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【徳島県社協・阿波市社協主催】今年のICT活用事例から見る災害ボランティアセンター研修会

今月1日、徳島県社会福祉協議会・阿波市社会福祉協議会主催の『令和3年度 災害ボランティアセンター研修会』が開かれました。
この研修会は、被災者支援・災害支援に携わる関係職員や市町村社協・行政・福祉施設職員が対象のもので、コロナ禍における災害ボランティアセンターでのICT活用最新事例の紹介や、オンラインマップを活用した避難計画づくりの実演などが行われました。

弊社からは、災害支援チームのリーダーを務める、社長室の柴田哲史が講演。
今年災害が発生した静岡・佐賀・広島の事例を紹介しました。

いつどこで発生するかわからない災害に備え、何ができるかー。
地域密着で考えた2時間の研修会、リポートしていきます!

今年の事例から読み解くICT活用の意義

今回の研修会は、コロナ禍ということもあり、阿波市内の市場総合福祉センターの大会議室とzoomを活用したハイブリット形式で実施されました。

最初に阿波市社協・会長の沖津正紀さんからご挨拶。

沖津正紀さん

災害時のボランティアセンターにICTを活用することに大きな期待を寄せていらっしゃいました。

その後、柴田の講演です。

サイボウズ柴田

【柴田哲史(しばた・さとし)】
サイボウズ災害支援チームリーダー。新潟県南魚沼市出身。2011年、東日本大震災発生時より味の素スタジアム避難所内のボランティアセンターにて、サイト運営やボランティアのマネジメントを担当。その後、20カ所以上の災害ボランティアセンターの情報発信や運営のIT支援を行う。

今年災害が発生した静岡・佐賀・広島での支援経験をもとに作成した動画(参照:サイボウズ災害支援YouTubeチャンネル)を紹介しながら、コロナ禍での災害ボランティアセンターの注意点やICT活用によって変化したことなどをお話しました。

災害ボランティアセンターの運営にkintoneなどのICTを導入したことで一番喜ばれたのは、それぞれの操作が簡単、かつ職員間の引き継ぎが楽になった点だったと言います。
とくに、ボランティア登録した人たちをデータを基に分類し、必要に応じてメールを一斉送信したり、電話応対の記録などコミュニケーションの内容も残したりできるため、スムーズな引き継ぎで安定して運営に当たることができたことが現場の職員さんの負担軽減に大きく繋がりました。

またコロナ禍で欠かせないのが、感染対策です。ここにも、ICT(kintone)が一役買いました。
密を防ぐには、参加するボランティアの人数を分散させる必要があったため、登録済みのボランティアの日別の人数分布をグラフにし、Webページ上に表示。そうすることで、運営から別日の参加を提案したり、参加者自身に空いている日を選んでもらうことができたりしたため、安定した人員の確保や密の回避に繋がりました。

また、受付で列や密集を作らないよう、QRコードを用意。各自のスマホを用いて受付を行ったり、当日のオリエンテーションには動画を活用したり……さまざまな工夫を凝らし感染対策と災害ボランティア活動の両立をはかりました。

災害ボランティアセンターでのICT活用は、発災以降ハードな業務をこなす社協職員の負担軽減のみならず、現状にあった運営へのスムーズな移行につながることが今年の事例から大きく読み取ることができたのです。

地域事情に合わせた運用が可能『カンタンマップ』

つづいて阿波市社協の佐藤好幸さんからは、阿波市社協で実施予定の要配慮者や福祉施設のオンラインマップを活用した避難計画づくりの実演が行われました。

佐藤好幸さん

まずはエクセルで作成した、避難時に配慮が必要な要配慮者のリストをkintoneに読み込む作業から。今回は訓練用のダミーデータと利用者台帳アプリを作って実演してくださいました。

キントーンダミー画面

ファイル読み込みでエクセルのデータをkintoneにインポート。

キントーンダミー画面

キントーンダミー画面

それをカンタンマップに表記すれば、地図上で『見える化』することができます。

キントーンダミー画面

ハザードマップと重ね合わせれば、洪水の際に危険な区域なども可視化できるため、避難を想定した早めの計画作りにも生かせます。

佐藤さんは『kintoneを使うと時間的にかなり楽で、可視化できるのがよかった。危険な場所を予測でき、利用者・職員の避難にも活用できると思う』と話してくださいました。

柴田の講演・佐藤さんのカンタンマップ実演の後には、参加した方々からさまざまな質問が。
『発災後、すぐにシステムは使えるのか』『マップは旧自治会ごとに区分けして表示ができるのか』など、各自治体や地域に合わせた質問が多く聞かれました。いずれも、発災後スムーズに対応するためには、平時から想定をして準備を行うことが大切だと柴田と佐藤さんからお話しました。

研修会の最後は、阿波市社協の事務局長・大村久美子さんより
『ICT導入の必要性を感じている中で研修会が開催できたことよかった。
情報のオンライン入力により、データ蓄積がカンタンにでき、通常業務においてもICT活用の必要性を感じた。情報交換しながら連携を図っていきたい。』とのご挨拶。

また、参加された方からは
『以前の災害VC運営とは隔世の感がありますね。キントーンが希望の光に見えました!阿波市社協の皆様ありがとうございました。』との書き込みも寄せられました(ありがとうございます!\(^^)/)。

今こそ、備えを

いつ起こるかわからない、災害。今回の研修会で感じたのはやはり『平時からの備えが大切』ということです。災害時の避難に備え、一人一人が備蓄や避難経路の確認などの準備を行うことはもちろん、災害支援の立場に立った場合も、日頃から活用するツールを使い慣れておくこと、他の被災地でどのような事態が発生したか把握しておくことなども大切だと感じました。

決して起こってほしくない災害ですが、『もしも』に備え、一人でも多くの方を救えるように、私たち災害支援チームは情報発信を続けていきたいと思います。

【関連リンク】
サイボウズ災害支援サイト
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