はじまり

2020年12月中旬 ひょんなことから、キャンプに行くことになった僕たち2人は、自分たちのサービス創りに取り組み始めるようになる。

新卒から勤めていた商社に辞表を提出し、引き継ぎ業務を終えた僕には、約3年半 地道に貯めてきた有休が1ヵ月ほどあった。3年半だと、さして長い時間でもないようにも感じたが、営業として走ってきた自分へのご褒美だと思って、ありがたく頂いた。

有休を使い始めて数日は、社用携帯を手放した解放感 と 平日に昼まで寝ている自分への罪悪感 と戦いながらもそれなりに楽しく過ごす日々であった。

ただ、貧乏性なのかこれまで走り続けてきた中でついてしまった習慣なのか、長い間 家に閉じこもっていてはいけないという焦燥感にかられるようになった。

そんな折、学友であり エンジニアをしている友人(今後通称:エンジニアな友 ) とキャンプへ行くことになった。世は空前のキャンプブームの中、彼もまたその魅力に取り付かれた一人であった。ちなみに僕は都会が大好きな地方出身者であるが、ブームに少しだけ乗っかりたいなと思った次第であった。

目指すは、富士山の麓のキャンプ場である。レンタカーを借りて、車を走らせ、途中のスーパーで食料を調達した。エンジニアな友 の活躍により、キャンプは、手際よく進んでいく。
11月末に富士山の麓ということで、寒さはかんり厳しいものであり、弱い火力では、肉一切れ焼くにも20分以上必要であったが、その分一口目を食べた時の感動は、今でも覚えている 。
(ゆっくりと火の入った鶏肉には、底知れない旨味があると知った。。)

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なんだかキャンプの感想になってしまいそうだが、本題はここからだ。
焚火を眺めながら、エンジニアな友のここ数年の話を聞いていると、彼もまた転職を考えているとのことだった。ちなみに、大手企業寄りのキャリアを歩んでいる僕とは対照的に、彼はベンチャー寄りのキャリアを歩んでいた。
場所や職種は違えど、2人とも3年以上は働き、多少の成功失敗を経験してきた年代である。
彼が転職したい理由を聞いてみると、「今の職場でできることは、自分なりにやりきったと思う。もっと技術を磨きたいし、自分のサービスを創れるようになりたいから」というものだった。
職種は違えど、僕もまた似たような理由で転職を決めていたので、その言葉は心に刺さるものであった。「自分で事業を創れるようになりたい。」そんな気持ちで、営業から企画・管理系の職へ転職を決意していた。

転職の話が終わると、次第にどのような事業やサービスを創りたいかということに、話の焦点は移っていった。お互い思い思いに、自分の考える案を出していった。この3年間、目の前の仕事に追われていたからか、自分たちが描きたい未来の話をするのは、新鮮で心の踊るような時間であった。
そして、話しているうちに「30歳までには、やりたいよな。。」という所に話は流れていった。お互い、社会人をやってきた中で、時間の経過は思っているより早ことを実感していたし、「やりたい」と言っているだけでは、何も変わらないことも、よく知っていた。

「今やらないと、30歳になっても同じことを言ってるんやないかな?」
エンジニアな友のポツリと呟いた一言は、胸に刺さるものであった。
「うん、その通りやと思うわ」と僕は返事をした。数分間沈黙が続いてからか、どちらかが「やろうや」と声に出したよな気がする。
それは、もちろん「今、自分たちのサービスを創って、世に出そう」という意味に違いなかった。
フワフワと宙を浮いていただけ願望やアイデアが、ついに動き出す、そんな瞬間だったように感じる。

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