見出し画像

プロジェクター天吊り⑤ 天井~壁裏への通線

この作業を実施するには電気工事士の資格を要します。

プロジェクターの天吊りに合わせて、
既設の壁コンセントとの間に、
HDMIケーブルとダクトレール用のVVFケーブルを通線します。
それぞれ、天井に穴あけが必要です。

通線するイメージ

天井や壁裏への通線作業は、開閉が可能な点検口を天井に設けると、
天井裏にアクセスしやすくなって作業が非常に楽です。

今回は、見栄えを重視して点検口は開けず、
HDMI引き出しのために天井に開けたわずかな開口部から
なんとか作業をやってみようと思います。

畳の上に養生を施して作業しました。

ダクトレールの電源引込み部の開口

フィードインキャップ(電源引込み用の材料)をあてて、
電源引き込みのための穴をあける場所を決めます。

ちょうど電線が通せそうな穴だったので、
迷わず金属枠に囲まれた鉛筆バツのところにマークしたのですが、
あとで、各種説明書をみると画像の赤バツ部分に開けるのが正しいです。

フィードインキャップを当てて開口位置決め

マスキングテープを貼ったまま穴開けするとテープを巻き込みます。
テープの上からポンチで凹みをつくって、剥がしてから穴あけ。
VVF1.6-2cが通るように、5mm→10mmの穴をあけました。

10mm穴を開口

HDMIケーブル引込み部の開口

正中線上、下地のない部分で石膏ボードを開口します。

まずは、ミニプレートのサイズで開口。
作業性が悪ければ1連プレート分のサイズに拡大するつもりで。

ミニプレート用と1連プレート用の開口罫書き

カッターを使って開口作業しました。
裏側の紙をしっかり切るのがきれいに開口するコツ。
(引き回し鋸の方が裏紙をしっかり切れる分きれいなのかもしれない)

今回もカッターを使用
開口部ができました。

開口部から中を覗いてみました。
壁際に平行にコの字型のランナーが走っていて、野縁は40mm幅でした。

壁に沿ってランナーが走っています


天井・壁裏通線の戦略

まずは、10mm穴からVVF1.6-2cを差し込んだところを
HDMI引込み部から細径カメラを入れて天井裏から観察してみました。

VVFケーブルを挿入

ケーブルに曲げグセをつけながら挿入(下画像の右手前)、
ケーブルを落としたい壁裏(下画像左奥、VVFが2本降りているところ)に
先端を到達させることには成功したのですが、
やはり壁裏を下向きには進んでいきません。

VVFケーブルがこれより下に進んでいかない

ちゃんと通線作業をしなきゃダメみたいですね。

準備したもの

ケーブルフィッシャー
釣り竿型でケーブルやチェーンを押したり引いたりする棒
本格的なものだと2m近くあるのですが、保管にこまるので。
カーアンテナスタイルでコンパクトになるこちらのフィッシャーを。

ボールチェーン
ひもや金属メジャーと違って、天井から壁裏に落とせば自重で下までおりていく。
両端がループになっていて、ここにケーブルをつなげる。
3mと5mがありましたが、価格がそんなに変わらないので5mを。

ケーブルフィッシャーとボールチェーン

今回は単品で購入しましたが、
価格がお手頃なノーブランドのセット品もAmazonで売ってました。

通線プラン

VVFケーブルをいったんHDMI引込み部で中継して
チェーンを結えて壁裏に誘導します。

この手順でやってみます。
①ボールチェーンをHDMI引込み部から入れて壁裏に落とし既設コンセントから引き出す
②VVFケーブルを電源引込み部から入れて、HDMI引込み部にいったん出す
③VVFケーブル先端をチェーンにつなげて、HDMI引込み部から再度入れ既設コンセントから引っ張りだす
④同様にHDMIケーブルもチェーンに繋げ、HDMI引込み部から入れて既設コンセントから引っ張り出す

通線作業の記録

ブレーカーを落として、
検電器で100Vが流れていないことを確認のうえ作業に移ります。
検電器の異常もありうるので、
ブレーカーが落ちてない部屋では正常に動作することも確認しました。

① チェーンをHDMI引込み部から既設コンセントへ

ボールチェーンをHDMI引き込みのために開口したところから入れて、
1mほど先にある壁の裏に落とし込みたいと思います。

せっかく購入したケーブルフィッシャーを使おうかと思ったのですが、
開口部のすぐそばに野縁があるせいで、
フィッシャーを水平方向に挿入できませんでした。

クルマ用に持っていた配線通しを利用。
(家庭内の通線でもちょいちょい出番があります)
先端をフック状にして、ボールチェーンのリングをひっかけて誘導します。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07MVC9MX5/

