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イベント「コモンズを民主化する ―― ヨーロッパの公共サービスはなぜ再公営化されたのか?」

ようやく発表できる。

『水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』の著者・岸本聡子さんを招いて、2月5日(金)にオンライン・セミナー・イベントを開催することになりました。

この企画進めているあいだ、ずっと岸本さんのお話が聞ける機会を紹介できることを楽しみにしていた。

それくらい、岸本さんの本で紹介されている、ヨーロッパにおける水道をはじめとする、公共交通や電気や給食サービス、住宅などの生活インフラに、誰もがアクセスできるようにするための、市民運動をベースとした再公営化の動きは、これからの僕ら自身の生活の持続可能性を考える上で重要なことだと思うからだ。

民営の企業による運営から、「オー・ド・パリ」というパリ市による公営の運営機関に移ったパリの水道サービスは、その運営に市民も巻き込んでいる。

パリ市では、水道事業への市民ガバナンスを高めるために、多くの人々が「パリ水オブザバトリー」に自覚的に参画している。選挙も重要だが、選挙だけが民主主義ではないのだ。
水のように生きるために不可欠なものは、人々の共有財産として、できるだけ市民の力で管理しようという動きが始まっている。これこそが、新しい民主主義の形だ。資本の言いなりにならない、国家に任せっぱなしにしない、という市民の気概が垣間みえる。

サービス運営のガバナンスに市民そのものが関わることで直接民主主義を実現しているわけだ。

「オー・ド・パリ」にサービスの運営が移る前、パリの水道料金は高騰して、貧困層は水道の利用を差し控えなくてはならない事態に陥っていたという。

パリ市が主に運営してきた水道に、大きな変化が起きたのは、新自由主義の嵐が始まった1985年のことだった。のちに大統領となるジャック・シラクがパリ市長の時代に、市は、水道事業全体について、両者と25年間のコンセッション契約を結び、民営化したのだった。
(中略)
パリの水道料金は1985年の民営化以降、2009年までに265%も値上がりした。この間の物価上昇率は70.5%であった。それに比べてはるかに大きい上昇率だ。

こうしたきわめて基本的な生活インフラの高騰は、現在のような経済格差が広がっている状況では問題になる。特に、このコロナ禍では、手を洗う水道が使えない貧困層がいるのだからなおさらだ。

とりわけ以下の記事のように、行きすぎた経済格差がのせいで内戦の危機すら危ぶまれているアメリカでは。

この記事のなかで、ダリオ氏はこう言っている。

「わたしたちはある種の内戦を目の当たりにしている。人々がある場所から別の場所へと移っているのは、税金のためでもあるが、他の理由のためでもある」とダリオ氏は言う。
「最悪の可能性は、どちらかが『これはもう自分たちの国じゃない。自分たちの仲間じゃない』と言い出すことだ」

こんな内戦になることを避けるためにも、僕らは格差の問題に対処する策を打たなくてはならない。

そうした問題に対して、ひとりひとりではなく、みんなで対処する方法が、民主主義だと思っている。

さて、イベントでどんな話が聞けるか、いまから楽しみだ。


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