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毒親と気づかない母親の物語

最初にお伝えしておきますが
今日のお話はフィクションです。

ですが

きっとどこかの誰かにとっては
ノンフィクションになることでしょう。

前書き

先日、ジムにあるTVを見て少しばかり
釘付けになってしまいました。
(ストレッチ中でしたよw)

お昼の番組でよく見る
ゲストが視聴者の悩みに対して
回答していくというもの。

その悩みというのが
高校生の息子がいる42歳の母親。

その息子には彼女がいる。
その彼女の素行が悪くて気にくわないし
息子には不釣り合い。
このままだと私の気が変になりそう。

だから穏便に別れさせる方法を
教えてほしい

そんな悩みだったと思います。

えぇ。いるんですよ。
この令和の時代にも。
きっと、その母親の親からも
人を何で判断するのかを
刷り込まれた結果なんでしょうね。
生きづらかったでしょう。
お気の毒に。。。

この母親を責めたくなる自分が
かなりの力を持っていますが
もしも自分のお客様にこういった
悩みを持った方がいらしたら
僕はどうアプローチするかなぁと
考えていたら、ふと物語が浮かんだので
ちょっとnoteに起こしてみたくなりました。

第1章 私の宝物

京子(母親)は真っ白な天井と
強い照明の光に包まれながら
我が子、幸雄と初対面する。

強烈な痛みから解放された安堵感と
我が子のかわいさを感じつつも
これから母親として
果たさなければならない使命感を
強く感じていた。

何としてもこの子を守る!
そのためなら何でもする!!
子供の幸せのために全ての禍事は
私が解決してみせる!

そう、心に誓ったのです。

子供の成長というのは早いもので
あっという間にハイハイをして
立って歩けるようになりました。

好奇心旺盛な幸雄は色々なことを
チャレンジしてみようとしますが
京子は危ないことを一切させませんでした。

転ばないように。。。
傷つかないように。。。
泣かないように。。。


京子が思う子供にとって安全なこと
子供にとって良いと思うことは
子供が嫌がってもやらせました。
逆に京子にとって子供へ
少しでも危険がある事は
何が何でもやらせませんでした。

幸雄は時にそれを
泣いて喚き抗議します。
それでもその声を遮るように
叱りつけてはこう言うのです。

これが良いに決まっているの!
あなたのためなんだから!!

京子はこの言葉を言う度に
幸雄は
私が守るって決めたんだ!
だって私の宝物だから。

そう自分に言っては
納得をしていました。

第2章 消えゆく笑顔

幸雄は幼稚園に入園。
京子は喜んでくれる周りには
嬉しさを表現していましたが
実は寂しさと不安がこころの中を
かなり覆っているのを自覚していました。

何か幸雄が危ない目に遭わないだろうか?
友達にいじめられないだろうか?
もし、外でケガでもしたらどうしよう?
心配事は尽きない毎日を
夫に打ち明けたら
「考えすぎ」の一言で片付けられてしまった。

あなたにはわからないわよね。
だって産んだのは私だし
私の宝物なんだから。
やっぱり
幸雄は私が生涯守っていく!

京子の信念は確固たるものに
なっていくのでした。

しかし、京子の想いとは裏腹に
幸雄はどんどん友達を作り
気がつけば自分から少しずつ
離れて行ってしまう気がしたのです。

幸雄は当然、お友達の話を
沢山京子にするのですが
その度に京子にとっては
何だか苦しくなってついつい

「〇〇ちゃんは意地悪だからお友達になっちゃダメ!」
「〇〇くんの家は貧乏だから遊んじゃダメ!」
「〇〇ちゃんは頭が悪いからバカが移るわよ!」

というような悪口を言ってしまいました。
それと同時にこう思うのです。

これも幸雄を守るため!
だって、私が守るって決めたから!!

