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梅干しの夜干しをする理由

梅干し作り


 梅干しの手作りが好きで、若い頃から作っていた。
塩で漬けて梅酢が上がる時の甘い香り、
赤紫蘇を入れて干した時の芳しい香りが好きで、
一度作ったら、買ったものが物足りなくて。
なので可能な時はできるだけ作る。

糠味噌と違って、日々の手入れが要らず、
作るのは年に一回で良いというのも、
性に合っているのかもしれない。笑

梅干しは、梅酢が上がって、赤紫蘇を入れたら、
ご存知、土用の頃に土用干しをする。

昔、私が見たレシピでは確か三日三晩干すとなっていた。
なので、昼に干して、そして夜も干す。
夜はお天気を気にしつつ、
窓を開け放しにして、気配と香りを感じながら寝ていた。
この手の掛け方も、夏の風物詩といった感じで、
結構好きだったりする。
まあ、年に一回なので。

夜干しはなぜするのか不思議だった

昼に、漬けた梅を干すのは、
水分を飛ばすとか、日光消毒の意味があるのだろうと思っていたが、
夜も干すということの意味が実はずっとよくわからなかった。

また体験的に、昼にカラカラになったはずの梅が
そのまま夜に干すと、梅酢に戻さなくても
しっとりとするのを不思議に思っていた。
梅に露?がついていたりすることも多い。

夜の大気を吸わせるとしっとりするんだなと何となく思ってはいたが、
夜の大気と昼の大気は違うのか?
何が違うのか?
梅干しはなぜ昼と夜に干すようになったのか、
残念ながらそのような記述に触れることはなく、疑問のままだった。

大地の呼吸

 が、数年前からコミュニティファームでの環境改善、
昨年からは、森の環境再生や土中環境wsに各所で参加など、
土まみれになって、「大地の呼吸」という概念を知るようになって
いろいろわかってきたように思っている。

大地の呼吸という言葉は、
今年の4月から公開されている映画「杜人(もりびと)」の中でも
矢野智徳さんが使っていた(と思う)。
私は、矢野さんと同じく環境再生に尽力されている「土中環境」の高田宏臣さんのwsで何度もお聞きした。

大地の中には、水と空気が浸透する水脈(同時に空気も)が張り巡らされており、下方向へ水と空気を浸透させるだけでなく
上方向に向かって、つまり地上に水や空気を湧き出させることもする
と。

この動きは、木々の根や、微生物の働きでなされるという。

つまり、大地は水や空気を浸透させることもすれば、
その同じ水脈からミネラルを含んだ芳しい大気を放出している。。
まさに、呼吸する大地。

このことを理解した時は、感動した。

土用の頃の大気

夏の土用の時期は、7月20日から8月6日頃で、
この頃はちょうど夏至から1ヶ月経った一番暑い頃。
まさに夏真っ盛り。
ジリジリと熱せられた大地からの大気も、
一番夏の気を帯びている。

梅干しの土用干しはまさにこの時期だ。

昼間は太陽に照らされて、梅干しも殺菌され、干からびかけるが、
夜は太陽が隠れるので、大地の気の放出が盛んになるし
しっとりと湿り気を帯びた大気が梅干しの果肉の中に取り込まれる。
そのせいか味も丸くなる。

昼間は太陽のエネルギー、
夜は大地や植物のエネルギーを
たっぷり梅に吸わせるのが土用干しなのだ。

昼夜のエネルギーを梅の中に閉じ込める、
陰陽のエネルギーにも似ている。

梅干しのパワーの秘密は、
天日干し、そして夜干しにもあるに違いないと思う。

今年も、土用干しをするつもりだ。
自分的には8月の2日から5日くらいが
一番夏の氣が盛んだと思っているのでその頃に。




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