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「映画かよ。」の解説かよ。 Ep38 ラストサマー|◯十年前に、何をしてたか知っているぞ!

2023.2.5 update
(写真は全て駒谷揚さんから提供)

3シーズン目に入っているYouTubeドラマシリーズ、「映画かよ。」。Ep38「ラストサマー」が配信されている。

Ep38 ラストサマー

アミ(森衣里)のもとに、「去年の冬、何をしたか知ってるぞ!」と書かれた奇妙な手紙が届く。同じ手口が有名なホラー映画「ラストサマー」が大好きな後輩の潤(うるみ・木下朝実)のいたずらだと考え問い正すが、彼女も同じ手紙を受け取っていたことを知る。懸命に過去を思い返す二人だが、脅されることなどした記憶はない。しかし、もしかして、覚えていないだけで、車で人をひいてしまい、遺体を海に捨てたのを誰かに見られていたのかもと、いらぬ妄想を膨らませ始める潤。そして意外な事実が明らかになる…。

シーズン3の特徴である、パンチの効いたバイプレーヤー登場の回。今回の潤も、主人公のアミ、ミノル(伊藤武雄)顔負けの、映画と現実を混同するキャラで、妄想が大爆発する様がおかしい。木下朝実が表情豊かに演じている。

改めて、この「映画かよ。」について解説しておきたい。このウェブドラマシリーズは、映像ディレクター/映画監督の駒谷揚さんが、企画、制作、脚本、監督を一人で手掛けている。内容は映画オタクたちの日常を描くコメディー。映画のパロディー、オマージュを交えつつ、何事も映画に見立てるために話がこじれ、映画から得た知恵を使って事件を解決、あるいは事態をさらに悪化させる1話完結のストーリー。映画好きなら誰もが、「あるある」と感じさせてくれる作品だ。

「◯十年前に、何をしてたか知っているぞ!」

今回、レビューといいながら、エピソード自体の話をほとんどしないことをあらかじめことわっておきたい。何を書こうか考えているうちに、「◯十年前に、何をしてたか知っているぞ!」というタイトルが浮かんでしまったので、その本能に従って筆をすすめさせていただくことにする。

というのも実は、1月末から2月初頭にかけて日本に1週間ほど帰国していて、今回のエピソード配信の数日後に駒谷監督、シガー(Ep 32「ノーカントリー」に登場)を演じたカズくん、カウボーイ(Ep 23「リベリオン」に登場)を演じた、たっちゃんと数年ぶりに再会する機会があったことが原因だ。

彼らと出会ってからかなり長い。◯十年前に、サンフランシスコで一緒に映画を作っていた仲間たちだ。駒谷さんたちは映画学科で学ぶ大学生で、学生ながら精力的に映画を作り続けいた。あの頃は、常に誰かが映画を作っていて、それぞれ監督、撮影、照明、録音など役割を変えて手伝うのが暗黙のルールで、日常は映画のことだらけだった。演劇の学校に通っていた僕も役者として彼らの作品に参加していたのだが、現場に集まるのは、映画が共通言語のような人たちばかりで、会話も映画まみれで、毎日が楽しくて仕方なかった。その頃、駒谷監督が作ったのが、そんな日常の延長のような、映画のことばかり考えているオタクたちの日常を描いた「チャーリーを撃つなら俺を撃て」という作品。すでにお分かりかと思うが。「映画かよ。」を初めてみた時は、「『チャーリーを撃つなら俺を撃て』かよ!」とツッコミを入れた。

何十年も経って、久々に集まっても話すことも、やっぱり映画のことばかり。今回は「映画かよ。」をいかにバズらせるかといったことを夢中になって話した。「こういう話は夢があっていいね」という、誰かのつぶやいた一言が印象に残った。

あの頃のことをまるで昨日のことのように思い出す。当時、デジタルカメラなどまだなくて、ほとんどを白黒の8ミリや16ミリのフィルムで撮っていたが、時が経って、撮影機材のすさまじい進化があったからこそ「映画かよ。」は生まれたという事実もある。時の過ぎゆくスピードに改めて驚くが、何時間語っても飽きないぐらい、映画に対する思いは◯十年前と少しも変わらないことを確認できて、なんだか幸せな気持ちになった。

「去年の冬、何をしたか知ってるぞ!」

かなり飲んで酔っていたので、詳細をあまり覚えていないが、もしかしたら何か不用意な約束をしてしまって、来年の今頃に、「去年の冬、何をしたか知ってるぞ!」なんて書かれた手紙が届くかもしれない。まあ、犯人は分かっているのだが。

来年、「去年の冬、何をしたか知ってるぞ!」という手紙がきたら、犯人は…

【「映画かよ。」公式YouTubeサイト

「映画かよ。」ウィキペディア

駒谷監督はこんな人↓

駒谷揚監督インタビュー(Danro)

「映画かよ。」に関するレビュー↓

トリッチさんによる
カナリアクロニクル」でのレビュー

Hasecchoさんによる
「映画かよ。批評家Hasecchoが斬る。」
YouTube「映画かよ。」のコミュニティーページで展開

おりょうSNKさんによる
ポッドキャスト「旦那さんとお前さん」






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