配線通しの先端にひっかける
配線通しでボールチェーンを壁裏まで誘導

ある程度の長さ(=重さ)のチェーンが落ちないと、
壁裏にチェーンは進んでいきません。
上の画像のように、リング部分だけ落としても全然ダメでした。
あとから配線通しを使ってチェーンを数十センチほど押し込んだらチェーンがスルスルと落ちていきました。
(結構大変な作業)
チェーンを何周かフックに巻いておいて、一気に落とせばスムーズでした。

自重で落ちて来るチェーンをキャッチするために
既設コンセントのボックスは外しておきます。
また、落下経路上にある壁スイッチのボックスも
経路の邪魔になるので外しました。

スイッチボックスを外す。ネジの落下に注意

途中引っかかったところもありましたが、
細径カメラで観察しながら、上から揺すってみたりして、
なんとか、既設コンセントまで通せました。

ボールチェーンの開通に成功

② チェーンにVVFケーブルをつなげる

挿入したVVFケーブルをいったんHDMI引込み部から取り出します。

ある程度方向を定めて電源引込み部からVVFケーブルを挿入し、
HDMI引込み部から指を入れてキャッチしました。
これはそんなに難しくない。

VVFケーブルをHDMIの開口部まで通線

つづいて、既設コンセントまで通してあるボールチェーンに
VVFケーブルをつなぎました。
(のちほどHDMIケーブルを通すためのビニールひもも一緒に)

ボールチェーンにVVFケーブルをつなぐ

進行方向から末広がりになるように、
途中になるべく段差を作らないようにつなぐのがポイント。

VVFケーブル(被覆あり)→電線2本→電線1本→芯線
とだんだん細くして、
芯線をチェーンのリングにねじり止めする方法を後日見て
こっちのほうがスムーズだと思いました。

③ 既設コンセントからVVFケーブルを引き出す

ボールチェーンを使って、
天井裏から壁裏を通してVVFケーブルを引っ張ってきます。

単にチェーンを引っ張るだけでなく、
一旦ゆるめてみたり、逆側から押し込んでみたりゆすってみたりして、
少しづつ進めていく感じです。

既設のスイッチやコンセントから細径カメラで覗きながら。
距離にすればたった数メートルなのになかなか大変な作業でした。

既設コンセントにVVFケーブルを引き出すことに成功

④ チェーンを使ってHDMIケーブルを通線

VVFケーブルと同時に通した紐を使って、
同じ経路にボールチェーンを再度通しました。
これを使って同じ経路でHDMIケーブルを誘導します。

ビニール系被覆のHDMIケーブル(5m)を購入。
(壁裏に入るので繊維系の外装被覆は避けたほうがいい気がして。)

5mのHDMIケーブル

VVFケーブルより幅が広いので、
どうしても途中で引っかかりやすいです。
なおさら、段差を作らないようにボールチェーンと接続。
こっちの方が倍くらい時間かかりました。

HDMIケーブルも通線に成功

天井HDMI引込み部の処理

最低限の開口寸法(50×50)で通線作業を完了できたので、
ミニプレートを使ってHDMI引込み部を仕上げます。

神保電器のC型はさみ金具、ミニプレート、テレホンガイド

テレホンガイドは、コネクタを後付け可能な電話線を通す用途です。
HDMIのようにコネクタを脱着できないケーブルは
このままでは穴をコネクタが通過できないので使えません。

テレホンガイド

テレホンガイドの下部をニッパで切断します。
破片の跳ね跳びに注意。保護メガネ必須です。
ケーブルを傷つけないように切り口をヤスリで仕上げ。
結構硬い素材なので、この状態でも強度は十分と思います。

ニッパで切断
これでHDMIケーブルを通せます

プロジェクターのHDMIコネクタ位置にあわせて、
横向きにケーブルが出るように設置しました。

開口が正方形なので90度回転可能
できあがり。ミニプレートなのですっきり

既設コンセントの離隔対応

既設の2口コンセントを1口に減らし、
空いたところからテレホンガイドでHDMI引き出しにします。

強電(100V電源)と弱電(信号線)は、
内線規程で互いに接触しないように離隔をとらなければならないと決まっています。

ボックス内での電源線とHDMIケーブルの接触をさけるために、
ボックスを上下に仕切る板を購入しました。

離隔のためにボックス交換が必要!

