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松本山雅×町田ゼルビア 問題点の潜在化と顕在化 (2020第8節)

平戸に祈りましょう🙏

この試合はまず中2日で山雅に挑み走りぬいたゼルビア戦士に称賛を送りたい。試合の疲労が抜けるのには48時間が必要と言われている。日曜の夜に試合が終わり、月・火はおそらくリカバー中心のメニューでトレーニングしたはずで相手の対策もどこまで出来たか。

そして移動し試合、連勝。コロナにより常に緊張感を強いられる難しい環境の中で、ゼルビア戦士は素晴らしいことをやってのけた。

試合情報

天気:曇 気温:23.9℃

メンバー:

町田 [4-4-2]
サブに岡田が入った以外は3日前の栃木戦と同じメンバー。どこで疲労が表に出てくるのか、騙しながらもしくは全力で試合に臨むのかが重要となる。

松本 [4-4-2](後半[3-4-2-1])
3バックじゃなくこちらの布陣に合わせてきた。新潟や水戸戦を見て4バックにした方が可能性があると考えたか。いずれにせよセルジーニョ不在(というか活かせない)が大きい。

左利きは高木利弥、山本龍平、米原秀亮。

アタックモメンタム

(Football LAB 説明)
両チームの攻撃の流れを表しています。ホームチームは最も上にいくほどゴールが近い事を表しており、アウェイチームは逆に最も下にいくほどゴールが近い事を表しています

(前半)

(後半)

前半、主導権争いは山雅→ゼルビアへと変わったものの、20分辺りから山雅が巻き返した。ゼルビアが前線のプレスを抑え守備的プレッシングに移行したからだ。30分以降は均衡の中でゼルビアが優位となり、37分にCKから小田がゴールを決める。

後半、前半にスコアが動いた中で全体的に均衡していた。ステファンの87分の追加点は山雅の時間帯に生まれたラッキーなゴラッソだったようだ。

トレンド"自陣ビルドアップ問題" と ごまかし方

新監督が指揮する両チームは類似の問題を抱えていた。プレス耐性に欠点を備えている点だ。自陣ビルドアップ隊にハイプレスをしかけるとボールを奪われる怪しさがある。

J2はボール保持/非保持のハイブリッドなチームが増えており、多くのチームが戦術的および技量的な欠如を抱えて自陣ビルドアップを行う傾向が見られる。

その中で両チームはピッチ上で幅を取りボールを進めることからスタートする。試合開始の立ち上がりに前方に進んだのはアタックモメンタムにもある通り山雅だった。ゼルビアのネガトラによる即時奪取をGKへのバックパスによって深さを作って回避し、そこからロングボールで縦に運びセカンドボール回収もしくはカウンタープレスを行う。GK圍のキック力を活かす狙いもあるだろう。前進したらサイドからクロス中心の攻撃を仕掛けていた。

深津を中心にロングボールに上手く対応し、セカンドボールも回収していたゼルビアだが山雅のカウンタープレスや対スローインのハイプレスが厄介だった。なのでゼルビアは水戸戦で得た教訓、栃木戦で見せた回避策を取る。自陣で深さを取るのは山雅と同様だが、こちらはDF陣が深さを作ってから横に素早く運ぶ。これにより山雅はスライド対応を強いられ、そこから縦の攻防が行われることとなる。

この回避法の違いでプレス耐性に乏しい問題を潜在化できたのはゼルビアだった。山雅は安直にボールをGKへ戻し縦に展開するため、こちらが守備を整える時間が生まれており、問題は顕在化したままと言えるだろう。

実際に序盤は深津、小田がロングボールを問題なく跳ね返す。そのためにゼルビアの2トップは即時奪取プレスを敢行しなければならないが、ギラギラの安藤と平戸は中2日にも関わらずチームのために走っていた。

しばらく経つと じゃあウチらも横に運ぶわ としてくる山雅だが、その後にも両チームの違いが見られた。

サイドからの組み立て ~プレー原則による速度の差

ゼルビアはサイドに展開するスピードとサイドからの組み立てによるバリエーションで山雅に対し違いを見せた。SBやボランチを起点にした裏抜け(レイオフやバックドア)、アイソレーション、平戸落ち、パスが出せなければ再ビルドアップで逆サイド展開、相手のスライドが上回ったら無理やりバックドアなど、スピードを伴い繰り広げていた。

山雅にはスピードや展開力が伴っていなかった。この違いはゲームモデルの違いだ。監督の哲学をプレー原則として反映しトレーニングで仕込めているかが如実に表れる部分である。速攻ロンドベース志向であるポポさんスタイルの見どころのひとつだった。

