ファミ。②〜母ちゃんになった〜
一気に時間が進む。僕は本当に文章を描くのが苦手。話したいこと(書きたいこと)から先に出る。でも何か伝えたいと思うけど、結局何が言いたかったかわからなくなり空中分解する。今回もまとめようと思うけどどうだろう。自信ない。
ファミと出会って1年になるかならないかの頃、ファミが雲隠れした。察しはついていた。実はこの頃ファミのお腹は大きく妊っていた。
前後にハチワレの大きなオス猫がたまに出現していた。妙な威圧感と存在感があり、一言で言えばオーラがあった。人間の餌は口にせず目の前にファミの残した餌があっても無視をしていた。人間の食べ物を食べない決断をきっと何処かでしたのか。それとも親から教わったのか。そんな風貌にファミはすごい甘えていた。いつもはツンデレなのにボス猫へのすり寄り方はすごかった。きっとボス猫が父親だなと思った。
1ヶ月くらい過ぎたかな。とうとう子猫の鳴き声が聞こえた。どこかにいる。どこかわからないが近くにいる。近くだろうと言う場所にカリカリを置いた。どこかで詳しく書くがこの後ファミを通じて知り合った猫仲間と交流することになる。この時点ではまだ直接ではない。ある日、「餌はこのお皿を使ってください」とメモを貼り付けたお皿があった。やっぱり他の誰かもあげてたんだ。何となくそうじゃないかと思って内心「ニヤ」っとした。
それからこのお皿にカリカリを入れるようになった。お皿を観察していると、自分以外に3名くらいファミに餌をあげているようだった。たまにコンビニ客がおでんやら焼き鳥をあげた痕があったが、串や容器が散乱していた。
この時はいつか他の人たちと会ってみたいものだと思い、こんなにサポートされているなら餌の量は少なめにしようと思った。実は最初の頃と比較してファミは選り好みをするようになっていた。ファミ以外の猫の影も以前より濃くなり猫のたまり場になりそうだったからだ。しかも僕より旨いものを食べている。あのか細い泣き声で人間を誘っている。ただ人間に媚びても懐かないのが救いで、絶対に触らせないのだ。ある程度慣れたら結構触られてくれる性格の猫もいるけど、ファミは違った。1匹でもたくましく生きている。反対にいっそ甘えて触らせてくれた方が保護して飼い猫になる方が幸せかなとも思った。悩ましい。
そうこう考えるうちに約1ヶ月過ぎ、この間直接会うことなくお皿の餌の状況でファミの生存確認をしていた。もちろん他の猫が食べていることもあるけど、ファミの食べ方には特徴があるからすぐわかる。他の猫は警戒してこない。
子猫の鳴き声を聞いてさらに半月後、、とうとう子猫を発見した。そしてその傍に痩せこけたファミがいた。あの時はまだまだ子猫だったのに、もうお母さん。誰に教わることなく子供を守って育てている。痩せた身体なのに3匹の子を必死に覆い隠そうとしていた。全ての栄養を子供に与えていると言わんばかりの痩せ方なのに。別の人が見たら病気かと思うくらいなのに。
上の2枚は同じファミ。上が出産後、下は出会って半年後くらい。出会った頃は子猫のあどけなさもあったけど、この環境で子猫を育てるのはもう命がけだと言うことがわかる。今見てもすごいなぁ。
本当にすごい。「すごい」しか言葉に出ない。
この後、子猫たちは何にでも興味が出て「冒険」が始まった。柵の向こうで床下や資材置き場を興味津々で動き回る。少し離れたところでファミは見守っていた。僕を見つけると、「ミア」と鳴いた。「お疲れさん」と言い、成猫用のミルクを与えた。季節は夏に向かっていた。蒸し暑い。ファミはピチャピチャと勢いよくミルクを飲んだ。
子猫たちは育つかなぁ。余計な心配事ができた。でもここは元々猫が多く住みつついていて(近くに寺もあり)、近所の人も猫慣れしているようだと勝手に思い、(実際沢山の猫が入れ替わってる)無理な理屈を作って自分を落ち着かせ、自分の考えと行為を正当化した。
ファミの子供だし、厳しいけど猫社会で生きていく方が普通だろうと勝手に思っていた。仮にファミが事故で死んで子猫だけが残っていればまた別の選択もあるけど、母ちゃんいるし、母ちゃんのおっぱい、愛情は必要不可欠だ。人間の施しは「たまに」でいい。やっぱこれは勝手な理屈だな。ファミはそんな事お構いなしに利用できるところは利用し一生懸命子育てした。ある日が来るまでは。
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