400字の部屋 ♯12 「珈琲 6」

 近所に出来たcafeは、concreteの壁にgrayを基調とした内装がとてもchic で、真一はここで挽きたてのdrip coffeeを座り心地抜群のsofaに座って店内を眺め乍ら飲むのを何よりの愉しみとしていた。
 真一は手元のnoteを広げて、今週の予定を確認する。
 木曜日の欄に「〆切」と赤い字で書いてある。
 原稿は今日にも書き上がるので、校閲を含めても木曜の〆切には十分間に合うだろう。漸く、カタがつく。今回は最後のtrick解明でそれまでの伏線回収が難儀だったな、まさかJandroff が主役のPeakerBooより人気が出るとは思わなかったから途中で死ぬ筈のJandroffを最後まで出させる事になって辻褄合わせが超しんどかったな、それだけならまだしも、最初のBarのsceneで酔っ払ってPeakerBooに絡んで殴り倒されるだけの「Bourbon KillerのJoe」を編集長が気にいるもんだから反対にPeakerBooが殴り倒されちゃって、その後も「Bourbon KillerのJoe」が店内を暴れ回って一時主役不在語り手不在の文章になったりして、本当参ったけど何とかここまで来てホント良かった。
 noteを閉じてdrip coffeeを一口含んだ時、smaphoがvibeした。編集長からだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?