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【アクション考察】フェンシングシーンを深掘りし、作品の奥深さと広がりを探る【「水星の魔女」22話】

クライマックスが近づく「水星の魔女」22話ではフェンシングシーンが個人的に印象的でした。
このアクションシーンを考察し、作品の奥深さを探るとともに、過去の話数と比較することで作品の広がりを探り「水星の魔女」を語っていきます。



1. 印象的なフェンシングシーン

スレッタがグエルに対して「ミオリネに会って直接話がしたい」と直訴することをきっかけにはじまるこのシーン。
本作では初めてのメカ操縦しない生身の決闘、かつ、フェンシングらしき中世の貴族を連想させる決闘が行われます。
防具を装着し、剣を持っての宣誓から勇気ある踏み込みからスレッタが勝利する決着まで約30秒程度の描写。
この作品らしい短い尺にいくつもの要素が詰まっていました。

2. 初代ガンダムファンがニヤリとした!?

初代ガンダムを知っている視聴者からは「おっ、このシーンは!」とSNS上で話題になりました。
「初代ガンダム」でクライマックスへと向かう話で主人公のアムロと敵役でライバルのシャアとが上記のシーンに近い形でサーベルを持って斬りあうシーンがあります。
アムロは白いスーツを、シャアは赤いスーツを着ていることに対応してかスレッタは白の防具、グエルは赤の防具を着ていることから初代へのオマージュなのでしょう。

また、スレッタが決着を決めたすぐの立ちポーズは、「初代ガンダム」43話(最終話)で、
ガンダムの勇姿と言われる通称「ラストシューティング」のポーズと類似しています。
ガンダム(ロボット)が両脚で地面を踏みしめ、右手のライフルを真上と突き出すポーズで
す。

この2つの描写に初代ガンダムを視聴した人はニヤリとしていました。

3. アクション考察からどういったシーンだったのか?


決闘開始から決着まで約10秒のアクションシーン。
最初はグエル優勢、スレッタ劣勢と思われた流れは、約15手が経過し、16手目でチャンスと思ったグエルがスレッタの顔面を狙って突きを放ちます。
それに対してスレッタは潜るように避け、グエルの伸び切った体の戻り際を狙い、ボディにヒットさせます。
ここではスレッタが一旦、剣の長さを考慮してワンテンポ待って狙うという冷静さも垣間見えました。

一見すると踏み込んだスレッタの「勇気」が注目されそうなシーンですが、それに留まらず間合いをはかり圧倒的に有利な状況からとどめを刺したクレバーさ「叡智」と日々の身体操作訓練による「鍛錬」が生み出した結果だと考えられます。

結果が全ての決闘ですが、何回も繰り返してこのシーンを見るとその背景が見受けられます。

4. このシーンや前の話数からグエルの癖が分かる!

今回の負けた要因は、グエルが勝利した20話およびそれ以前のシーンの彼の戦い方から読み取れることができます。
後先を考えず1つのことへ突進している点です。
20話では「諦めない強さ」と「勇気」によりシャディクに勝利しました。
しかし、そのほとんどが危うい戦い方です。
フェンシングシーンでも伸び切った体を狙われたことから、優秀な戦士ですがスレッタに比べ「叡智」が足りないように思われます。

5. スレッタはいつから優秀だったのか?

本作4話ではエアリアル以外の操縦は下手だった彼女。20話にてエアリアルから放出されてデータストームの情報が流れ込んだ時に覚醒したのでしょうか?
私はそうとは思っていません。
第2シーズン冒頭13話の5機との連戦シーンがスレッタの優秀さを物語っていると考えています。
13話について少し説明します。
ミーティングシーンはありませんが連戦シーンの戦い方を見て察するのが省エネ戦法です。
今までの決闘で見られた開幕からパワー全開の戦い方と比べて、後の戦いがあることを把握しエネルギーを考慮して戦っています。
また加えて敵機の特長や戦い方について一旦、様子見から相手の出方をうかがう「見」の姿勢から、圧倒的有利であろうほぼベストな攻め方をしています。例えば、近距離機体には死角からの遠距離攻撃など。
これは丁寧な操縦コントロールがあってはじめて出来るクレバーさと操縦経験からなせるスキルです。

22話のフェンシングシーンの戦い方とも似ています。

6.「水星の魔女」が持つ奥深さと広がり

こうやって考察すると、本作は1つのシーンにいつくもの意味を持たせている奥深さがあります。ダブルミーニングやトリプルミーニング以上のものを感じられます。
そして、振り返り他の話数を見返すことで対比され、時には関連付けされることで、一味も二味も味わえる作品内の広がりを感じられます。

多分、あと2話くらいで完結するであろうこの作品の「今」をリアルタイムで追うことは視聴者が最も楽しいことです!私もそうです。
しかしながら、完結した後にでも何度も振り返ってみることで奥深さや広がりを楽しむこともこの作品の楽しさなのではないでしょうか!

以上が22話一部のシーンをアクション考察し深掘りしての作品語りでした。

【備考】

本作品はロボットモノでありながら、生身の戦い、いわゆるアクション描写が楽しい作品なようで、私が過去に書いた「水星の魔女」4話のシーンに関してのアクション考察も読まれると面白いと思います!!

以上です!
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【補足備考 23.06.29】

ふと過去の総集編を見て気づいたことが。
「水星の魔女」17話スレッタが妨害によってグエルに負けたロボット戦。スレッタが「グエルさんもう一度決闘を!」と負けた後に切なくいった台詞に対し、
22話でグエルが提案し、再び決闘をするんですよね。そしてグエルは負けた後で「バカだな俺は……」との台詞。

グエルの台詞にはいくつもの意味が含まれているようですが、
その一つには、スレッタの願いを叶える形で決闘をし、負けたことについて、自分はバカ正直に律儀なことをしたと思っての発言かなとも思いました。


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