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異業種からサービスデザイナーになって感じた挫折・ギャップ(後編)

こんにちは!
「Tangity」のサービスデザイナー、Mariです。

今回は、前回の記事に引き続き「異業種からサービスデザイナーになって感じた挫折・ギャップ」を紹介します。

2018年まで、私は別の職種で働いていました。
サービスデザイナーとして働き始めた当時、どうやって学べば良いのかわかりませんでした。研修・案件で感じた挫折・ギャップもありました。そこで、今回記事として紹介してみることにしました。

特に以下の方の参考になれば嬉しいです。

・デザイナーへの就職・転職を考えている方
・インハウスデザイナーの育成に興味がある方


1.略歴

2018年3月まで、私はNTTデータの研究職や広報として働いていました。デザインスタジオの立ち上げを機に異動し、現在はサービスデザイナーとして、お客様とともにサービス企画・開発に携わっています。

今回は体験談を全2回の記事でまとめました。
後編では特に、前編で書いたような研修や教科書に載っていることをそのまま試しても「実プロジェクトでは中々うまくいかなかったり、工夫して乗り越えた経験」に触れていきます。

前編
2018年に参加したデザイナー育成研修で感じた「挫折・ギャップ」や向き合い方を紹介しました
後半(今回の記事)
2019〜2022年に担当したお客様案件で感じた「挫折・ギャップ」や向き合い方を紹介します


2.これまでに関わったプロジェクト

NTTデータはさまざまなお客様の活動を支援しています。

  •  公共・社会基盤分野(中央省庁、地方自治体などの公共機関、医療機関)

  •  金融分野(銀行、証券会社、保険会社などの金融機関)

  •  法人分野(流通、製造、サービス業などの法人)

NTTデータの代表的なサービス・ソリューション事例

私たちはNTTデータのデザインチーム「Tangity」です。
サービスデザイン」のご相談であればどの業界のお客様からもまずご相談いただいています。

私個人としても、3分野全てのデザインプロジェクトに関わってきました。
2019〜21年は公共分野(特に中央省庁、医療機関)の案件がやや多かったです。
2022年を振り返ると法人(特にエンタテイメント)のお客様案件が続き、これまでにない特性の案件を楽しんだ一年でした。

一方、すぐにサービスデザイナーとして一人前になれたわけではありません。
数年間の活動で感じた挫折・ギャップと乗り越え方について、前編でも使ったダブルダイヤモンドと関連づけて紹介します。

ダブルダイヤモンドモデル


3.挫折・ギャップ① 
インタビュイーに寄り添った環境・会話の流れが準備できていない

共感」の段階で感じた挫折・ギャップは「インタビュイーに寄り添った環境・会話の流れが準備できていない」点でした。

インタビューの成功において、インタビュイーとのラポール(信頼関係)の形成がとても重要になります。

初対面かつ短時間でラポールが築けるように準備するものの、「あぁ・・・、事前準備が足りていなかった」と反省することもありました。

(例)会議であれば上座・下座を意識して席順を決めるが、例えばインタビュイーの体半身に麻痺が残っていたり車椅子を使っている場合、上座だと閉塞感を感じさせてしまうことがある

(例)「聞きたい」が先行して「答えやすい」質問設計が十分にできていない(時系列に則した質問順とし体験を思い出しやすくする。クローズド←→オープンの質問を使い分けるなど)