簡単に仕切れると考えていたのですが、
既設コンセントで使われていたボックス(軽間ボックス SB-KMA1)は
仕切板の取り付けに対応していませんでした。

仕切り板を入れるためには、
スタンダードなボックス(台付スライドボックス SBO)に取り替える必要があり。

超定番品なので近所のホームセンターで簡単に入手できました。

左:軽間ボックス(既設)  右:台付スライドボックス+仕切板

もとから付いていたボックスを外しました。
LGS(軽量鉄骨)にはネジ穴が残っているので、
同じ穴を使って新しいボックスを付けようとしました。

しかし、新旧のボックスのネジ穴の位置が5mmほど違うために、
ネジ穴の再利用ができません。

ボックスを下地に後付けするテクニック

新しく鉄骨に穴を開けないとボックスを固定できません。

前回同じような作業をしましたが、非常に苦労しました。

石膏ボードの裏側にボックスを密着させた状態で、
ドリルで下穴を開けるか、鉄骨用のビスを鉄骨にねじ込みたいのですが、
ドリルもドライバーも斜めにしか入れられないので、
先端が鉄骨を滑ってしまい、ボックスがズレてしまいます。
作業が暗礁に乗り上げました。

片手でボックスを固定しますがズレてしまう。。。

!!!
ここでパっとひらめきました。

ボックスを壁裏に密着して固定するために、
手持ちのC型はさみ金具を使ってみました。

C型はさみ金具で壁裏ボックスを固定

壁の手前にはさみ金具をあてて、壁裏にあるボックスとネジで固定。
金具の上下に滑り止めの突起がありますが逆向きなので、
壁紙への傷も最小限で済みます。
これで壁裏への密着は万全。
ボックスが左右に動かないように左手で軽く支えるだけでOK。

いろいろ試しましたが、ドリルや電ドラはやはり滑ってしまうので、
普通のドライバーで軸方向に強く押し付けながら締めるのがベストでした。

軸方向に押し付けながら軽天ビスを締める

既設コンセントの処理

ボックスの上から、
コンセントに来る電源と、ダクトレールに送る電源の
2本のVVFケーブルを引き込み、
ボックスの下からHDMIケーブルを引き込みました。
離隔をとるために仕切り板を入れました。

上に強電、下に弱電
仕切り板で強電・弱電を離隔

2口コンセントを、
1口コンセントとテレホンガイドに変更。

2本のVVFケーブルをコンセントに接続し、
HDMIケーブルはニッパで加工したテレホンガイドに通しました。

コンセントを1口に減らしてHDMI用のテレホンガイドを取り付け

コンセントプレートを2コ用に変更して完成。

完成です

リカバリー:電源引込み部の位置変更

ダクトレール取り付けの際、
電源引込み部の位置を間違えてしまいました。
(このままでも大丈夫そうではありますが・・・)
後日、引き込み部を正しい位置に変更しました。

金属窓の部分に穴を開けてしまいました
そのまま接続しています

パナソニックのホームページで仕様図を見ると、
フィードインキャップのカバー端から85mmが電源穴の位置とのこと。
メーカー推奨の正しい位置に10mmの穴を開けなおします。

正しい電源穴の位置を罫書き
10mmドリルで穴あけ

VVFケーブルを天井裏に押し込んでしまうと、
たった10mmしかない穴から引っ張り出すのは不可能です。

ビニル紐を使って旧穴から新穴に通線してみます。

ビニル紐の先端にマスキングテープを使って腰をつけ、
旧穴の隙間から十分に差し込んで、配線通しを使ってキャッチ。
このビニル紐だけ先に新穴に送ります。

ビニル紐を迎えにいけるように配線通しを曲げ
ケーブルの隙間から配線通しのリングに向けて挿入
何度かのトライの末、二つ折になったマステ&紐をキャッチ

10mmというギリギリの穴を通さなきゃいけないので、
被覆あり→被覆なし2本→1本→芯線のみと先細りになるように
VVFケーブルを加工。
芯線をビニル紐の端と絶対取れないように接続。
(天井裏で接続が外れてしまうと取り返しがつかない!)

芯線と紐をガッチリ接続
段差でひっかかるのを防ぐためマステ巻き

VVFケーブルを旧穴から天井裏にしっかり押し込みました。
これでうまくいかなければ、いろんな努力が水の泡・・・

ケーブルを押し込みました

旧穴から針金を入れてケーブルの先端を動かしたりしながら、
ビニル紐を軽く引っ張って・・・
正しい位置にケーブルを出すことに成功しました。

正しい位置からケーブルを出すことに成功


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?