【お茶屋】ここが大変だよ事業承継~2.日本茶の価値を上げる~
事業承継シリーズ2回目!
今年(2021年)10月に事業承継(代表就任)します。
前回に続き、お茶屋に入ってから事業承継に至るまでのお話をしていきます。
「お茶を気軽に、お茶で豊かに」
継いだ直後、お茶生産者さんでのバイト体験や日本茶インストラクター試験受験で知ったお茶の魅力。
美味しくて、健康的で、ホッと癒される、
お茶を飲みながら談笑する家族の姿は、古き良き一家団らんの象徴です。
サラリーマン時代はペットボトル緑茶を愛飲していた私ですが(実家がお茶屋のくせしてw)、、茶葉のお茶がとてつもなくポテンシャルが高い飲み物だということがよくわかりました。
自分がお茶の魅力を発信して「気軽に」飲んでもらい、お茶のある「豊かな」生活をしてほしい、そんな思いでお茶屋をやっています。
お茶を「気軽に」飲んでもらいたいと思って始めたのがイベント出店。初めはドリンク販売するノウハウがなかったため、試飲販売という形で出店しました。
結果は大盛況。まあ初回は珍しさもあり売れるもんです。
肝心なのは次回。しかし、売れ行きは初回ほどではありませんでした。
茶葉の平均購入間隔はだいたい1カ月。イベントが初回から2週間後ということで、初回のお客さんは購入しません。新規のお客さん含めても初回ほどの売上には至らず、ほろ苦い経験でした。
日本茶ドリンクの価値(価格)を上げる!
「こんな美味しいお茶を飲んだの初めて!」
試飲の際にこう言ってくれるお客さんが多く、日頃から美味しいお茶を飲んでほしいなと思いました。
お茶屋としてお客さんに提供するべきは「茶葉というモノ」でなく、「お茶を飲むコト」。そして、その先にお茶のある豊かな暮らしがあります。
イベントで、物品販売だけでなく日本茶ドリンク販売という「お茶を飲むコト」を提供したいと考えました。
「はて、日本茶ドリンクを販売するには何をすればいいんだろう??」
もともとうちはお茶の卸小売業です。ドリンク販売なんかしたことありません。大変だったのは①臨時飲食店営業許可取得と②価格設定でした。
①の臨時飲食店営業許可取得はいろんな方々からアドバイスをもらい何とか解決しましたが、問題は②の価格設定でした。
「皆さん煎茶1杯いくらで購入しますか?」
寿司屋や定食屋、高速道路のサービスエリアでは無料で振舞われる煎茶。そんな無料なイメージのあるお茶を、有料で提供するのは不安でした。
弱気な私が設定した価格は煎茶(冷茶)1杯120円。
そんな弱気な私をよそに、苺を加えたストロベリー煎茶を200円で販売した強気な妻。さすがです(;^_^A
イベント当日、見栄えが良く、苺の酸味×冷茶の甘みが好評だったストロベリー煎茶がたくさん売れました。妻さすがです(;^_^A
イベントを通してわかったことは、お茶=無料だと思っている人は少なくて(むしろお茶屋が一番思っている?)、魅力的なものであれば価格に関係なく売れるということ。
そして、そこから商品の付加価値を高めて価格を上げていく取り組みをしてきました。価格と品質を上げていくことで日本茶の価値を高めたかったのです。
まず抹茶ラテや抹茶スムージーなどの抹茶系ドリンクを作りました。コーヒーショップやコンビニにある抹茶ラテがあまりにも甘ったるくて許せなかったからです。抹茶の良さが全然引き出せていないと。
作った抹茶ラテは抹茶+フォームした牛乳のシンプルな作り。牛乳が入っている分、マイルドな抹茶を楽しめつつ、さっぱりした後味が好評でした。
抹茶ラテ1杯380円。煎茶1杯120円から、コーヒー並みの価格に引き上げることができました。他に、苺抹茶ラテやハニー抹茶ラテ、抹茶レモネード、抹茶スムージーなど、今では抹茶系ドリンクがうちの主戦力です。
苦労して作った炭酸のお茶
一番苦労して作ったのが炭酸のお茶。きっかけは、与板町ほたるの会さんから、蛍にちなんだコラボドリンクを作りませんかとお声がけ頂いたこと。
煎茶の黄緑色の水色を川辺の草木に見立て、炭酸の泡の動きが飛び交うホタルを表現する。そんな炭酸のお茶が作れたら面白いなと思いました。
今でこそ抹茶やほうじ茶、様々なお茶を炭酸にしていますが、当時は炭酸のお茶のノウハウもなく、色んなパターンを試しながら作り上げました。
お茶は浅蒸し茶?深蒸し茶?玉露?高価で甘いお茶?安くて渋いお茶?冷茶?温かいお茶?、、、お茶だけでもかなりのパターンがあります。
そして、炭酸水も有糖?無糖?強炭酸?微炭酸?レモン果汁入り?オレンジ果汁入り?それとも炭酸マシーンで作る?炭酸もかなりのパターンが。
色んなパターンを試してわかったのですが、お茶が炭酸水と混ざると、お茶の甘みが弱まり渋み/苦みが前面に出てしまいます。炭酸の辛み(酸味?)がそうさせているだと思います。それぞれは美味しいのに。。
以前ストロベリー煎茶が好評だったため、苺やレモン、桃などのフルーツも組み合わせて作ってみました。すると、フルーツの酸味がクッションとして入ることにより、お茶と炭酸水がぶつからず、それぞれの良さが保てることがわかりました。
試行錯誤の末、「玉露スパークリング」と「ぐり茶ソーダ」が出来上がりました。
玉露スパークリングは玉露+レモン炭酸水(無糖)+苺の組み合わせです。炭酸水が無糖の分、玉露で甘みを最大限引き出すために、大量の玉露の茶葉を氷で抽出。
苺の見栄え、玉露の海苔のような香りと上品な甘み、無糖ならではのさっぱりした後味で大人の女性に人気でした。
ぐり茶ソーダはぐり茶(揉む工程がない玉緑茶)とサイダー(有糖)とレモンの組み合わせです。
ぐり茶の新鮮な香りとサイダーとレモンの爽快感が合わさり、こちらは大人の男性や子供に人気でした。
当時、炭酸のお茶が珍しいこともあり、新潟日報さんにも掲載頂きました(^^)v
日本茶ドリンクのノウハウがない自分でしたが、色んな方々からアドバイスやコラボにより、日本茶ドリンクの価値を向上させることができました。
そして、それをイベントで提供することで、少しはお茶を知ってもらうきっかけになったかなと思っています。
「産地じゃないお茶屋だからできること」
次回は、地元への想いが込められた「長岡産野菜茶」の商品開発です。
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