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ジーン・リップマンブルーメン「最強集団 ホットグループ」読書感想文

note の投稿が99回目だという。
たぶん、この投稿をすると、いかにもAI的に「おめでとうございます!」といった乾いた褒め言葉が表示されるのだろう。

逆に冷める。

でも『スキ』はうれしい。
熱感が『スキ』にはある。

『スキ』をしていただいた方、お礼をいわせてください。
いつもありがとうございます。
力をもらってます。
なんとか100冊分の読書感想文をUPできました。

あと、誤解も解かせてください。
『739番 田中』というのは「こういう感想を持つ人が、こうなるんだよ」と言いたいがためであって、決して法令を軽視しているわけではありません。

現在の私は、法令順守で生活しております。

いや。
つい昨日だ。
立ちションをしたことにより、軽犯罪法違反をしている。
40キロ制限のところを、つい45キロほどで走行したので、しっかりと道路交通法違反もしている。

なによりも、この note では「湊かなえがつまらない」とたびたび書いているので、これも侮辱罪に抵触するかもしれない。


弁解もさせてください

湊かなえ問題については謝罪します。
ファンの方々、すみませんでした。

弁解もさせてください。

周囲に気をつかって書くと、誰からも好かれようとして書くと、次第に書けなくなるのです。

書くことが窮屈になっていって、長く続けることができなくなるのです。

「こんなこと書いちゃいけないな」とか「これはやめたほうがいいかな」というのを続けていると、なにから書いていいのかわからなくなるのです。

もちろん程度の問題もあって、たとえば「回転寿司のしょうゆ差しを鼻の穴に入れました」はダメだけど「湊かなえがつまらない」はいいだろうという判断でした。

だいたいにして、湊かなえは・・・。

・・・ 余談が過ぎました。
湊かなえには熱くなってしまうようです。

以下、受刑者と読書録です。

単行本|2007年発刊|255ページ|東洋経済新報社

共著:ハロルド・J・レヴィット
翻訳:上田惇生

なんとも煮え切らない本

借りたのは、本の題名に惹かれたからだった。
ホットグループとはなんなのか?
なにが最強集団なのか?
副題にある「燃えるやつら」とはなんなのか?

で、3時間ほどで読み終えるが、しっくりこない。

ジーン・リップマンブルーメンとハロルド・J・レヴィットという2人の大学教授が、ホットグループを解説する本といえばいいのか。

が、解説といっても、メカニズム的なものは一切ない。
図解なども簡単なのがひとつあるだけ。
広範囲に、ホットグループの存在を挙げているだけ。

ハウツーを提供しているのではない、手引きを提供しているとも著者は本文中で述べているので、なにかしらの参考にはなるかもだけど、よくある抽象的すぎる自己啓発の本に似ている。
ひとつひとつが具体的ではなくて、読むのが飽きてくる。

ピーター・ドラッカー軍団の本

この本の発刊は2006年。
当時は「ホット・グループ」が、新しいビジネス用語として流行りかけたらしい。

しかし、その用語は、見事に定着しなかったといえる。

文中には、あの「マネジメント」の著者のドラッカーが、何度も登場してくる。

ジーン・リップマンブルーメンの経歴には、ドラッカー大学院の教授とある。
翻訳者の上田惇生も、ドラッカー学会の代表となっている。

なので、ドラッカーに関心があれば、得るものはいくつかはあるのかもしれないなとは思うが、だいぶ発刊から年月が経ってからポンと単体で読んだものだから、消化不良を起こしてしまった本だった。

ホットグループとはなんなのか?

