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サイボウズ初の防災サミットを開催

2022年4月22日 サイボウズ主催で、今後の災害時に備え「地域」と「IT人材」を結ぶ交流イベント「防災サミット」を全国で初めて静岡県島田市で開催しました。
これまで繋がりが浅かった地域の社会福祉協議会職員とIT人材のマッチングを行い、お互い顔が見える関係を目指すイベントで、県内でもIT化が進む島田市社会福祉協議会の事務所見学会・業務改善ワークショップに約40名が参加してくださいました!

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初めに、島田市社会福祉協議会 常務理事・鈴木さんより挨拶、続いて島田市社協 主幹・持塚さんから島田市社協の概要説明と現在の取り組みについてお話がありました。
持塚さんは「災害時に一番機能すべき組織であること、デジタル化推進は効率化、データベース化、スピード感がUPし、平時・災害時に複合的な問題を解決できる」とお話されました。
その後、広報担当今村さんより、島田市社協が10年かけて積み上げ、文化として根付かせることに成功したファイリングシステムの詳しいお話をしてくださいました。

島田市社協3名

社協の永遠の課題である「大量の文書」の処理

社協には、通常業務で地域の方、ご高齢の方々と接することが多いため、印刷は必須!という文化が根付いています。しかし、本当にその文書を紙で印刷する必要があるのかを見直す必要性があると、今村さんは強くお話されていました。

<なぜファイリングシステムが必要なのか?>
島田市社協でファイリングシステムを導入する前は様々な問題が発生していたようです。
① 担当が休暇の時、お客様からの問合せに対応できない
② 必要な書類を探し出すのに、相当な時間とエネルギーを費やす
③ 担当の判断で空いたスペースに保管するため、担当の記憶のみが頼り
④ 文書の保管期間が表示されていないため、不要な文書が残り、必要な文書が破棄されてしまうことも
⑤ 不要な文書が混在し、作業効率が低下する

<ファイリングシステムの定義>
① 文書を私物化せず、組織全体のものとし、組織共通ルールに従い保有する
② 文書は保管だけではなく、破棄する体制を整え、文書のライフサイクルを正確に管理する
③ 文書を即座に利用できるようにする
=簡単にいうと「ペーパーレス!」です。

ここで読者のみなさんは1つの疑問が発生した頃かと思います!
「防災サミット」なのに、なぜ「ファイリングシステムの話!?」と思いましたよね。

去年7月3日、静岡県東部豪雨災害が発生しました。
特に被害の大きかった熱海では、ボランティア活動をすることのできない危険な状況にありました。従来のボランティアセンターだったら、週末にはボランティアさんが殺到している状況でしたが、熱海市ではその状況は起きませんでした。お問合せ・殺到を起こさなかったのは、kintoneの「ボランティア事前登録」の活用が背景にあったからです。また、ニーズ管理・個人情報管理もすべてkintoneでできるため、従来では考えられないほどのペーパーレスに成功しています。

では、ここで今村さんの話に戻しましょう!
島田市社協では以下の取り組み・習慣付けを徹底したそうです。

執務環境の乱れは適切な業務を妨げ、個人情報流出の危険がある!

物を置かない、文書のペーパーレス化、共有化、この3つが徹底されたことにより、事務所内は見違えるほど綺麗に改善されていきました。

ビフォーアフター

ファイリングシステムを導入したことで業務効率はUP、共有化の徹底で事務用品の経費削減。さらにデジタル化を推進した結果、担当が不在でも迅速な対応ができるようになったそうです。また、どうしても当日中に業務が完了しないときは「やりかけフォルダ」を設置するなど、柔軟な対応をされていました!

今村さんは最後に「ファイリングシステムは、通常業務改善のみならず、災害においても活用できます。さらに円滑な支援、経過の可視化、引き継ぎが簡単、被災した方々への手厚い支援につながります!しかし、新しい習慣をつけるのは簡単なことではなく、長期的・チームで取り組むことが大切」とお話されました。
その後、実際に事務所内を見学!!

事務所内見学

参加された社協の皆さんは、「綺麗!」「何もない!」「紙がない!」とずっと驚きの連続で、「破棄の判断はどうしていますか?」「PC内のフォルダ管理はどうなっていますか?」など、幅広い質問が止まりませんでした!

つづいて、サイボウズの柴田が登壇しました。宮城県での災害VCでのkintone活用で主な特徴を紹介しました。

●現状把握を素早く(絞り込み・グラフ化・マップ表示・色分け等)
●ニーズ受付推移グラフ 見通しがたちやすい
●ニーズ完了推移グラフ 対応ペース・収束のめどがたつ
●活動報告 どのような活動をしたのかがデータベース化され、
引継ぎにも非常に役立つ。
●出力ボタン このボタン一つで、資料化される(ニーズ情報・住所・QRなど)

「グラフ化することで、この地域では70~90代の一人暮らしの方からの相談が多いことがわかりました。相談をためらう高齢者も多いことから、積極的に訪問アプローチしようという次の目標が明確になった」と話しました。ここまでで午前の部が終了です!

午後の部は「地元社協・IT企業で事業改善ワークショップ 」

この写真で注目して頂きたいのが手元!
IT企業はPCを使い、社協の皆さんは紙に手書きしています!どちらが良い悪いではなく、それぞれの組織の習慣や文化がわかりますね。

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参加したYahoo!Japan松本さんは「大事なものほど印刷しない!紙にはパスワードをかけられないじゃないですか?会社では紙を見たことがないので、正直、本当に文書があることにびっくりしました…」と話していました。

ワークショップの中では、社協独自の視点や課題も聞こえてきました。
●PC(データ)の情報より、紙の方が信用性が高い!
●ご高齢の方も多いので、紙じゃないと情報が伝わらない。
●決済は、基本的に紙
●Googleでアンケートを活用している
●今後はLINEも上手に活用していきたいが、継続性も課題…

「すべてペーパーレスにするのではなく、事務所内文書はデータ化、お客様には紙で配布など状況に応じて使い分けることを提案すれば、理解が進むかもしれない」という意見も出ました。

ワークショップ終了後、静岡県社協の松浦さんより挨拶をして頂きました。
「異業種の方々とつながっていくことも必要。自分たち社協だけでは気づかない視点が多くあったと思います。
今日出会った人たちとは個々にぜひ繋がってほしい。PCやタブレットにメモを取るIT企業の皆さん、紙に手書きする社協、これがまた現実だと思いました。」

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最後には島田市社協の杉本さんは、「私たち社協は狭い世界で生きてきた。今日の出会い(企業)と地域社協との出会いを大切にしていきたい。」という言葉で締めくくりました。

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サイボウズ災害支援チームでは、今後、防災サミットの全国各地での展開を目指し、活動を続けて参ります。

今回の防災サミットの模様は、22日に静岡放送さんで放送、23日に静岡新聞さんで掲載していただきました!
22日の静岡放送さん「Liveしずおか」さんでの内容は、YouTubeで公開されているのでぜひご覧ください✨