見出し画像

プロジェクター天吊り④ コンセント後付用材料を徹底比較

プロジェクター天吊りのために、
HDMIケーブルを通す穴を天井の石膏ボードに開口させます。

天井や壁裏から通線するときは、
コンセントや壁スイッチの材料を転用することが多いです。

新築では、壁に石膏ボードを貼る前の段階で、
下地にスイッチボックスをあらかじめ固定しておき、
このボックスにコンセントを取り付ける、という方法がふつう。

一方、後付けする時には下地へボックスを固定するのが困難なので、
後付け専用の材料を使って、
壁の裏に入れた後付材料と取付枠で
石膏ボードを挟み込むように固定します。

(↑非後付け用のボックスを、最小限の開口でがんばって後付けした記録)

各社からいろいろな後付用材料が発売されているので、
バラで入手可能だった主なものを実際に購入して試してみました。

壁裏でのボードへの接触面積
金具の面積が大きい方が圧力が分散されるが、そばに障害物があると設置の障害になる

狭い開口部から挿入するための金具のサイズ

取付枠をねじ止めするときに金具が奥に逃げないようにする仕組み

固定のときに金具が動かないように石膏ボードに引っ掛ける仕組み

といった点で各社の工夫がみられ、比較する際のポイントかと思います。
(素人DIYレベルでの評価。多数の経験があるプロの方には及びません)

【ノミネート】 すべて1連用
① パナソニック 石膏ボード用はさみ金具(7-18mm壁用) WN3993
② パナソニック 石膏ボード用C型はさみ金具(12mm以下) WN3992
③ パナソニック 石膏ボード用取付押え金具(9-30mm壁用) WN3996
④ Jappy  スゴ枠 JRW-1
⑤ 未来工業 パネルボックス(あと付はさみボックス) SBP
⑥ 未来工業 はさみプラ枠(プラスチック製あと付はさみ取付枠) PWX-1
⑦ 未来工業 枠ちん (あと付はさみプレート) HP-1

シミュレーションのために、
ダンボール3枚を接着した疑似石膏ボードを準備しました。
(本物の石膏ボードでも1枚500円程度と安価ですが、1820x910もあって使用後の処分に困る)
ここに、パナソニック推奨の95x51で開口します。

疑似ボードを開口

パナソニック

パナソニックの商品を紹介しますが、
同様の機構の金具は東芝、神保など各社から発売されています。

① はさみ金具

後付け用材料の代名詞となっている「はさみ金具」。
壁材の厚さによっていくつかサイズがあります。

  • WN3990 パネルはさみ金具(3~10mm壁用)

  • WN3993 石膏ボード用はさみ金具(7~18mm壁用)

  • WNH3994 石膏ボード用はさみ金具(38~42mm壁用)

  • WNH3996 石膏ボード用はさみ金具(58~62mm壁用)

  • WNH3992 石膏ボード用はさみ金具(ホテルミニプレート・巾木コンセント用)(9~15mm壁用)
    ※取り付け用のツメの幅が違うので通常の取付枠では使用不可

はさみ金具 WN3993

取付枠の上下にネジで金具をとりつけます。

取付枠の切り欠き部分に金具を引掛ける
取付枠をとおしてネジで固定

石膏ボードと接触する部分に滑り止めの突起がついています。

はさみ金具の滑り止め

樹脂製の絶縁取付枠にも取り付け可能でした。
(はさみ金具用の切り欠きがなくて使えない取付枠もあるようです。)

コスモシリーズの絶縁取付枠にはさみ金具をつけたところ

ネジがゆるんだ状態で開口部から挿入し、
ネジを締め上げると金具が起き上がってきて、石膏ボードを挟みます。

ネジを締めていない状態
開口部に挿入してネジを締める

表側から見たところ。
ボックスへの取り付けと見た目は変わりません。

はさみ金具施工:表側

裏側からみたところ。
開口部の上下のみで固定されています。
金具の分、開口部からおよそ10mmの余地が必要です。
(ボードの厚さにより異なります)