一方の山雅はプレス耐性に乏しさのある中でサイドから展開するものの何がやりたいか良く分からなかった。山雅に携わる誰しもがモヤったことだろう。分かったのは布監督が思い浮かべるゲームモデルに対してメタ要素は多そうと言うことだ。

町田側に顕在化した問題点はあるか?①

上記だからと言ってゼルビアが圧倒していたかと言われるとそうでもなかった。むしろ山雅がPKを決めていたら逆転する力は無かっただろうとも思う。"野津田の太陽"秋元陽太のスーパーセーブは文字通りチームを救った。

この場面は監督が変わっても続くゼルビアの問題が顕在化した場面だ。それはロングカウンターができない点だ。

PKを与えたのは小田のファウルによるものだが、発端は被FKのリバウンドを回収した後のロングカウンターがゾーン1と2の境あたりで潰されてしまったからであり、その結果、GKへのバックパスでこちらの守備ブロックが引き付けられてからの圍の驚異的なロングボール1発で裏を取られてしまった。

町田側に顕在化した問題点はあるか?②

この試合で主導権を握ったゼルビアは山雅を自陣に押し込んだ際に、以前のアントラーズがやるようなボランチ落ち菱形+SB上げ+サイドMFのインサイド化などで[3-1-4-2]や[3-2-5]といった形の定位置攻撃を見せていた。大外やバイタルエリアでダイアゴナルなワンツーアタックや裏抜けを狙う組織的な攻撃だ。

しかし、2トップのムービングが過ぎるため、ゴール前で人数が不足することもしばしばあった。どちらもサポートのタスクに全振りのためMFと位置やタスクが被る。シュート数が少ないのはその動きによるものだ。

先制点となったCK。スカウティング通りであろう偽平戸に祈る😇によるゴールだが、このCKを獲得した場面もそうだ。バイタル+ハーフスペースでカイナがボールを受け、チャンスメイクしてもらえばゴールチャンスだったにも関わらず平戸と安藤がゴール前で謎のサイクル動作を見せた。

まず中央レーンの平戸がサイド裏にCBを引き連れてダイアゴナルラン。カイナにCBを預けてリバウンドポジションに去っていった。まだドリブルする余地があったものの反対サイドの安藤もダイアゴナルランでCBを引き連れて左利きのカイナのドリブルコースを直進に限定させる。もはやダイアゴナル難である。結果的にCKが獲得できたカイナが自らのキックでゴールを演出したのは脱帽だった。待てば海夏の日和あり。

話を戻すと、これはフィニッシュワーク設計が整っていないことの証に他ならないし、そもそもチームで"ゴールという目的地"を目指せていない。ゾーン2など裏抜けしそうな場面でFWや逆サイドの動きを注目してみよう。ゴール前はノーチャンスに近くないか?と思うことがしばしばあるはずだ。さらに注意深く見ると、出し手と受け手のタイミングが自分中心であり他方とのリンクができていないことが多いのも分かってくると思う。

ゼルビアは裏抜けがプレー原則に設定されているので素早くそのスペースを狙うことが可能だ(相馬さんの時もそう)。しかしスムーズにチャンスを作れないのは目的地(ゴール)を認識したプレーがチームとしても技量としても不足しているからである。なので新しいことに挑戦しているにも関わらずセットプレーが復活したという印象を与えている。これを解決するにはロンドのトレーニングが重要となることはフロンターレが既に示している。

ステファンやマソビッチと若いメンバーが適応すれば改善が進む気配はある。個人的にはポテンシャルの高さを随所に見せる岡田もそこに絡んでほしい。

脈絡とは関係ないがステファンはコンディションが整えば脅威となることだけは、これを見た他チームサポさんに分かってほしい。

おわりに

後半は山雅が布陣を、[4-4-2]の相手に相性の良いシステムである[3-4-2-1]に変更してきたが、ヴェルディを始めとする手強い3バックのチームと対戦してきたゼルビアはよく対応していた。

ロングボールによる押し戻しをしつつ山雅のビルドアップに次第に慣れてくると、同数プレスによる圧をかけて牽制し、山雅に問題点を繰り返す形とさせた。そして時間が経過して守備的プレッシングに移行しても堅固な守りを見せた。

言い方が悪いが並みの相手であれば3バックであろうが4バックであろうがゼルビアは対等に戦えることは今までの戦いで示している。つまり町田にとっての課題は、質の高い相手や互角の展開が続いた中で怪しく顕在化する。しかし互角の相手に勝利し自信を付け、トレーニングを積み重ねることで徐々に強くなるという未来が見えそうな気がしないでもない。果たしてゼルビアはどこまで進化できるのか、繰り返しになるが信じて平戸に祈る🙏のみ。

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ゼルビアアナライジングサポーター「ZAS」として試合をもっと楽しめる分析ブログを執筆します
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