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【お茶屋】ここが大変だよ事業承継~4.事業承継したきっかけ~

事業承継シリーズ4回目!

今年(2021年)10月に事業承継(代表就任)します。

前回に続き、お茶屋に入ってから事業承継に至るまでのお話をしていきます。

今回は事業承継を決意したきっかけです。

1.独立採算制での運用

家業に入る前、社長である父親から「継いでも良いけどお前に給料をだせる余裕はない」と言われました。

まあ、お茶屋の財務状況はある程度知っていましたので、自分の生活費は自分で稼ぐと覚悟して家業に入りました。

自分で稼ぐために、卸小売の既存事業とは別に、日本茶講座やイベント出店、長岡産野菜茶の商品開発など、様々な新規事業を立ち上げていきました。(詳細はこれまでの事業承継シリーズ参照)

また、お茶屋業以外にも経営コンサルタント(私)やプログラミング(妻)など多岐にわたりお仕事を頂いたりしました。

お茶屋の新規事業は、紆余曲折しながらもノウハウを得ることで、徐々にではありますが、売上が増えていきました。

とはいえ、マイホームローン返済が残る5人家族の我が家。家計的にはまだまだ赤字です。「よーし、この勢いで田中家の黒字化目指すぞ~!」と意気込んでました。

しかし、そんな矢先にコロナ禍となりました。

イベントは軒並み中止。長岡産野菜茶の試飲販売もできない。飲食業や観光業ほどではありませんが、売上的に厳しい状況でした。

とはいえ、何も行動しなければ売上ゼロ。ネット販売の強化や日本茶ドリンクのテイクアウト販売など、今できることをやっていきました。

ネット販売はある程度の反応があった一方、日本茶ドリンクのテイクアウト販売は反応イマイチ。。店舗集客力が弱いという現実を改めて突きつけられた出来事でした。

そして、色んな新しい取り組みをしていく中で、ある考えにたどり着きました。

卸もイベント出店も結局は他者に依存しているということ。卸はそのお店の販売力に依存しますし(商品力も大事ですが)、イベント出店は中止になれば売上ゼロ。

店舗集客力をつけて自社の自立度を上げていかないと、今後同じ状況になったときに立ち行かないなと。

今まで店番は親に任せていましたが、今こそ自分がお店で地に足をつけてやらなければと考えました。

同時に、コロナ要因なのか自然減なのか、既存事業もどんどん業績が悪化していきました。

これまでは「自分の分は自分で稼ぐ」をモットーに、収支は新規事業に特化して見ていました。

しかし、既存事業の業績が悪化している今、会社全体で収支を見ないとマズイぞという危機感を抱きました。

会社を再建していくためには、自分が代表になり、責任感を持ってやっていかなくてはと。

それが事業承継する1つ目のきっかけです。

2.借金の整理ができた

老舗の家業を継ぐと褒められることばかり。伝統を守って偉いねとか、色々活躍しているねとか。

社会的意義の他にも、老舗の信頼感や常連客の存在など、プラスの部分が多い一方、マイナスの部分もあります。

それが借入金問題。

借入金は事業投資する際に、金融機関から借りて、投資して得た事業収益から返済するのが一般的です。

しかし、うちは事業投資のために借りたとは思えない借入金が少なからずありました。まあ、200年弱も商売を続けていれば色々ありますよね。。

そして、事業を承継すれば、この借入金返済の責任は私が追うことになります。

事業投資するための前向きな借入金であれば納得いきますが、何も行動しない結果の借入金は納得いきません。

私はこの借入金をどう返済していくか、父親に何度も問題提起しました。

しかし、父親は借入金なんて何とかなるだろうと気にしていませんでした。返済目途をたてないと最悪倒産してしまうと悲観的な私とは、考え方が全く異なりました。

この考え方の違いは過ごした時代の差だと思います。

父親が過ごした昭和は、需要>供給の時代で、何もしなくても売れていた時代。借金してなんぼの風潮すらありました。それが後世の人を困らせてるのです(-_-;)

一方、私が過ごした平成は需要<供給に変わり、工夫しないと売れない時代になりました。需要を無視した過大な投資で倒産した会社を、私はいくつも見てきました。

そんな経験もあってか、私は「倒産」という言葉に敏感でした。時には金融機関の支店長にうちが倒産したら具体的にどうなるのか確認しました。どんだけ心配してんだよって感じですよね(;^_^A

既存事業は売上減少傾向。新規事業から得た利益も我が家の生活費や設備投資の回収でいっぱいいっぱいでした。

今の事業状況では返済目途がたたないと考えた私は親族に相談しました。幸い、親身になって相談に乗っていただき、何度も親族会議を重ねました。

この結果、返済負担のある長期借入金は両親と親族が、短期継続融資(短コロ)のため返済のない短期借入金は、事業承継後に私が徐々に返済することになりました。

「もっと早く相談してくれれば良かったのに」

親族からの一言に胸が痛かったです。

言いづらいことこそ早めに相談するべきだと身をもって学びました。頼れる親族がいることは本当にありがたいことです。

長くなりましたが、借入金の整理ができたことが事業承継を決意した2つ目のきっかけです。

そして、私が事業承継後に返済する短期借入金は経営者保証がかけられています。

「経営者保証に関するガイドライン」に沿って経営者保証解除を金融機関と交渉して早一年。ようやく結果が出そうです。

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201503/4.html

次回は経営者保証解除についての交渉経緯をお話します。話がかなり生々しくなると思います(^_^;

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