【施策提案】Web分析マニュアル
当記事は、店舗集客を軸としたWebコンサル向けに執筆したものです。
新規クライアントの信頼を獲得するため、初期の施策提案に必要な分析のフレームワークを以下で公開します。
※自社内での引き継ぎ用に執筆したもので、一部社内ツールに言及しております。
【リサーチの目的】
《整合性・安定性・単純性のある施策提案》を行うために必要な判断材料の洗い出し
【手順マニュアル】
①ヒアリング担当者からの共有事項を確認し、同一の目標を認識
【目的】
・クライアント、ヒアリング担当者、自分の三者で共通認識を持つ。
・クライアントの特徴や意向を把握することで、より納得してもらいやすい施策提案を導き出す。
【確認項目一覧】
①初期分析シート内「歯科医院概要」
※ヒアリング担当者が入力
②初期分析シート内「ヒアリング事項」
※ヒアリング担当者が入力
③Googleフォーム「初回ヒアリング」
※クライアントが入力
以上3点に目を通し、下記の点について把握します。
【把握ポイント】
・担当者(多くの場合は院長)の性格、意思決定の思考、リテラシーの程度
・クライアントの地域的なポジション
・クライアントが将来ありたい姿、理念、ミッション
・現状に至るまでの変遷
【注意点】
ヒアリング担当者は、以上の共有事項を念頭に置いた状態でヒアリングに臨み、シートに記入してください。
①' Google AnalyticsとGoogle Search Consoleの情報を把握
【目的】
適切なCV設定がされているかどうかの確認
現状での各数値を見て、不自然な数値や伸びしろのある数値がないかを確認する。
不自然な数値がある場合には最優先で改善、伸びしろがある場合には後の施策内で注力すべきと判断できます。
【手順】
「初期分析シート」>「GA分析」&「GSC分析」
各タブ内にある「確認事項」の内容と「確認方法」に従って、対応する場所を開く。
スクリーンショットを「スクリーンショット貼り付け」欄にペーストし、右側の「分析・考察」欄に考えを入力。
※CV設定が適切でないなど、重要な対策項目が浮上した場合は早急に対処を行う。
②Webサイト全体の情報を洗い出す
【目的】
クライアントのWebサイト全体がどのようなキーワードでGoogleに認識されているのかを確認する。
【手順】
「初期分析シート」>「サイトURL」
ツールはahrefsを使用
《全体評価の確認》
①URLをahrefsのSite Explorerにかける
②初期分析シート内の「ドメイン概要」欄を開く
③ahrefsの「概要」画面のトップ部分をスクリーンショット
④「ドメイン概要」の欄に貼り付け
《キーワード評価の確認》
⑤ahrefsの「オーガニックキーワード」欄を開く
⑥データをCSVにエクスポート
⑦GoogleスプレッドシートにCSVをインポート
⑧インポートしたデータを開き、以下の列を削除
「SERP features」
「CPC」
「Previous Traffic」
「Traffic change」
「Previous Position」
「Position change」
「Previous URL inside」
「Previous URL」
「Current URL inside」
「Previous date」
「Current date」
⑨残ったA-F列をコピーし、「ドメイン概要」タブ内のA10セルに貼り付け
《上位ページの確認》
⑩ahrefsの「上位ページ」欄を開く
⑪データをCSVにエクスポート
⑫GoogleスプレッドシートにCSVをインポート
⑬インポートしたデータを開き、以下の列を削除
「Previous traffic」
「Traffic change」
「Previous traffic value」
「Current traffic value」
「Traffic value change」
「Previous # of keywords」
「Keywords change」
「Previous top keyword」
「Previous top keyword: Country」
「Current top keyword: Country」
「Previous top keyword: Volume」
「Previous top keyword: Position」
「Top keyword: Position change」
⑭残ったA-G列をコピーし、「ドメイン概要」タブ内のH10セルに貼り付け
③対策キーワードとページを特定する
【目的】
特定の診療科目ページ(またはLP等)のSEO/MEO対策を行うため。
【手順】
①キーワードを参照
「初期分析シート」>「歯科医院概要」>「対策KWメモ」
【注釈】
下記3種類のキーワードで設定される場合がほとんど。
「地域名 インビザライン」
「地域名 マウスピース矯正」
「地域名 矯正」
※ホワイトニング、インプラント等の場合もある
②キーワード検索での表示先(ランディングページ)を参照
「初期分析シート」>「サイトURL」>診療科目ページ
④現在の順位を検索する(マップ&オーガニック)
【マップ検索】
マップ検索では、順位確認と同時に情報入力→分析まで行います。
①GoogleのシークレットウィンドウでGoogleマップを開く
②「対策KWメモ」にあるキーワードで検索
③各キーワードの検索結果で、クライアントのリスティングの表示順位を目視で確認(→現状把握)
④初期分析シートの「GMB概要」タブ内項目に、クライアントのリスティング情報を入力
④上位のリスティングを競合とみなし、競合のリスティング情報を入力
⑤クライアントと競合の差分を見た上で、「分析・考察」欄に施策項目と数値を入力
【オーガニック検索】