相手のプロフィールから想像を膨らませば事前に気づけたのに!」とサービスデザイナーになってしばらく毎日反省ばかりしていました。

さらに、コロナ禍でオンラインインタビューの比率が増えたこともあり、オンラインならではのコミュニケーションのコツも模索していきました。


4.挫折・ギャップ② 
事前に前提条件や期間が決まっていて、反復ができない

アイデア」の段階で感じた挫折・ギャップは「事前に前提条件や期間が決まっていて、反復ができない」点でした。

サービスデザインの研修や教科書では、よく「ユーザーにとって価値あるサービスを生み出すために、『調べる』『作る』を反復的に繰り返そう」と言われます。

一方、実際のプロジェクトでは制約条件があるため、アイデアのふくらみや反復が中々狙い通りにいかないことがありました。

(例)プロジェクトの期間が限られており、前の工程に戻ったり、一旦落ち着いて立ち止まる余裕がない

(例)アイデアを「システム化できる」範囲で考えなければならない

(例)プロジェクト前からお客様が温めていたアイデアも同列に扱うことになったが、他のアイデアと比べて温めていたアイデアへのこだわりが強く、適度な発散・収束の促しが難しい

毎回のプロジェクトの中で、まるでシフォンケーキの焼き上がりを待つ時のようにアイデアのふくらみを注視してきました。そして、ふくらまなかった時は、大抵「ビジネスの制約条件を加味したスケジュール・参加者調整ができていない」時でした。


5.挫折・ギャップ③ 
綺麗なアウトプットを作って満足しがち

実験」で感じた挫折・ギャップは「綺麗なアウトプットをして満足しがち」な点でした。

この段階まで来ると綺麗だったり動くアウトプットができるので、場の空気は良いものになりますし、満足度は上がります。

一方、それらのアウトプットは「現時点のToBe」でしかありません。新しいサービスが提供されれば、別のニーズ・課題が出てきます。提供価値が発揮できているのか効果を測定することも重要です。

「サービスデザインを一回やって終わり」ではなく、「後続の工程や改善活動までお客様と伴走できていたか」を振り返ると、至らない点が多いと感じてきました。


6.挫折・ギャップとどう向き合ったか

ここからは挫折・ギャップにどう向き合ったかを書きます。
ある方にとっては当たり前のことが多く、別の方は異なる解決策を持っていると思いますが、一例として紹介します。

6.1 共感(段取り八分、仕事二分)

「段取り八分、仕事二分」とは仕事の事前準備の大切さを表す格言です。私はインタビュー準備もまさにこれだと考えています。

一見、素晴らしいインタビューガイドができたとしても、試してみると会話の流れが途切れる、(特に自身に馴染みのない業界だと)おかしな用語を使っている、対面/オンラインなどの環境に合っていないことがよくあります。

インタビュイーの表情・想定問答を徹底的に想像し、チームメンバーにもテストの協力を仰ぐなど準備を徹底することにより、だんだんとインタビューの取れ高の質が上がるようになりました。


6.2 アイデア(止まる・戻るを前提としたスケジュール設定)

サービスデザイナーになりたての頃を振り返ると、余裕のないスケジュール・参加者を組んでいたなあと言うのが自身への印象です。

「ここで止まりそう」「ここで前の工程に戻りたくなるかも」
「このレベルの判断を促すためには人が足りない、意思決定権者が必要」など
順風満帆にはいかなそうなポイントを洗い出し、(お客様には見えにくい形で)スケジュールや参加者に余地を持たせることで、落ち着いたプロジェクト遂行ができるようになりました。


6.3 実験(デザインの効果測定を最初から視野に入れておく)

「綺麗なアウトプットを作ったら終わり」にしないために、アイデアやサービスの良し悪しをどう測るのか、デザインを点ではなく線の活動としていくかについて案件開始時点でお客様と話し合うようになりました。

Tangityでは、常に“ユーザー”を見ながら改善を繰り返す。そのサイクルを回していくためにデザイン機能を事業体の中に作っていく「DesignOps」の取り組みも実施しています。

丁度お客様とのインタビュー記事も公開されましたのでぜひご覧ください!


7.まとめ

全2回の記事の中で、異業種からサービスデザイナーになって感じた挫折・ギャップと私なりの乗り越え方についてご紹介しました。

特に、最近サービスデザインに興味を持ったり、転職・リスキルを考えている方にとって少しでも参考になったら嬉しいです!

前編の記事はこちら


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