使命があって生まれるグループ

ホットグループは熱い。
ミッションがある。
情熱があって、熱気がある。
高揚と興奮がある。
一体感が生まれて団結する。

ホットグループにはエネルギーが生まれる。
アイデアが生まれる。
リスクに挑戦する。
創造が生まれる。
革新がはじまる。

多くの人が振り返ってみて「なんであんなことができたのだろう?」と思うのがホットグループだ。

・・・ と、著者はホットグループを解説する。

いっていることはわかる。
が、こんな具合に、延々と続いていく。

自然発生するグループ

歴史は、組織がつくっているとも見れるし、個人がつくっているともみれる。
が、ホットグループがつくっているともいえる。

ホットグループは、チームでもない。
タスクフォースでもない。
委員会という組織でもない。
複数の人間がいれば、ホットグループとなる。
小規模である。

・・・ と、ホットグループの定義はあいまいだ。
なんとなく言っていることはわかる。

イノベーションのグループ

創業まえのマイクロソフトのプログラミングチームは、大学生の集まりのホットグループだった。

草創期のアップルコンピューターのデザインチームは、パソコンおたくの集まりのホットグループだった。

90年代半ばの宇宙産業のプロジェクトチームは、技術者のホットグループだった。

現代では、イノベーションの重要性が高まった。
知的労働が中心になってきた。
あらゆることが複雑化した。
だからホットグループが必要となってきている。

・・・ 言っていることはわかる。
NHK の『プロジェクトX』の世界というのか。
今でいえば、スタートアップともいえるのかも。

ビジネスの現場だけに限らない

アメリカ海軍で、戦艦を1年でミサイル搭載艦に改造したときに、軍人と民間人のホットグループが生まれた。

1894年のパリで、印象派と呼ばれた画家グループは、ホットグループだった。

1953年にエベレスト初登頂したチームは、国籍が関係ないホットグループであった。

1962年のキューバ危機に際して編成された危機対応チームの “ エクスコム ” は、上下関係がない政府高官のホットグループであった。

1980年代の大ヒットテレビドラマの製作現場には、専門分野が異なるクリエイターのホットグループがあった。

ホットグループは、古今東西関係なく生まれる。
立場や能力や主張が異なるメンバーでも、ホットグループは生まれる。

・・・  本当に、言っていることは、なんとなくわかる。
が、なんかこうモヤモヤがある。

短命でもある

ホットグループは、概して短命でもある。
活動は、数時間から数年までと様々である。

医療チーム、プレゼンのチーム、選挙キャンペーンの陣営、高校のスポーツチーム、投資ファンドの支店、戦場の部隊、コンサルティングチーム、少年のサマーキャンプ、研究機関などにもホットグループは発生する。

報酬が少なくても、あるいは報酬がなかったとしても、ホットグループは生まれる。

・・・ わかるよ。
言わんとしていることはわかる。
そう思いながらの読書である。

事例として、いくつものホットグループが挙げられているが、どれも1行から3行ほどのエピソードに留まるので、具体性が乏しいのだった。

危機によって発生する

ホットグループは、逆境のときに多く発生する。

精肉会社のソーセージ部門、戦時の地下組織、スーパーのカスタマーセンター、治療チームなどにもホットグループは発生する。

危機のときに、驚くほどに多くホットグループは発生する。
しかし、なぜなのかは、明確にはわからない。

・・・ ちょっと、ジーンさん!
そういう深いところの意見を聞きたいのに!

すべてがハッキリしないのだ。
学者だから推測でモノを言わないのだろうけど、そこは大胆に推測して、あとの判断は読者に委ねるでもよかった。

要は、事例を取り上げて、存在があることを主張して、概念らしきを唱えて、分類して、肝心なところは「わからない」で済ましてしまってる。

相互の理解を見落としているという感想があった

ともかく、ホットグループの存在はわかった。
ホットグループが重要なのもわかった。

使命があって、危機も合わさって、グループは自然発生して熱く活動して、変革や成果を生むいくということか。

で、この本を読み終えてから思い出すのは、以前に雑誌で読んだ記事だった。

2013年ごろに、グーグルが、チームのパフォーマンスを向上させるための研究をしたという記事だ。

IQ が高い者同士で、数名のチームを組んで、プロジェクトに取り組んでみたのだけど、パフォーマンス向上との相関関係は認められなかったというのだ。

学歴が高い者同士のチームでも同じ。
経歴が優秀な者同士のチームでも同じ。

以外なことに、メンバーの知能や能力や実績を高めるのと、パフォーマンス向上とは関係ないという。

じゃ、なんの共通点があればいいのか?
あるいは、どのような要素が組み合わさればいいのか?

出身地、性格、家族構成、人種、宗教、趣味、ゲイやレズなどの性癖までも組み合わせて試されたけど、パフォーマンス向上には結びつかない。

チームの編成は、何百パターンとやった。
パフォーマンス向上の観測点も、何百とあった。

で、結果わかったことは、メンバー同士の “ 理解 ” が深いチームが、いちばんにパフォーマンスが上がるという。

“ 理解 ” といっても大袈裟ものではなく「この人は体の具合がわるいからこうなんだ」とか「あの人は幼い子供がいるから早く帰るんだ」といった小さなもの。

マネジメントの博士だというジーン・リップマンブルーメンは “ 理解 ” には、一言も触れてなかった。

“ 理解 ” という点を、見落としている気がしてならない。

ホットグループに、その1点を付け加えてみたい。

※ 筆者註 ・・・ 読書録をキーボードしてから検索して調べてみると、グーグルの研究は、後に「アリストテレス・プロジェクト」と名前がつけられたようです。大まかには読書録にある当時の記事の記憶に沿っていますが、正確にはご確認ください。あとは、この note も、ある意味でホットグループになるのかなという感想も持ちました。

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