資格を取得することの意味について考える
僕はいま「学びなおし」をしているところですが、今後資格試験を受けることも検討しています。僕自身これまでキャリア相談の仕事を長くやっていた経験も踏まえて、今回は資格を取得することの意味について考えてみたいと思います。
※以下では免許についても資格と同等のものとして扱っていますが、ご了承ください。
必須である資格と必須ではない資格
資格は業務における法律上の扱いによって、おおむね次の2パターンに分けられると僕は考えています。
それは業務を行うにあたって法律上で「必須である資格」と「必須ではない資格」です。
必須である資格=法律上でその資格がないと業務を行うことができないとされている資格
身近で代表的なものは「普通自動車免許」です。無免許運転は法律で禁止されているため、車の運転には免許が必要です。
他には医師・薬剤師などの医療系資格や保育士・介護支援専門員などの福祉系資格、いわゆる士業とよばれる税理士・社会保険労務士などの資格も「必須である資格」の一例であるといえます。
必須ではない資格=業務を行うにあたって法律上では特に規定されていない資格
例えば語学系資格の英検やTOEICなどは語学力を測る上での一つの指標とはなりますが、その資格がないと通訳や翻訳が法律上できないわけではありません。
但し企業の求人募集において「TOEIC○○○点以上」などという基準を設けている場合はあります。つまりは法律上では必須ではありませんが、求人への応募において必須となる場合はありますので注意が必要です。
語学系資格の他には、ITパスポートなどのIT系資格や簿記検定などの事務系資格、漢字検定などの仕事と直接的には関わりの薄い資格も「必須ではない資格」の一例であるといえます。
必須である資格の特徴
・法律上で資格が必要とされている業務を行う場合は、事前に資格を取得しなければならない。そのため当該業務を含む求人に応募する場合は、資格により応募条件を満たしたり採用面で有利に働いたりすることも多い。
・資格にもよるが難易度が高いものもある。また取得までの勉強時間や費用が多くかかるものもある。
・受験するにあたって、所定の学校・学部の卒業や講座の受講、実務経験等が必要なものもある。
「必須である資格」は取得するまでが大変な場合も多いですが、取得により法律上でのお墨付きを得るという大きなメリットがあるということですね。「必須である資格」を活かして長く働かれる方も多い印象です。
必須ではない資格の特徴
・業務を行うにあたって資格の有無自体は特に問われない。そのため当該業務を含む求人に応募する場合は、資格についてあまり重視されない場合も多い。むしろ「実際にどの程度の知識や技能があるのか」を問われやすい。
・資格にもよるが初級レベルからスタートするものが多い。また取得までの勉強時間や費用がそれほど多くかからないものが多い。
・受験するにあたって、学歴や実務経験等の制約がある場合は比較的少ない。
僕がキャリア相談をしていた際に、「必須ではない資格」にもかかわらず就職にかなり有利であると過信している方も多くいらっしゃいました。「必須ではない資格」は採用選考における最低限の応募条件であることや1つのアピール材料になることはありますが、採用の決め手となることは少ないのが僕の印象です。人事担当者からは、「実際にどの程度の知識や技能があるのかを重視している」と伺うことの方が多かったです。
資格を取得することの意味って?
これまでのお話の中で、「必須である資格」については法律上でのお墨付きを得るという大きな意味があることをご理解いただけたかと思います。
では「必須ではない資格」を取得することに意味はあるのでしょうか?
僕は次のような意味があると考えています。
・資格試験が1つの目標となるため、学習計画を立てやすい。また学習のモチベーションを上げやすい。
・資格によっては級別に難易度が設定されており、段階的に無理なく学習することができる。
・資格を取得した時点での一定水準の知識・技能の担保にはなり得る。
資格試験は、効率的かつモチベーション高く学習するためにはとても有用であると僕は考えています。「人間は目標がないとだらだらしやすい生き物である」というのが僕自身の経験による持論です(苦笑)。学生時代がそうでしたが、試験があるとそれを目標にしてある程度の緊張感を持って取り組むことができます。
また資格は一定水準の知識・技能の担保になり得るとは思いますが、「取得した時点での」というところがポイントです。資格を取得してもその後に何も学習しないと知識や技能はどんどん劣化していきます。つまり「必須ではない資格」に意味を持たせるには、資格取得後も学習を継続して知識や技能を高めていく努力が重要ということです。
おわりに
資格を取得することは、その分野の知識や技能を高める過程での1つの通過点であるといえるのではないでしょうか。
僕は今後も資格試験をうまく活用しながら、効率的に学習を進めていきたいと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。