母乳と母性~生後10日で完全ミルクに移行してみて~

産後少し・・・というか、けっこう葛藤したのが母乳のことだ。

産む前は漠然と、「混合」で育てようと思っていた。周囲のワーキングマザーは「混合」で育てている人が多かったし、母乳とミルクの「いいとこどり」のように感じたからだ。

ところが産まれてみて初めて気づいたのが、「母乳ってそんなに簡単に出るもんじゃないんだ・・・」ということ。もちろん個人差はあると思う。私の友人には産んだ翌日から「あふれるくらい出た(!)」という人もいるくらいなので。ただ、私はあまり出ないタイプだった。

母子別室の産院だったので、入院期間中は、わが子が寝ている新生児ルームに3時間おきに通って授乳した。慣れない手つきで母乳マッサージを行うのだけど、軽くにじむ程度。子どもも上手に吸ってはくれない。授乳室の壁には「母乳育児のメリット」「母乳栄養の良さ」・・・そんなポスターが貼られていて、その中でうまく母乳を出せない自分のことが情けなくなってしまって母親失格のような気分がわいてきた。

それでも生後10日くらいまでは毎日搾乳を行い、哺乳瓶でちょっぴりの母乳をあげた。ただ、私の場合、毎回搾乳しても出るのは20ml程度。一方で子どもが飲めるミルクの量はどんどん増えていく。3時間起きにミルクをあげる合間に搾乳もして・・・となると文字通り休む暇もない。

それで10日ほどたったところで思い切って完全ミルクで育てることに決めた。母乳マッサージに通ったりしてものすごく努力をして母乳育児を頑張っている女性もいる中で、こんなに早いタイミングでミルクに切り替えること・・・もっと頑張るべきなんじゃないかとか罪悪感があった。

一方で2カ月目から保育園へ預けることが決まっていて、園では粉ミルクが主体になるという事情があった。背中を押してもらったのが身近にいる先輩ワーキングマザーの友人の言葉だった。彼女も早いうちから仕事復帰した人で、完全ミルクで子育てしていた。医師免許も持っている彼女は「初乳をあげるのは大事だけど、それ以降はミルクで育てても特に問題ないよ」と話してくれた。

そんなこんなで葛藤しつつも完全ミルク育児に移行した。葛藤しつつの選択だったけれど、完全ミルク育児にしてみて良かったと思うポイントもある。

よく言われていることだけれど、ミルクにすると誰でも授乳ができるので、夫や実家の母や妹など、さまざまな人に育児に関わってもらえる。中でも夫と役割をシェアできるのは大きい。また、ミルクにすることで授乳間隔が3~4時間は空く。個人差はあると思うけれど、我が家のケースでは生後3カ月で夜間に5~6時間はまとまって寝てくれるので、かなり助かっている。体力を温存できて体調の回復につながる。総じて早期に仕事復帰する女性にはおススメの点が多いように感じた。

母乳一つで「私って母親として失格なんじゃないか」なんて罪悪感を持ってしまう自分に正直驚いた。でも、今はこのやり方にしてよかったと思う。そして今日は母の日。母親という経験を与えてくれている娘に感謝。

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