そう言い続けて幸雄は
反論しなくなりましたが
あれだけ楽しそうにしていた
幼稚園に行くときの笑顔も
いつの間にか消えてしまいました。

京子はそれに気づいていましたが
仕方の無いこととも思っていました。

子供を守るとはそういうことだと
常に思っているのです。
私の前で笑っていればそれでいい。
私の宝物なのだから。。。

そして、そう言い続けて
幸雄は幼稚園を卒園し
小学校へ入学します。

第3章 狂う調律

小学校に入ると当然ながら
幼稚園に比べて友達も多く
作れるようになりますし
行動範囲も広がっていきます。

ですが、京子の信念は
一貫していました。

幼稚園の時と同様、京子にとって
幸雄に似つかわしくない人 は
あらゆる表現を用いて関係性を否定をし
縁を絶とうとしていました。

そういう関係性を絶つきっかけ作りのため
幸雄には京子が幸雄にふさわしいと思う
ピアノの習い事をさせました。

ピアノになんてこれっぽっちも
興味の無い幸雄は抵抗しましたが

あなたのためなんだから!!
お母さんの言うことを聴けば
絶対間違いないから行きなさい。

そう言ってピアノを習い始めました。

これで幸雄の悪友とも関係を絶てるわ。
これでいい。あの子を守るためだから。

そして
幸雄からはとっくに昔の
素敵な笑顔は消えていました。
そこから時間は進み
幸雄は高校生となるのです。

第4章 恋

母親の言いなりになることに
嫌気もささなくなっていた幸雄。

説得しようが、反抗しようが
ちゃんと説明して自分の気持ちを話そうが
結局は自分の意のままにする母親。

もはや抵抗しないほうが楽
そう思うようになっていました。

通い続けているピアノも
行かないとしつこいくらい
説得されるため
面倒ではあったものの
通い続けていました。

それに今は通うメリットも
見つけられている。
それは自分よりも少し年上の
大学1年生の令菜がピアノ教室に
通い始めたからだ。

幸雄は令菜に恋をした。
彼女の屈託なく笑う顔や
ミスをしてもめげない姿勢
そして何よりもポジティブで
朗らかな性格が大好きだった。

彼らは恋に落ち、付き合い始めた。

高校生と大学生。
今の時代、何ら不思議ではない組み合わせ。

ただ、それも束の間
京子にバレてしまった。

京子は怒りを露わにして
ありとあらゆる言葉を使って
令菜のことを罵った。

令菜の通う学校
令菜の家庭環境
令菜の性格や成績
令菜の友人にまで・・・

令菜のすべてが京子にとって
気にくわなかったのです。

そして、京子は一方的に
ピアノ教室を解約させてしまいました。
連絡手段が取れるスマホも没収し解約。

幸雄は絶望感に苛まれつつも
どうしていいかわからず
自分に起きたことをただただ
受け入れるしかありませんでした。

「いつか、殺してやる・・・」
そういう想いすら芽生えていた一方で
何も出来ない自分が心底嫌になり
考えることを放棄し、いいなりのまま
令菜とは自然消滅し
高校を卒業したのです。

最終章 愛の末路

高校を卒業した幸雄は
京子の言いなりのまま大学に入り
京子の勧める企業に勤めました。
そして
京子の勧める人と結婚し、家庭を築きました。

もうこれであの子も大丈夫でしょう。
京子の中では順風満帆な日がようやく訪れた。

そう考えていた京子の身に異変が起きます。
「胃の辺りが痛い・・・何だろう。」
まぁ、ちょっと疲れたのかな。

そう思って放置していましたが
一向に治まることがないどころか
日に日に痛みは増していき
とうとう立てないほどになりました。

救急車を即呼んで
精密検査を受け
何とかその場をしのぎました。

その数日後
医師から深刻な顔で告げられます。

京子さん、あなたはステージ4の
スキルス性胃がんです。
余命はもって3ヶ月。
今からご家族とこれからのことを
しっかりと話し合って下さいね。
まずはこれからの流れを・・・

頭が真っ白だった。
なぜ?
私が何をしたの・・・?

医師の説明は全く頭に入ってきません。
ほとんど説明が頭に入らないまま
京子は一度家路に戻ります。

そこに追い打ちを掛けるような
知らせが舞い込みます。

幸雄が投資をしていた
株が大暴落。

全財産を掛けていたため一気に
資産が無くなってしまったとのこと。

更に借金をしてしまったため
お金が返せなくて困っている。

そんな知らせでした。
まさに京子にとっては青天の霹靂です。

京子は幸雄にキツく怒鳴りつけます。

あんた何考えてんのよ!
私がここまで育ててやったのに!
大人なんだから少し考えれば
お金の使い方とかわかるでしょ!
あんたを守るためにどれだけ
人生をなげうってきたか・・・

そして幸雄は口を開きます。

あぁ、そうだよ。
僕はいつでも母さんの言うとおりにしたよ。
母さんがダメと言うことはやらなかったし
母さんが気に入らない人とは
付き合わなかったし
母さんの思うような人生を歩んできた。

でも、母さんは投資がダメだなんて
言っていなかったから。

お金の使い方だって全部母さんが
やってくれていたから。
僕、上手なお金の使い方なんて
わからないよ。

ねぇ、母さん。
今まで通り、何とかしてよ。
母さんにとって僕は
宝物なんでしょ。

~完~

後書き

何とも後味の悪い結末で
締めてしまいました(゚Д゚;)

ですがこの後のストーリーは
想像にお任せします。

冒頭にも書きましたがあくまでも
フィクションです。

ですが

誰かにとってはノンフィクションに
なる出来事かもしれません。

人生における問題というのは
必ず誰にでも起きること。

気持ちとして
大切であればあるほど
問題から遠ざけてあげたい
と言う気持ちは理解できます。

ですが

例え親子であったとしても
子供の問題は子供の問題であり
親の問題は親の問題なのです。

その問題が起きたときに
どこまでサポートするか?
その塩梅によってはもしかすると
この物語はノンフィクションに
なるのかもしれませんね。。。


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