物の価値の問われ方からの問い直し
アガンベンの『スタンツェ』によれば、1925年に書いた書簡で、詩人のリルケは、「僕たちの父親の父親たちの世代にとってはまだ、家や噴水、見なれた塔、それから彼らの外套や衣服にいたるまで、このうえもなく親しみのあるものでした。なんであれしまいこめる、いわば壺のようなものだったので、そこに彼らは人間的なものを見いだし、さらに別の人間らしさを蓄えていったのです。ところが、いまやアメリカから、均一でない空虚な物がなだれこんできたのです」と書いて、物の領域で起こった変化について恐れを表明