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パリ花留学のススメ vol.1

はじめに

「ウェディングブーケを作れる人になりたい」とフラワーデザイナーの道を志し、20年以上お花に関わる仕事をしてきた中で、ここがターニングポイントだったなといつも振り返り思い出すのは2017年にパリに花留学をしたことです。
1ヶ月という短い期間でしたが、過ごした日々の出会いや経験が今の私に自信を与え続けてくれているような気がしています。
私にとってはある意味、フラワーデザインを学びに行ったのに人生を生きやすくするヒントを得たような感覚がありました。
フランス語も英語も碌に話せない私が一人で海外へ行った理由。
不安な気持ちを振り切ってまで花留学を決めたのは、今の自分を変えたいという思いと抑えられない探究心に突き動かされてのアクションでした。

あくまで私の経験に基づく内容にはなりますが、フラワーデザインを学びながら自分のライフスタイルや内面のブラッシュアップができた1ヶ月だったので、「パリで花留学をしてみたい」とご検討されているみなさまにとって参考にしていただきたい内容をお伝えしていきます。
まずは、私とパリとの出会いについてお話させていただきます。


初めてのパリ滞在

専門学生の時からパリ花留学は専門書を見て憧れてはいましたが、当時の私にとってはとても現実的ではありませんでした。パリのお花屋さんをこの目で見てみたいという憧れはあったものの、お金もないし度胸もないしで自分には夢物語のような、そんな感覚でいました。
ところが花屋さんに就職してすぐの19歳の時に、職場の先輩から「ツアー料金、ホテル代&往復航空チケット代込み10万円くらいでパリに1週間行けるよ」と情報を得て、こんなチャンス今しかない!と行くことを決めたのです。今じゃ考えられないですよね(笑)
周りに同じような夢を持っている友達や同僚もいなかったので1人で行くことにしました。

パリでの思い出

ツアーで申し込んだので行き帰りの飛行機とホテルには日本人スタッフの方がいてくれたので言葉が通じない不安はあまりなかったし、たまたまツアーの中に1人で参加していた年上の日本人女性の方がいて、その方にとても親切にしてもらって何度か食事をご一緒させてもらったり蚤の市に連れて行ってもらったりととても有意義な時間を過ごすことが出来たのです。
パリの有名なお花屋さんにも足を運びました。その頃はもちろんスマホなんてなく、地図を見ながらあちこち歩いて探し回り、店内に入る勇気がないので外から眺めながら写真を撮ったりウィンドーディスプレイに感動しながらパリの町を散策しました。
まだデジカメもない時代だったのでフィルムカメラでたくさん写真を撮りました。目に映るもの全てがキラキラ輝いていて心が震えて何か運命的なものをその頃から感じていました。
もう少し勇気を出していればもっとたくさんの経験ができたかもしれないけれど、私にとってはそれが初めての一人海外旅でした。
帰りの飛行機でまさかのダブルブッキング。運よく私だけビジネスクラスに乗れたことはもう奇跡としか言いようがありません(笑)
初めてのパリはそんな素敵な出会いとハプニングでいっぱいの楽しい思い出となっています。

パリで活躍するフラワーデザイナーとの出会い

パリでブーケレッスンを受けました。

2013年、3度目のパリ滞在の話。
その頃はフリーランスで花仕事をするようになってて、自分の表現を模索していた頃でした。相変わらずパリへの憧れはありましたが、どこか自分には届かない世界のように感じていた気がします。
自由な表現がしたいと思いつつ、どこかロジカルな思考に捉われていて何だかなと思い悩んでいた時に、当時日本で広まりつつあったナチュラルなパリスタイルとは?と、その答えを探求したくなったんです。
そしていろいろ探していたら、パリで活躍されているフラワーデザイナーの齋藤由美さんをインターネットでたまたま見つけて、衝撃を受けました。
だって、パリスタイルってこれやん!っていう確信的な答えを見つけてしまったからです。
今思えば、独自性をもってその技術やセンスを活かし、パリという街で第一線で活躍されている由美さんのお人柄や生き様に感動し、共感したからなのだと気づきましたが、当時はブログに綴られる言葉や写真に惹かれ、この方は本物だ!と直感的に運命を感じ、いつか会ってみたいなと思うようになっていました。

運命的なチャンス

そうしたら、たまたま参加した中学校の同窓会で、「働いていた花屋さんを辞めて今度パリに花留学する」と話してくれた子がいて、詳しく聞くとなんと「齋藤由美さんを頼ってパリのお花屋さんで研修する」と言うではないですか!
「これは運命!?」と感じずにはいられず、彼女が留学している間にパリに行くことを決めたのでした。
それから数ヶ月後、友人と連絡を取りながら現地に到着。1週間パリに滞在し、留学中の友人のサポートもあって、斉藤由美さんとお会いすることができ、ヴァンソン・レサール氏のスペシャルフラワーレッスンを受けさせてもらうことになりました。

シャンペトルブーケとは

当時、シャンペトルブーケと呼ばれるパリで流行しているデザインがありました。シャンペトルとは、フランス語でChamp(シャン)=田舎を意味するところから来ていて、まるで野に咲く草花を摘みとって束ねたような姿からそう呼ばれているスタイルのようですが、シャンペトルスタイルの生みの親であるクリスチャントルチュは、私が専門学生時代に憧れたパリのトップフラワーアーティストの一人で、初めてパリを訪れた時にフィルムカメラでも写真に収めていたまさにあのお花屋さんがクリスチャントルチュです。
そこでシャンペトルスタイルを学んだことがきっかけで、感覚的にもロジカル的にもナチュラルとはどういうものを指すのか?という意味を自分の中で腹落ちさせることが出来たのです。
あくまで個人的な感覚ではあるけれど、シャンペトルブーケの束ね方を実際に憧れの人に直接教わったおかげで納得することが出来たように感じています。

おわりに

その後、私は自分のスタイルをもって表現する喜びを知り、花仕事を通してお客様に独自のフラワーデザインをご提案するようになりました。
シャンペトルスタイルを軸に、独自の解釈で創作に落とし込みウェディングフラワーやインテリアフラワー、ギフトフラワーなどの制作に取り組みました。
そうして数年経ち、今度はパリに1ヶ月の花留学を決意することとなるのですが、そのお話はまた次回に。

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