど安く買える「さつまいもの苗」を販売する事が出来ました。「さつまいもの苗」の安定供給と、安くなった事でより一層「さつまいも栽培」の振興へのかなり大きな一歩になったんじゃないかなと思っています。

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- その功績は「京都新聞」様でも大きく取り上げられていますね。

京都新聞さんは凄く良く書いて下さっているので、自分で見るのは嫌な位です。(笑)凄く大そうに書いてはるんでアレなんですけど。(訳注:凄く大げさに書いてらっしゃるので、という京都弁)協力隊の3年間って凄く短くて「その中で何かをしなければいけない」というよりは、3年先を見据えて動いていった方がいいのかなと思います。何かをしようと思うだけでは無く、しっかりと「3年先自分がどうなりたいか」を考え動いたら、きっと何かになるとは思います。

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- 「さつまいも栽培の農地」は地域の方からお声がけがあったのですか?

そうですね。今は美山町の中と下の方に畑があるんですけど、きっかけとしては一人の農家さんとの出会いがありまして。一見するとキツそうやな、厳しそうやなと思うんですけど僕からしたら全然そんな事は無くて。最初こそ「さつまいもやりたいと思ってるんです」と言うと「そんなん出来るわけないよ」っていう厳しいお言葉を頂いたんですけど、やっぱり何度か会って熱意を伝えている内に「じゃあ試しにここでやってみいひんか?」と2反から3反くらいの畑を貸して下さったんです。急に若者(訳注:吉田氏は現役「南丹市地域おこし協力隊」の中で唯一の20代です)が農業したいです、知識もゼロですって言ったら普通酷い所を紹介されるんですけど、日当たりも良いし土の質も凄く良い。丁度「さつまいも栽培」に適していたような所を紹介されたというのは、一つの大きな分岐点だったのかなと思います。なので僕の場合はやっぱり農地・畑ってフィールドを地域の方から提供されたんですけど、どんな活動をするにしても「色んなピース」とかは地域の方が持っていて、その方から「ピース」を得るにはやっぱり顔を出して喋る事、付いて行く人を間違えないって事が一番大事かなって思います。

- 吉田さんが「地域おこし協力隊」として培ってきたこの2年間、地域住民の方とのお付き合いを大事にしてきたという、お人柄の良さが凄く伝わってきますね。

人柄が良いかどうかはちょっと分かんないですけど。(笑)ただ若いってだけで応援してくれているってのもあると思うので。

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- この流れでお伺いしたい事があります。吉田さんはまだ20代でとてもお若い方ですよね。これは来年度以降「南丹市地域おこし協力隊」として何かを成し遂げたい!と思う若い方々にとって「光」になると思うのですね。「若過ぎるけど大丈夫かな?」「そもそも社会人経験も無いのに応募していいのかな?」等、そのようなお若い方々に対して伝えたい事はありますか?

そうですね、やっぱり先ずは「何をしたいか」って事をしっかり明確にハッキリさせといた方がいいかなって思います。僕の場合は「農業」という凄く分かり易い分野だったので地域の方の理解も得やすかったと思うんですけど、例えば田舎は決してITリテラシーが高いとは言えないので、地域に入ってITの事をしたいんです!こんな事をしたいんです!って言うのであれば、それを説明できる能力も必要ですしそれに向けた熱意も大事になってくると思うので「先ずは自分の好きを見つける、やりたいを見つける」でしょうか。意外と何かあった時に「好き」とか「やりたい事」とかってすぐ辞めたいって気持ちに裏返ってしまうので、苦しい事も辛い事もそれも含めて「全部好き」って位好きな事、やりたい事を見つけてから入った方が良いのかなと思います。それは「南丹市地域おこし協力隊」に限った話では無くて、他の協力隊に応募する際も同じだと思うんですけど、それを先ず見つけてからだと僕は思います。「なんとなく田舎暮らしがしたい」とか「なんとなく田舎に触れてみたい」「三年間遊びに行きたい」ではなくて、やっぱり3年間を無駄にしないように「自分の本当にやりたい事、好きな事」を見つけてから入った方がいいのかなと思います。

- 任期中、印象に残った事(嬉しかった事)はありますか?

そうですね。やっぱり一番嬉しかった事は「さつまいもの収穫」をしている時が一番嬉しかったですね。去年の丁度9月位に第1期目の「さつまいもの収穫」があったんですけど、その時は「やっぱりしっかり出来てた!」って喜びは確かにありました。まぁでも正直言うと、それも収穫一日だけなんですけどね、あとは作業になっちゃうんで。(笑)でもその時は本当に嬉しかったですし、それと同時に自分がしっかりと栽培して、さつまいもを収穫する事によって半信半疑だった地元の方から「あ。この子はちゃんとしっかりやる子なんだろう」と言う、そこに転換出来たってのが一番嬉しかったのかなと思います。

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- 「南丹市地域おこし協力隊」として出来る事は何なのか、また地元の方からの目線での「地域貢献」とは何なのでしょう?

