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福助③〜福助の血統〜

僕は陶芸が好きで、一時期は仕事にならないかと模索したが結局叶わず(今のところ)、結局サラリーマンを生業として何とかこの状況を生き抜いている。飽きっぽい僕が陶芸だけは離れず続いている。そのカタチとして家賃1万円の部屋を借り、そこをアトリエと称して製作活動をしている。そのアトリエ周辺も猫だらけである。まぁ地域猫と言うか、野良猫。生粋の野良で環境がサバイバルなので、生存率が低い。(餌を与える人がいない)
福助はそんな世界から僕が引き抜いたと言うか、目が開いたばかりの赤ちゃん猫で、本来なら死んでたはずで、運が良かったのか悪かったのか今では飼い猫として4歳になろうとしている。
今日は休日だったんでアトリエに行ったら子猫がちらほら。この時期は猫の出産ラッシュだ。4匹確認した。4匹の中に福助と同じ黒がいた。昔、黒猫のオスがいた。そのオスの血統だと僕は信じている。1ヶ月前も黒猫親子3匹見かけた。今日は黒1、白キジ2、グレー1。みんな兄妹。駐輪場にバイクを停めると母さん猫がいた。逃げずに睨みつけてきた。
「シャー、シャー」
小さい体で人間の僕を精一杯威嚇する。フェンスの向こうに子猫がいた。
こうした動物の子を守る本能に遭遇すると自分の小ささ、人間の愚かさを実感する。猫でもと言ったら猫に失礼だけど、今日の母猫は1歳半くらいの飼い猫ならまだやんちゃなお年頃だ。それが子を産み、必死に育てている。

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↑この写真は威嚇した猫の子。顔つきが福助と同じ。母猫はキジ猫だけど顔の輪郭が福助と似ている。ちなみに1番トロい。

アトリエに行くたびに想像する。福助が僕に拾われず、もしここで生きていたら、たくさん子孫を残していただろうかと。飼い猫になるため人間の都合で去勢をしたが、もしかしたら福助はボス猫になったかもしれないと妄想する。
ここしばらくアトリエへ行くたびにこの猫たちに会うだろう。命を繋いでいく厳しさと大切さを猫たちからまた教わるんだな。車や変な人間を横目にたくましくいきてほしい。僕は見守ることしかできない。それが歯痒いと思うのは人間の、いや僕の傲慢な気持ちなんだろうか。
多分猫たちは「今」を一生懸命生きてるだけで、僕の薄っぺらい感情を「ふふん」と見透かしているんだろうなぁ。

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