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歪んだ性愛 ❹

息苦しさを忘れさせるような大きな音が響いた。

だれ!?
だれ!だれなの!
いや!やめて!

大人しくしろ!!

やめて!いや!
だれかー!んぐ!

微かに妻の悲鳴が聞こえてきた。

動悸が高鳴り全身の血が熱くたえぎり、身体を巡るのがわかるようだ。

妻は何をされているのか。

不安と期待が交差する。
これまで感じことのない感情に包まれ、私の股間は熱くなっている。

はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。

まるで盛りの付いた犬猫のようになっている自分がいた。
クローゼットに身を隠すまでの感情はどこにもない。
ただ何かを待ち続けている。
私の股間を熱く激らせる何かを。

そのうち声が聞こえなくなる。
鈍く響いていた音も聞こえなくなった。
先程までと打って変わって静寂の時間が流れる。
私の中でとてつもなく長い時間が過ぎたころ、寝室の扉が大きな音をたてて開いた。

ビクッ!

驚きにも恐怖にも似た気持ちになった。
クローゼットの隙間から目にしたのは、覆面を被った男に引きづられるようにして寝室に入れられる妻の姿だった。
妻の口にはタオルが巻かれ、うめき声をあげている。

すかさず私はスマホをかざし、わずかに開けた隙間から撮影を始めた。

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