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「こどものまち」にみる働き方改革

私は小中学生向けのシェア工房を運営しています。

シェア工房はいろんな道具や材料があって、こどもたちが思い思いに工作をする場所です。やりたいことがない子にとっては拷問のような場所です。それでも来てくれる子がいるので細々と続けています。

2020年は新型コロナウィルスの流行で予定していた仕事の半分がなくなりました。なくなった仕事の中で一番大きなものは「おとな立入禁止・こどものまちをつくろう」という毎年春休みに10日間開催しているイベントです。

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コロナのおかげで良かったことはテレワークが普及し、仕事のやり方が大きく変化したこと。
こども達を取り巻くネットワーク環境も大幅に進化しました。実際に会えないからZoomやSNS、ネットゲームなどで交流が当たり前になりました。とても良い兆しで、どんな家庭にも端末やネットワーク環境を普及することを自治体が進める原動力になったと思います。

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ツールが浸透したので働き方も変化あるだろうと想像するのですが、いかがでしょうか?

働き方に関しては、こども4人を育てながらストレス最小限にいかに働くかを追求してきた身として、どんどん変わったらいいなと期待しています。大事にしてきたのはやらなくていいものはやらない、To Doを減らすことに尽きます。

今では洗濯モノはたたまなくなり、掃除はながら掃除のみ、インスタント味噌汁に頼り、子どもに勉強しなさいとか片付けなさいとか言うのをやめ、その代わり私の仕事を手伝ってもらう、という具合に。

いらないものを減らしていくと、自分にとって大事なToDoって何だろう?ということを考えないわけにはいかないのですが、その答えが「こどものまちをつくろう」というイベントにあると考えています。

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「こどものまち」はキッザニアみたいに働いてお金を稼ぎ、稼いだお金で遊んでまた働くというルーティンを楽しむのですが、就労経験のない子どもたちが働く様子は大人と変わりません。人間が集まれば起きるような予測不可能な事件がこどもの社会でも起きます。

・悪意のない横領事件
・失業率増加
・起業家の乱立と倒産
・銀行の貸付による起業過多でもうけはじめ、札束にウハウハしたい子によってタンス預金がはじまり、まちに流通させる紙幣が不足し、給料が払えなくなる

こういった問題が起きたときに、こどもなりに一所懸命考えて、解決していこうとします。大人は原則口出ししてはいけないので、自分たちで何とかするしかありません。

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まちの運営をする「役所」にある「議会」がまちのルールを作っていきます。例えば失業率が上がるということは、働きたい人の方が多いということだから、

各仕事場にお願いして働く人の枠を増やしてもらう。

・役所が起業資金を融資して、会社を増やす

・失業者自身が交渉して新しい仕事を提案して職に就く。

というようなことを、パッと考えてすぐ実行していき、うまくいかなかったらまた考えて行動して・・・という風にすごいスピードで変えていきます。

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↑怪しさ満点の新会社が続出するのが面白い↑


課題に対して何か対策する(仕事する)→その結果が見える というルーティンのオモシロさというのは、「自分で決めて行動できる」「そこに自分の役割がある」「社会の役に立っている」という感覚で、私が仕事をする上で大事なポイント。きっとその面白さに気づいたこどもたちにとってもすごく大事なポイント。NY州立大教授のロジャー・ハートが提唱する、こどもが社会とどう関わるかの段階を示した「参画のはしご」で見ると、こどものまちは ”7” あたり。
この主語はこども→大人に変えても同じことが言えるはず。仕事は与えられるけど裁量権がなく、「誰でもできるひたすら手を上下するだけの仕事」だったらすぐに飽きてしまう。逆に6~8くらいの段階で仕事ができたらやる気もUPしちゃう。

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リモートで働くっていうことは、このモチベーションをどう保ち続ける仕組みを作ることなんだなあと身に染みた2020年でした。ということで、今年は仕組みを作るということを意識していこうと思います。

そんなことをぼんやり考えていたら、先日Youtube大学の「科学的な適職」という書籍の解説にて「裁量権があるか」が自分の幸福が最大化される適職のNo.1ポイントという見解がしっくり腹落ちしました。

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このイベントは2021年春も中止を決定し、次回は2022年春を予定しています。その頃世の中どうなっているんでしょう。

それでもこうして明日新しい年を迎えることができるのは、ただただ思うままに作りたい!という子ども達とそのご家庭に支えていただいてるから。いつもありがとうございます。本当に感謝しかありません。

2021年も皆様にとって幸せな1年となりますように!

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