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頼むから私を撃たないで〜子育てとゲームと攻撃性について

「怖い。みんなが私を撃ち殺しにやってくる」
ゲームの中とはいえ、殺されるのがすごーく嫌な気持ちだったので、いつかリアルにサバイバルゲーム(以下サバゲー)をやるぞと思った2年前。いよいよ今年はやりますよ。興味のある方はぜひ覗いてってください。

2年前の2020年春に、新型コロナで自宅から出られない日々が始まった時に、かねてから子ども達に懇願されていたマイクラを解禁して、暇なので一緒にやることに。せっかくなので、同じく暇を持て余している子ども達を集めて、一緒にワールドを作ることにしました。

ほぼ楽しい時間でしたが、困ったことや嫌なこともありました。
その時に人気があった遊びが「サバゲー」。
毎日集まって3時間ほどマイクラで建築をして、お互いの作ったものを披露しあい楽しんだあと、30分限定のサバゲータイム。この時はサバイバルモードになり、強制的にサバゲー会場に連れていかれるシステムになっていました。

私は嫌だったけどこども達はとても楽しそうで、当時はそのギャップが不思議でなりませんでした。
何が嫌って一人を狙って笑いながら集団で殺しにくるんですよね。笑いながら殺されるのが、気持ち悪くて仕方なかったわけです。
一方で私も子ども達も攻撃される時は、痛くもないのに「痛い痛い」って何故か言っちゃうw 

これはきっと自分がゲームに慣れてないから気持ち悪いだけなんだろうなあと静観していたのですが、とはいえちょっと気になって「子どもと死生観」を調べてみました。

ほしいところだけピックアップしますが、30年くらい前の論文を見ると、子どもの死生観が完成する(死んだら生き返らない、人間はつか死ぬ)のは小2くらいで、テレビやゲームの影響はよくわからない、となっています。
13年前の論文では死生観は小1で完成するとあり、30年前より早く死生観が完成されています。これは漫画やテレビといったメディアから死を知る機会が増えたから。またゲーム等の非現実と現実の死の区別がついているとありました。
10年前の論文には、長期的に暴力シーンに接した時の子どもへの影響として、暴力シーンに接したときに嫌な気持ちになることで、攻撃性が抑えられるらしい。面白いことに男子に限ってです。女子はそもそも暴力的なものを好まない。

ここからは子ども達と接している者としての肌感覚ですが、小学生になると現実で人を殺したら生き返らないけど、ゲームだと生き返ることの区別はきちんとついています。その上でついつい楽しくなってゲームの中で暴力的な振る舞いをしてしまう(死なないから)。でも自分がやられる時はゲームの中なのに「痛い痛い」という。嫌だなあっていう感情はあるんですよね。
やられるのが嫌だという感情が、攻撃性を抑えることに結果なるからこそ、やられることの恐怖はやっぱリアルでちゃんと味わってほしいです。
それで去年くらいから弓矢サバゲーをお遊びで始めました。



ちなみにサバイバルゲームとして知られているのはこういうやつ。

2回ほど参加したことがあるのですが、普段の生活では味わえないくらいドキドキして怖いんですけど、それがなかなか楽しいです。BB弾とはいえ目に当たると失明するし、(だからゴーグル必須)体に当たると痛いです。でも絶対に守らなければいけないルールがあるから、またそのルールを守ると約束した人たちと一緒にゲームをするから楽める。

ということで、弓矢サバゲーでもしっかりルールは決めるし(撃っていいのは的だけ)、万が一に備えてゴーグルやヘルメットといった防具も身につけてやります。


こういう話をすると、「子どもなんだから人を撃つんじゃないの」と思われるかもしれません。でも子どもはそんなに馬鹿じゃないです。小1にもなれば死生観はできていて、もし間違って人に撃ってしまったらどうなるか?を説明すれば痛みも理解するし、わざと撃ってみようなんてなりません。それよりは周りが見えてなくて間違ってしまうことがあります。それを防ぐための最低限のルールは必要です。

あと弓矢というのがポイントで、そんなに上手に飛ばせません。BB弾みたいに連射もできないし、矢がなくなれば終わりです。かなり練習すれば上手くなるのでしょうが、東京には練習する場所もないのでみんなへたっぴです。

防具を身につけ、ちょっとしたスリルとドキドキ感と恐怖を味わう。まずはこれくらいから始める、リアルな戦いをやってみませんか?



2022年10月30日に千葉県の南房総で弓矢サバゲー開催します。
的を撃ってツリーハウスの使用権を勝ち取る陣取り作戦です。弓矢も自分で作りますよ。マイクラ、工作好きな子あつまれ〜!


(参考文献)
●最近20年間の日本における青少年の死生観・自殺観に関する研究 影山隆之
●テレビゲームの暴力シーンの影響を左右する視点の調整効果 -小学校高学年児童を対象にしたパネル研究の検討-渋谷 明子 i 坂元 章 ii 井堀 宣子 ii 湯川 進太郎 iii
●児童の死の概念 館 野 知 都




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