Tangity流、リモートワークショップのデザイン
こんにちは!株式会社NTTデータのデザイナー集団「Tangity」で、デザイナーをやっています石澤です。
今ではリモートでワークショップを行うことが当たり前となり、ワークショップの新たな常態が定着してきました。私たちTangityもオンライン完結型のワークショップに取り組んでいます。
一方で、これから初めてリモートワークショップに取り組もうとされている人たちもいることでしょう。
今回の記事では、
「Tangityではリモートワークショップをどうデザインしたのか」についてご紹介します!
1.オンラインだからこその"体験"をデザインする
始めに、オフラインで体験してきたことと全く同じことをオンラインで実現することができると思いますか?
もちろん、その答えは、ノー です。
これまでオフラインでやってきた体験をオンラインで代替することではない。
Tangityでは「オンラインでしかできない体験をデザインすること」に取り組んでいるのです。
では、どう取り組んでいるのか。
まず、Tangityでは語源にある「Tangible(手触り感のある)」をベースに4つの価値観を尊重しています。
Tangityの4つの価値観
上の図は、Tangityの4つの価値観をマインドマップで表現したものです。
この4つの価値観をまとめると次のようになります。
Integrity:
真摯な姿勢で築く信頼関係と価値ある物づくりに取り組む
Imagination:
潜在的な課題発見と多角的な視点で物事を捉える
Commitment:
顧客や仲間と共により良い社会を作る情熱とマインドを醸成する
Empathy:
インクルーシブとダイバーシティを尊重した相互理解に務める
これらの価値観を前提に、オンラインで必要と考える4つの体験を、
Integrity→ハイブリッド
Imagination→場
Commitment→ビフォー・アフター
Empathy→コミュニケーション
としてデザインしています。
2.オンラインでワークする場をデザインする
そもそも、オンラインやオフラインに関係なくワークショップの中で実現したいこととは何でしょうか?
それは、共通のテーマと課題に取り組み、様々な考えや視点を持つメンバーとディスカッションし、ひとつの結論を出すことです。
この時、もっとも実現したいことは、「参加者同士が同じ場所で一緒に取り組める」「自分や自分のチーム以外のアウトプットを共有できる」ことです。
つまり、オンラインで必要になる"体験"は、「ワークする場」と「その場で参加者全員が議論し結果を共有できること」です。
この体験を実現するために、TangityではオンラインホワイトボードMiro(ミロ)を使っています。
下の図は実際に使っているMiroのボードです。
全員が同じ目線で議論とワークができる場を作りました。
Miroのボード
4つのレーンで構成しています。
・事前の全体説明会
・当日のアイスブレイク
・個人ワーク
・グループワーク
全体のエリア、個人で行うエリア、グループで行うエリア。
各レーンでは上から下へワークしていきます。
そうする事で参加者全員が「自分が今どこで何をやっているのか、他の人やグループがどんなアウトプットを行ったか」を確認できるようになります。
オンラインだからMiroを使えば良いというツール起点の発想ではなく、その場で何を実現し達成したいのか。つまり、ゴール起点の発想でデザインしているのです。
3.コミュニケーションをデザインする
オンライン完結型のワークショップを行う場合、参加者だけでなく運営体制のコミュニケーションのデザインも大切になります。
下の図は、オンラインワークショップ(半日)を実施した際の運営体制とオフラインとの負荷感(※)を比較しまとめたものです。
特徴的なのは、オンラインではメインとサブのファシリテーター以外に1〜2人の運営サポーターが必要になる点です。
運営体制と負荷
※:オフライン時の事前、当日、事後それぞれで必要な工数を1とした時の重み
なぜなら、オンライン上では円滑な意思疎通が難しく一方通行になりがちだからです。
その為、コミュニケーションのデザインとは、「オンライン上でインタラクティブなやりとりをできるようにすること」になります。
そして、運営サポーターがその役割や振る舞いを担うのです。
例えば、SlackやDiscordのツールを使うことで参加者の様子をモニタリングするなど、プロアクティブな対応をしてもらいます。
この時、複数のコミュニケーションツールを使用すれば良いということはありません。ツールは統一することが望ましいです。
4.ビフォー・アフターをデザインする
ワークショップでは当日の前にやることと、後にやることが発生します。
それはオンラインであってもオフラインであっても必要なタスクです。
ビフォーをデザインする
オンラインであれば、事前に使用するツールの操作確認、接続確認が必要になります。
例えば、参加者に共有するURLを連絡したり、事前にアプリのインストールをお願いしたりなどです。
Tangityで実際に定義しているガイドラインの抜粋をご紹介します。
オンラインでは特にMiroやSlackのアカウントの事前登録が必要となりますので、丁寧な告知と説明が重要です。スタジオの誰が運営しても一定の品質が提供できるようにしています。
アフターをデザインする
ワークショップが複数日に亘るカリキュラムの場合は「終わった後の次のアクション」をデザインすることが必要になります。
なぜなら、参加者は次のワークショップまでにMiroのボードで行った結果を個人やチーム内で振り返ったり、他のチームの内容を確認したりするためです。
一方、運営側としては、オフラインのアフターでは手間のかかったフィジカルな手書きの付箋を整理したり、デジタル化したりする作業が無くなります。その分、ビフォーのデザインに割く時間や手間が増えるのがオンラインの特徴です。
5.ハイブリッド型をデザインする
これまでスタジオではオンライン完結型によるリモートワークショップを行ってきました。
今後も社会的な情勢に応じて実施環境や形態が変わることが予想される中、「オンラインかオフライン」という択一なやり方にはならないと考えています。
スタジオでは、オンライン型を軸としつつワークに応じたハイブリッド型のワークショップをデザインしていく予定です。
私自身が考えるデザインとは、「従来、ある条件や前提の元では最適であると思っていた事が、どうも違うぞってことになっている(なるかもしれない)ので、それを心地よいと思う形に設計すること」であると思っています。
そしてワークショップのデザインの場合、そこに参加する人が、「面白いな」「なるほど」「良かった」という体験ができるようにしなければならないとも思っています。
そのようなTangity流のリモートワークショップを作っていきます。
今後もアップデートします!
このnoteに記載しているポイントは今後もアップデートしていく予定です。読んでいただいた皆さんの参考になり、Tangityの取り組みに興味を持っていただけたら嬉しいです。
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