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プロセスで解説!業務システムのUI/UXデザイン

こんにちは。NTTデータのデザイナー集団「Tangity」の堀江です。
Tangityの中でも主に金融業界のお客様を対象として、UI/UXデザインなどを行っています。
 
コンシューマー向けのサービスやシステムでは、当たり前のように行われているUI/UXデザインですが、業務システムではまだまだ一般的ではないように思います。
 
業務システムにおいても当たり前のようにUI/UXデザインが実施される、その一助になればと思い、普段我々が実施している業務システムのUI/UXデザインのプロセスについて、簡単にですがご紹介します。


そもそも業務システムにUI/UXデザインは必要か?

「やりたことがどこからできるのか、みたい情報がどこで見れるのか、分からない…」
「やりたいことを完了させるまでにあっちに行ったりこっちに行ったり、操作もたくさん…」
 
高頻度で利用しなければならない業務システムがこのような状態だったらどうでしょう?
 
業務効率化のためのシステムのはずが、気が付くとシステムの操作に時間をとられ、本来やりたいこと/やるべきことができない、やるべきことをやるために時間外にも働く…といったことになってしまいます。
 
UI/UXが良くない場合、コンシューマー向けのサービスでは、ユーザーのサービス離脱(他社への乗り換え)につながりますが、業務システムの場合、ユーザー(=従業員)はシステムの利用からは逃れられないので、最悪だと会社から離脱(他社への転職)するなんてことにも…。
 
というわけで、業務システムにおいてもUI/UXデザインは必要なのです。

業務システムでUI/UXデザインが実施されないのはなぜ?

業務システムにおいてもUI/UXデザインが必要であるにもかかわらず、実施されないのはなぜでしょうか。
 
主な理由として、以下の2つがあると考えています。
 
理由1:コンシューマー向けと比べ、デザイン投資の優先度が低くなりがち
理由2:業務/システムの複雑性が高く、一定の業務理解がないと
    UIデザインできない

 
まず、1つ目の「コンシューマー向けと比べ、デザイン投資の優先度が低くなりがち」ですが、UI/UXの良し悪しが他社との競争力に直結するコンシューマー向けサービスのUI/UXデザインが優先されるため、業務システムはどうしても後回しにされてしまっていると考えます。
 
また、2つ目の「業務/システムの複雑性が高く、一定の業務理解がないとUIデザインできない」ですが、業務システムでは、複雑な業務処理の実現、業務特有の機能や情報の取り扱いが必要なケースがあり、UI/UXデザインの実施において業務への一定の理解が必要となるため、デザイナーが参画しづらいといった事情もあると考えます。

業務システムのUI/UXデザインのプロセス

弊社では、事業部門等への啓蒙活動(デザイン活用セミナー等)の効果もあってか、業務システムのUI/UXデザインの相談や対応件数は年々増加してきています。
 
業務システムのUI/UXデザインについて、我々が実施している典型的なプロセスをご紹介します。

  1.  現状分析(業務と課題の理解)

  2.  UIデザイン

  3.  プロトタイピング

  4.  ユーザー確認と見直し

  5.  ビジュアルデザイン

1.現状分析(業務と課題の理解)

業務に関わる人々や、それぞれが行っている作業内容などについて調べ、その中でどのような問題や課題があるかを理解することで、”改善すべき事柄”を明確化します。

 ユーザーから具体的な要望をヒアリングするアプローチをとらないのは、その要望がベストな解決策であるとは限らないためです。例えば「ある情報の検索機能が欲しい」という要望をそのまま受け取ると、一覧画面の検索条件を一つ追加することになりますが、「いち早く情報にアクセスする」という目的に立ち返ると、トップ画面にサマリー情報を掲載する方がユーザーにとって利便性が高いかもしれません。

このように、ユースケースや業務上の課題・目的を理解して、それを解決するためのベストな手段を考えていきます。

2.UIデザイン

抽出した問題への解決策(機能案)を検討するとともに、具体的なUIについて設計します。
 
業務システムは取り扱う情報が膨大なケースが多いため、検討漏れの防止や関係者間の合意形成を円滑に進めるために、システムで取り扱う情報の構造化、サイトストラクチャー(見直し後)を整理した上で、UIの設計を行っていきます。
 
また、画面数も膨大になることが多く、全画面を設計対象とすることは現実的ではないため、画面のパターンを整理し、各パターンを網羅する画面を選定の上、UIの設計を行います。

3.プロトタイピング

UIデザインの結果を基に、プロトタイピングツールを用いてプロトタイプを制作します。
 
 制作したプロトタイプは、ユーザー等の確認を経て、実際の開発のインプットとなるため、後になって、関係者間での認識齟齬や検討漏れ等のトラブルが発生しないよう、文字数やサイズ、必要最小限の配色、表示の固定やインタラクション等の動作を含め、“本物”に近い操作感で制作していきます。

4.ユーザー確認と見直し

作成したプロトタイプについて、ユーザーを含む関係者間の認識統一を図りながら、機能案の有効性や操作の流れがユーザーにとって自然であるかを確認します。また、ユーザー等からのフィードバックを基に、機能・UIデザイン・プロトタイプを見直します。

5.ビジュアルデザイン

関係者間で合意したプロトタイプを基に、最終的な見た目(全体的な配色、ボタンやフォームの形状など)のデザインを行います。また、実装に向けたフロント資産や設計ルールを整備します。

おわりに

概要レベルではありますが、業務向けシステムのUI/UXデザインについて、典型的なプロセスをご紹介させていただきました。
 
UI/UXデザインのプロセスについては、プロジェクトごとに、期間や予算を踏まえた設計が必要となるため、ご紹介したプロセスが“絶対”というものではありませんが、典型的なプロセスとして、参考にしていただけたらと思います。

デザイナーさん

現在Tangityではデザイナー職を積極的に採用しています!サービスデザイン、UXデザインのクライアント業務の経験がある方、ぜひ私たちと一緒に働きませんか?募集要項など詳細はこちら。お待ちしております。

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