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森喜朗氏発言に見る 企業に女性役員が必要な理由

東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長による女性蔑視発言が波紋を呼んでいます。

氏の失言は今に始まった話ではありませんけれど、非常に違和感を持ちましたし、残念な気持ちになりました。

森氏の発言は氷山の一角にすぎない

でも、同時に「森氏の発言は氷山の一角に過ぎない」とも思うのです。私の会社では女性役員のご紹介サービス「Warisエグゼクティブ」を先月リリースしたばかりです。サービス開始以来、連日のように上場企業の社外取締役を歴任されてこられた方や、大手企業の事業部長クラスのポジションを経験されてこられた方など、ビジネス経験豊富な40代50代の女性のみなさんにご登録いただいています。

ただ、エグゼクティブ女性のみなさんとお話ししていると、びっくりするようなお話を聞くのです。

「女性であれば誰でもいい」「(取締役会で)女性は黙っていればいいから」「余計な発言はしないでほしい」…etc.--役員選考の過程でこういう発言をされたことがあるという女性は一人や二人ではありません。

豊富なスキルと経験を持つ40代50代のビジネスプロフェッショナルに対して発せられる言葉ではありませんし、これまでの実績を否定するような侮蔑的な発言です。男性に対して同じような発言をするでしょうか?

森氏の発言にも同種のものを感じ、改めて日本の現実を突きつけられた想いがします。

女性管理職比率の上昇は10年でわずか1.7%

厚労省の「令和元年度雇用均等基本調査」によれば、企業における女性管理職比率は11.9%(課長相当職以上・役員ふくむ)で、平成21年度の10.2%から10年でわずかに1.7%しか伸びていません。

上場企業における女性役員比率はいまだに6.0%にとどまり、女性役員数ゼロの上場企業も全2,240社のうち51.4%と半数に及んでいます(※1)。

この10年で日本の働き方は大いに多様化しました。フリーランスや副業・兼業、パラレルキャリアが一般的になり、コロナ禍でリモートワークで働く人も増えました。しかし、女性のキャリアに目を向けてみると、マネジメント層や意思決定層に女性リーダーが極端に少ない実情には大きな変化はありません。

表層の多様性と深層の多様性

もちろん「女性=多様性」では決してありませんし、「女性であること」はきわめて表層的な属性の話にすぎません。けれども「女性である」がゆえに男性以上に多様な経験を有している可能性はあります。表層の多様性と深層の多様性は密接に結びついているからです。

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女性のキャリアは「ジグザグ型」だと表現されます。そもそも男女の性別役割分業意識が根強く、固定化しがちであるがゆえに出産や育児による休業や時短勤務、パートナーの転勤帯同に伴う離職やそこからの再就職といったキャリアの変化に直面しやすい傾向があります。あるいは、女性であるがゆえに仕事をまかせてもらえない、評価がえられにくいといった場面に遭遇し、よりやりがいある環境を求めて転職や独立に一歩を踏み出した女性たちも…。学校を卒業して、勤務し、退職する--そうしたシンプルな一本道では決してないことが多いのです。皮肉なことかもしれませんが、企業が女性の力を活かしきれてこれなかったからこそ、女性の経験が多様になったとも言えます。

「意思決定層の多様性」はなぜ必要なの?

では、いまなぜ意思決定層の多様化(ボード・ダイバーシティ)が必要なのでしょうか?ダイバーシティが財務パフォーマンスと正の関係性があることは数々の調査結果から示唆されていますし、企業の安定的かつ長期的な成長には、環境や社会問題への取り組み、ガバナンスが少なからず影響しているという考え(ESG投資)も注目を集めつつあります。またダイバーシティが従業員のエンゲージメントを向上させるという調査結果も出ています。

そして大事なことは意思決定層に多様性が担保されることでリスク回避も可能になることです。最近でも大手企業の広告キャンペーンが炎上してしまう騒ぎが跡を絶ちませんが、これらも多様な視点が欠如していたからこそ巻き起こってしまった事態ではないかと推測されます。

多様な視点があるからできること

冒頭の森氏の発言で氏は「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」と述べたそうですが、多様な経験を持つ人が集まれば多様な視点から発言があるのは当然のこと。だからこそ得られる成長や革新があって回避できるリスクがあります。

今まさに日本企業に求められているのはこうした経験の多様性ではないでしょうか?人生100年時代、少子化が進み、労働人口が圧倒的スピードで減り続けるなか、一人ひとりが70歳まで可能な限り働くことを求められる未知の世界。不確実性が高く、変化のスピードも速い。

そんな未知の世界で企業として価値を提供し続けるためには多様な視点・経験が必要です。意思決定層に多様性を。まずは女性から。自分たちも事業を通じてそれに貢献していきたいと改めて感じた出来事でした。

※1:東京商工リサーチ「2020年3月期決算上場企業2,240社 『女性役員比率』調査」より


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株式会社Waris共同代表/一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会理事/国家資格キャリアコンサルタント/フリーランス女性と企業とのマッチング、離職女性の再就職支援など、自由で多様な生き方・働き方を創る活動をしています。2歳児ママ。