オーガニック検索では、クライアントの順位把握と競合の特定まで行います。
①Googleのシークレットウィンドウを開く
②「対策KWメモ」にあるキーワードで検索
③各キーワードの検索結果で、現在の順位とランディングページを目視で確認(→現状把握)
④上位のWebサイトのうち、歯科医院のページを別ウィンドウで開く(→競合およびベンチマークとみなす)
⑤上位サイトの量と質から対策の難易度を把握する
【目的】
前提:SEO対策は相対評価である。
上位表示を狙うキーワードで〈何をどれだけ、どのように〉改善を行うかを洗い出す前に、施策の難易度に当たりをつける。
【手順】
①オーガニック検索結果で特定した(別ウィンドウで開いた)上位の競合URLを、ahrefsのSite Explorerにかける
②以下の点を目視し、《②Webサイト全体の情報を洗い出す》で「ドメイン概要」に入れた情報との差分を確認する
・Ahrefs Rank
・被リンクの数
・オーガニックキーワードの数
・オーガニックキーワードの内容
・オーガニックトラフィックの数
・オーガニックトラフィックの内訳
・上位ページの数
・上位ページの内容
・トップレベルドメイン(TLD)の種類
・所属する歯科医師のE-A-Tの強さ など
以上によって、競合のサイトが所有するコンテンツの量と質の概観がわかる。
言い換えれば、以下2つを掴むことができるのです。
・競合の歯科医院のWebリテラシーの程度
・競合の歯科医院のSEO対策への投資の程度
競合のリテラシーとSEOの程度がわかることで、全体としての難易度と対策内容がより詳細に検討可能となる。
《施策の方向性についての考え方》
競合全体のリテラシーが低い場合
通常のコンテンツ制作および改善、ユーザー動線の強化などで対応可能(比較的簡単)
一部または全体のリテラシーがある程度高い場合
通常のコンテンツ制作および改善、ユーザー動線の強化などを最低限行ったうえで、よりリッチなコンテンツを入れて競合よりも優位にする施策が必要となる(比較的高度)
【注釈】
「地域名 インビザライン」など、キーワード内の地域名が広域に設定されている場合、競合の母数が多いため、難易度が高くなる傾向にある。
最初は「◯◯区」から設定し、徐々に対策地域を広げていくほうがよい場合もある。
⑤SEO難易度と予算からベンチマークを設定する
【目的】
「このキーワードで◯位に表示させる」つまり「このサイトよりも上位に表示させる」という評価基準を設ける。
難易度の程度を考慮しつつ、予算内でどこまで対応するかを見極める必要があるためである。
【注釈】
以下のような場合には注意が必要。
・大手が参入している
・個人の歯科でも、所有するコンテンツの量と質に圧倒的な差がある
理由:競合は莫大な投資を行っている可能性が高く、少ない費用では対応しきれない。費用対効果が見えづらい結果に終わる可能性があるため。
上記のとおり、高難易度で低予算の状況に該当する場合、「対策キーワードの地域名を変更(地域を縮小)する」といった対応も視野に入れる必要がある。
⑥ベンチマークとするページと対策ページの差分を出す(SEO対策)
【目的】
《何をどのように、どの程度改善するか》の判断基準を出す。
具体的には、クライアントのWebサイト内に《何の情報を、どのように、どれくらい》足し引きすべきかを相対的に考える。
【手順】
①ベンチマークするページの見出し構成、文字数などのSEO情報をツールで抽出する。
使用ツール:ラッコツールズ「見出し(hタグ)抽出」
②検索結果1ページ目を狙って施策を行う場合は、ベンチマーク単体だけでなく、周辺の競合全体で抽出。
③競合ページの見出し構成に目を通し、各サイトの強みと弱みの傾向を確認する。
④ベンチマークおよび周辺の競合ページに「ある要素」と「ない要素」を抽出。
「ある要素」→必ず自社(クライアント)にも含める
「ない要素」→自社ページに追加すれば、競合優位の要素となる
以上の手順を踏んで、根拠のある具体的な施策提案を行うことで、以下のような筋の通った説明が可能になるのです。
「いくらの予算で」
「何をどのようにして」
「ここらへんを狙う」
「結果としてこのような利益が見込める」
最低限のリテラシーがある相手であれば、この説明である程度の費用対効果の理解をしてもらえるでしょう。
⑦施策提案をまとめる
ここまでの手順で、施策の難易度と費用対効果の概観を掴みました。
最後に、クライアントへの施策提案とその根拠をまとめて、担当者へ引き継ぎます。
《施策項目一覧》
・基本的なSEO設定(titleタグ、descriptionタグ、hタグ、altタグ、ページの表示速度など)
・MEO対策(Googleビジネスプロフィール運用)
・SEO対策(Webページ改善or制作)
・HPリニューアル
・LP制作
・Web広告運用
・その他コンサル全般
共有する内容は、「初期分析シート」内の「分析結果まとめ」タブにある入力欄に書き出していきます。
《入力項目》
・自社サイトの現状:検索順位、タグの設定状況など
・競合状態:ベンチマーク他競合サイト、各医院の強みと弱みなど
・目標:実現可能な施策を通して達成したい未来(順位、キーワード数など)
・総合評価:自社リソース、クライアントに関する懸念点、その他補足事項などあれば
・改善戦略:提案できる施策について、優先順位を付けながら入力
①で把握しておいた「クライアントの性格や特徴」を考慮しつつ、提案内容を考えておくとなお良いでしょう。
⑧ヒアリング(営業)担当者に共有
直接顧客とのやりとりを行う担当者へ、まとめたものを持っていきます。
MTGでここまでの内容を共有し、あとは担当者に任せます。
リサーチ担当者の任務は一旦ここで完了です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?