僕自身「地域おこし協力隊」になって1年位経った後に「地域おこし協力隊」って何なんだろうと考えました。勿論今も凄く考えている途中です。ただ僕には「そういう事を考える時間はあと一年しか無く、一年もしない内に卒業」という事で「自分のゴール」&「協力隊としてのゴール」を何処にあるのかって事を見つけないといけないとも考えていますが、なかなか明確な答えは見つかりません。ただ一つ、確かに言える事は「やっぱりそこに定住する」って事を一番念頭に置かないといけないと思いますね。それが「地域おこし協力隊」としての役割であるのかなとも思っています。その上で「じゃあ定住するには何が大事か?」と言うと、地域に貢献する事も勿論大事な事ではありますが、先ず何が一番必要かと言うと「先ず自分自身が生きる能力・田舎で稼ぐ力」だと僕は思います。それが一番大事だと思っています。僕自身が協力隊になって凄く分かったのは「夢物語を語れるのはお金を稼げる能力のある人だけだ」と言う事。「地域おこし協力隊」の一つの目標と言うのはそこにあるんじゃないかなと個人的に思っています。勿論そればっかりになってもダメなんですけどね、「地域おこし協力隊」ですから。ですが「夢物語ばかり語っても絶対ダメ」だと思います。それは自分の為にもならないし、結局長期的な目線で見て定住しなかったら地域の為にも決してならないんですよね。僕が地域の方からよく言われるのは「(協力隊を)やめてからも此処におるよね?」です。凄く良く言われます。勿論農業・農地が動かないという意味で言われているかもしれませんが、でもやっぱり「僕自身に稼げる能力」が無かったら田舎だと就職先が無いですし、生活でき無いですから。目先の「稼げる能力」って言うのは本当に大事かなと、特に若い内は大事かなと思います。夢の無い話ではありますが。(笑)

- 「良い事ばかりがピックアップされているインタビュー」もネット上には存在します。吉田さんのように確かな功績を残している若い方のリアルな「夢物語を語るには...」は来年度以降「地域おこし協力隊」を目指す方にとってはとても参考になると個人的に思います。勿論私自身もですが。(笑)

それは先ほど僕が言った「やりたい事」にも繋がってくるんですよね。お金が無かったら、稼げなかったら、やりたい事も継続できないし嫌になってくるし。(笑)ですが、ある程度気楽になるのは大事かなと思います。結構僕「稼ぐ稼ぐ」と言ってますけど、守銭奴みたいに金稼げる所が何処かないかと探しているかというと別にそんな事はして無いです。(笑)

- 個人的な印象ですが「楽観的」と言うよりは思考が「ポジティブ」なのですね。そう言った印象を受けました。

そうですね。「続けてたら勝てるかな」って言う。誤解を招きたくないので言っておきますが「やめるのが負け」とは全然言わないですよ。言葉を逆にとらえられると「やめたら負けやん」になると思うんですけど、僕は別で「一途に続けていたらいつか勝てる」っていうのは経験上本当に思います。

- 「継続は力なり」とも言いますからね。とても良い言葉だと思います。

そうですね。色んな方から色々アドバイスを受けながらこのような思考になりました。元々こんな考え方だったのかと言うと、別に元々こんなに達観していないです。

- 吉田さんは自己をしっかり持っていらっしゃる割には、思考や行動に柔軟性がありますよね。とても心の器が大きいのかなと思います。

そら僕若いですしね。(笑)これでなんか「こうですよ」「ああですよ」「あなたの言う事間違えてますよ」って言えないし言わないでしょ。(笑)
もう歩く人みんな「先生」ですよ。

- 私は吉田さんより大分年上ですけれど、とても共感できます。幾つ年を重ねても「会う人全てが先生」だと。素敵な言葉ですね。

- 最後に「南丹市地域おこし協力隊」の先輩として、来年度「南丹市地域おこし協力隊」を目指す人に向けてメッセージを頂けますか?

メッセージ、難しいですね。(笑)今まで言ってきた事が全てで、その全てがメッセージなんですけども。一つハッキリと言えるのは「地域おこし協力隊は人生の一つの選択肢としてとらえて欲しいな」と思います。勿論コロナで仕事無くなったり、コロナ禍の今田舎に来ようと思う人も多分居ると思うんですけど、それを「一つの人生の選択肢」だととらえて頂ければと思います。さっきの気楽にって話じゃないですけど「地域おこし協力隊」って意外と後戻り出来そうで全然後戻り出来ないんですよ。下手したら3年間無駄にする羽目になるかもしれないので良く考えて頂きたいなと思います。「地域おこし協力隊」は一見すると凄く甘い制度、甘くて蜜みたいな制度に見えるんですけど「3年間を捨てる位の覚悟が無いとなかなかやるべきじゃないな」と思っていますので、人生における一つの選択肢としてとらえて頂いて、その上でもし本当になりたいのであれば「自分のやりたい、好き」をしっかりと極めて「地域にこの人あり!」って言われるような人材になって欲しいかなと思っております。

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- 本日はお忙しい中インタビューにご協力頂き、ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

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吉田宙斗氏 Facebook https://www.facebook.com/hiroto.yoshida.52/

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インタビュアー:「南丹市地域おこし協力隊」第七期 H.Tanigawa

H.Tanigawa Facebook https://www.facebook.com/tanigawa87a/


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