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タピオカバリアフリーのすゝめ

タピオカは若い子のモノ、なんとなくそう感じている人って多いんじゃないだろうか。

梅雨明け間もない頃。近くでの用事が思ったより早く終わったので、ちょっと行ってみようかと戸越銀座商店街まで足を延ばしてみた。

テレビの情報番組などではよく目にする戸越銀座商店街だけど、実際に来るのは1回あったかなかったかというくらい。平日の昼間ということもあってかそれほど混雑しておらず、地元の方と思しき奥様方やおじいさんおばあさんがお買い物している。のんびりとした雰囲気の商店街だった。

ひとまず端から端まで歩いてみるかと思い、キョロキョロブラブラしていた私の目に留まったのは、道端で円になっておしゃべりしている4人の奥様達。旦那さんとお子さんを送り出し、束の間のフリータイムといったところだろうか。おしゃべりの声が少し離れたところからでも聞こえてきたから、相当盛り上がっているみたいだ。

何にそんなに盛り上がってるのだろうと少し不思議に思いながら近づいていくと、奥様達の手に握られているものが目に入った。タピオカだ。

昨今10代〜20代の若者を中心にインスタ映えする見た目とその食感・腹持ちがいいといった観点から、タピオカ入りミルクティーなどのドリンクが大人気。その現象は第三次タピオカブームと呼ばれている。

渋谷や原宿といった若者が集まるスポットにタピオカドリンクの専門店が乱立し、タピオカ戦国時代といった感じだなあとは思っていたけれど、まさかここ戸越銀座にまでタピオカの波が来ていたとは。

かく言う私もタピオカの魅力に取り憑かれているひとり。毎日とは言わないが、あのタピオカの食感とミルクティーのマリアージュがどうしても飲みたくなる時がある。しかしどこのお店も行列、行列、行列……。並んで買うほどではないかなあとか、1人で並ぶのもなあとか考えてしまって、なかなかタピオカに有り付けない日々が続いていた。

戸越銀座ならそこまで行列もひどくはないのではないか、そう思いお店の場所を探して歩き出す。

ご婦人方は各々が買ったタピオカミルクティーを一口ずつ味見し合っていた。「美味しい!次はそれにしよう!」「あれも試してみたいね」タピオカを囲んでワイワイ楽しそうなその様子は、見ていてなんだかほっこりするものがあった。

ご婦人方の横を通り過ぎて少し歩くと、黄色いタピオカドリンクの形をした可愛らしい看板が見えた。ここだ、と思った。

「好茶」と書いてコチャって読むのかな?コウチャって読むのかな?どちらにしても可愛い名前。

店の前に行列形成用のポールが置いてあるところを見ると、混雑する時間帯はそれなりに人が並ぶようだ。しかし今はレジに客が一人、受け取りカウンターに一人いるだけだった。

いい時間に来たかもしれない。そう思い足早に店内に入った。メニューはレジ横に置いてある。売り切れのものもあったが、黒糖ミルクティーやフルーツティーなど全部で4〜5種類あるようだ。私ははじめてのお店だからスタンダードなものがいいなと思い、ロイヤルタピオカミルクティー500円を注文。

レジ横の受け取りスペースで少し待つと、不思議な包みをまとったタピオカが登場。

出てきた時は驚きましが、これが意外と持ちやすい。タピオカミルクティー専用の買い物バッグといった感じ。持った時に安定感がある。(紙袋もくださいって言えばもらえます。)

包装に感動していると、おじいさんと2人のおばあさんが入ってきた。

「今日はどれ飲む!」「これだな!」「今日はこれ!」「いいねえ〜」会話を聞く限り、この店には何度か来ているようだ。今日飲むドリンクを選ぶ様子のなんと楽しそうなこと。すっかりタピ活にハマっているようだ。

おじいさんおばあさん達の楽しそうな様子に思わず口角が上がる。ついついタピオカは女子高生の飲み物のように感じてしまっていたが、タピオカの魅力の前には年齢なんて関係ないのかもしれない。

甘くてモチモチ、ツルツルとした食感を日本人が嫌いなわけがない。老若男女に愛されるはずなのだ。

若者の行列を見て、飲んでみたいけどあれは若い人のものだから並ぶのが恥ずかしい、そう思ってる人も多いはず。

タピオカのバリアフリー化。これが進んだら、もっと街に笑顔が増えるだろうなと思った今日この頃なのだった。

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