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決断するアラフィフ達

最近、同じ不動産業界の人と良く会います。破竹の勢いで数字を作り続けている人、情勢が大きくカーブして悩んでいる人、あいかわらずボチボチやってる人、タイプは違ってもみんな共通の話題が多く、会う人会う人、馬鹿なことも交えて、つい長話をしてしまいます。そんな中、昔勤めていた会社の同僚と会いました。

「色々悩んだけど、会社を辞めないと決めたんだ…」

彼はぽつんと言いました。どんどん辞めていく同僚、残った戦力での消耗戦、不安定な時代と共に迷走する経営方針。そのマイナスの要素を、全て受け入れて、前に進むと決めたようです。それが簡単な覚悟で出した結論じゃないのは分かります。長期間重い気持ちを引きずって、悩んで眠れない夜を過ごして、やっとのことで絞り出すように辿り着いた最終の答え。

続きの話をしました。残留、いいじゃないですか。リスクやマイナス要素を理解した上で会社に残る。それは今までのように漫然と過ごすのではなく、情報のアンテナ感度を最大にして、会社員としてのメリットを享受しながら、あらゆるリスクを想定し、警戒しながらそれを回避する毎日。

ある程度の不動産会社に勤務する恩恵は多々あります。知名度のある名刺でお客様の前に出られて、最新の不動産ITツールは使い放題、契約書類はきちんと本社の法務チェックを受けられます。街中のクソ高い時間貸駐車場に長時間停めても、全額会社が気持ちよく払ってくれます。

会社に勤め続けることが悪いことではありません。いい歳して何も考えずに流されて、上からの指示をただただ待ちながら、どんどん悪くなっていく状況を指をくわえてみていたくせに、なにかあれば上司や会社のせいにしようとする、一から十まで他責志向の甘えた姿勢が一番の問題です。

実際、独立しても、うまくいかず、どうやったら売り上げが作れるか、いけしゃあしゃあと聞きに来る不動産老人もいます。

た)チラシを撒きました?
老)撒いてない。チラシってどうやって作るの?

た)若手とランチに行って情報をもらえるようお願いしました?
老)あいにく大手と付き合いがなくて…

た)空家に手紙を送りました?
老)どの家が空家なのか知らないし…

お前にこっちが死ぬほど考えた稼ぎ方を教えるわけねーだろ。それよりなんで会社辞めて独立なんかしたんだよ…。

聞いていてうんざりすることばかりを言う同年代も増えてきました。賃金が安い、待遇が悪い、物価が高すぎる、キシダがキシダがあのキシダが…。残念ながらそれらを言葉に出しても、将来への不安は薄まりませんし、誰も助けてはくれません。

今やるべきことは、感度を最大にしたアンテナを張って、情報を収集し、足で調べて検証し、人の意見を聞き、最後は自分の頭で死ぬほど考えて、最終の結論を出す。これの繰り返しです。平和で穏健な時代が終わってしまった今、サラリーマンだろうが経営者だろうが、やるべき事は変わりません。

今のアラフィフ営業マンは、氷河期で社会人デビューし、週一もまともに休めず、バインダーで頭をたたかれ、ガラスの灰皿を投げられ、受話器と右手をガムテープで縛られて、それでも修羅の平成を生き抜いた不動産サバイバー達ばかり、根性が違います。

まだ試合は6回の表です。令和の荒野をどこまでも泥臭く行きましょう。

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