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サンディエゴの映画館

アメリカはカリフォルニア州サンディエゴに留学していた経験がある。

アメリカ的なことならなんでもやりたがっていて、「映画館」で映画をキメるのもやりたいことの一つだった。

結果的に、映画館へは毎週木曜日に必ず行っていた。映画館の売店のブラザーとは知り合いになった。

パソコンを開いて映画館のホームページにアクセスし、クレジットカードと住所、氏名を登録すれば受付に並ぶことなくスムーズにシアターへと入ることができる。

しかし、アメリカは今現在、テレビで映画が見れる。ネット配信で済ませることができる国になってしまったため、映画館でわざわざ映画を見に行くという習慣は少なくなっているそうだ。

地域にも違うと思う。ロサンゼルスの映画館はやはりメッカなだけあって人通りは多かった。

しかし、私の住んでいたサンディエゴのアパートメント近くの映画館はちがった。閑古鳥が鳴いている。

本当にここであっているのか、何度もエントランスの表示を確認した。

あってる・・・。ここだ・・・。

人がいない。

新作映画で「ハンソロ」をやっていた。大学のアメリカ人の知り合いたちは見に行ったというが、どこで見に行ったのだろうか・・・。

ハンソロの客入りは僕を含めて5人。そのうち、2人は老夫婦、2人は個人客だった。

さみしい。

人がいっぱいいて、観てこその映画じゃないか・・・。

あくる日、売店のブラザーに「今日は何を見るのか?」と聞かれた。

「ジュラシックワールドⅡだよ。昨日、封切でしょ?」と答えると。

「昨日、朝早くに見ちまったよ。おっとネタバレはしないでおくぜ。でも、言っておくぜ。やはりT-REXは最高だぜ」

そんな会話をしながらウキウキ気分で「ジュラシックワールド」を見たが、やはりブラザーの言う通り、ティラノサウルスは最高にクールだった。

あくる日、売店のアジア人女性に「今日、未来のミライを観たいって思ってるんだけど、あれは面白いの?」と尋ねられた。

僕が日本人であることを知られているため、日本から輸入されてきた「未来のミライ」の感想を尋ねられた。

「僕はまだ見てないよ。細田守は知ってる?サマーウォーズとか?」

「細田って人は知らないけど、サマーウォーズは知ってるよ。佳主馬が最高にキュートだよね」

そこで僕のショタコン魂に火が付いたのはいうまでもない・・・・。

またある日、メグを見に行った。

駄作だなぁと思いながら、観たことを後悔しているとブラザーが落ち込んだ僕に話しかけてきた。

「これからラーメン食いにいかね?」

車で10分。日本人が比較的多いエリアにめちゃくちゃおしゃれな暖簾のラーメン屋があった。

少し薄味なラーメンだった。

ラーメンとガーリック枝豆を平らげると、ブラザーがおもむろに紙切れを出してきた。

そこには「スパイダーマン・スパイダーバース」の先行試写会のチケットが・・・・。

「映画館でしょげてほしくないから、サービスだよ」

皆さんも、いかがですか?

夢のような映画館。

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