はさみ金具施工:裏側
開口部から10mmほどの余地が必要

おそらく各種金具の中では最安です(@¥50くらい)。

取り付け工事そのものもさほど難しくないですが、
壁裏への接触面積が小さいので、
強いトルクでネジを締めすぎたり、コンセントに力がかかると
石膏ボードを損傷しそうです。

C型はさみ金具(②)にも共通ですが、
位置調整や取り外しのためにねじをゆるめすぎて、
金具が壁裏に落下するおそれがあります。
(Googleではさみ金具と検索すると「落とした」がサジェストされる)

また、開口部内での取付位置の自由度が高いのですが、
動きやすいゆえ、ネジ締め中に動いて垂直がズレたり、
取付枠の上下いずれかが開口部に落ち込んでしまうことがあります。

② C型はさみ金具

(無印)はさみ金具が開口部の上下に固定するのと違い、
開口部の横方向に金具が飛び出して固定する金具です。

C型はさみ金具 WN3992

金具の表側(壁側)に突起が起こしてあって、
ネジを締めると壁裏に食い込んで固定されます。

C型金具の突起

金具の上部にだけ軽くネジを締めて取付枠を固定し、
金具の下から開口部に挿入します。

上だけネジを締める
金具の下から開口部に挿入

ネジを締めていきますが、挟みきるまえに、
金具の下の穴を合わせておきます。

ネジ締め(まだC型金具は斜め)
金具の下のネジ穴と取付枠を合わせてネジ締め

表側からみたところ。
(無印)はさみ金具と同様。

C型はさみ金具:表側

裏側から見たところ
開口部(から見て)左側には金具がはみ出しません。
金具の突起がボード裏側に食い込んでいます。

C型はさみ金具:裏側
突起部分が食い込んでいます

(無印)はさみ金具よりは接触面積が多く、
ボードへの負担は少なく済みそうです。
横方向に伸びる金具なので、上下にスペースがない場合にはよさそうです。
(左右いずれかに下地があるときは、下地のない方に固定する)

壁裏に挿入したあとの下部のネジ止めが難しいのはデメリットです。
下のネジ穴を正中に持ってくるのが難しかったり、金具が奥に逃げたり。
施工場所が狭い現場ではちょっと大変かも。

(参考)コクサイ ウルトラC

今回単品で入手ができなかったので参考ですが、
C型はさみ金具の下のネジ止めが難しい欠点を補う金具。

いろいろとユニークな電設材料を出しているメーカー。

上下ともネジ止めしたままC字の縦長の部分を折り縮められるので、
通常のボード開口で挿入できます。
金具が壁裏に入った状態で、
ドライバーなどを入れて叩き、縦長部分を広げる仕組み。

③ 押え金具

開口部周囲全周(2連だけは”ほぼ”全周)をつかって固定する金具です。
①・②のはさみ金具は取付枠に固定しましたが、
押さえ金具は、単体で開口部に固定でき取付枠は後付けです。

押え金具 WN3996

(枠の縦棒を線で切り取ってニコイチにすることで2連でも使えます)

枠についているツメとアームで、
開口部への固定ができます。

開口部にひっかけるツメが上下各2つ

枠の短辺から開口部に挿入します。
(配線があれば枠に通しておくと落下防止になります)

短辺から開口部に挿入

開口部にツメがひっかかるように、
ボードの裏側に密着させて、アームを手前に折り曲げます。

ツメをひっかけ、アームを折り曲げる
開口部にツメがひっかかります

抑え金具に、取付枠をネジ止めします。
開口部に固定されているので枠が逃げることもなくネジ止めも容易。

取付枠をネジ締め

裏面です。
全周に金具が当たっています。
開口部周囲に余裕がない辺があると設置は困難です。

押え金具:裏面
開口部から縦横1.5cm弱のスペースが必要

正面に飛び出たアーム部は、
取付枠に沿って曲げるとカバーに隠れます。

押え金具:正面
アームを曲げて収納したところ

開口部への固定性はとても良く作業しやすいです。
多数の工事をするときには、アームの処理がやや面倒かもしれません。

Jappy(因幡電機産業)

④ スゴ枠

可とう性がある樹脂製の材料です。
すしざんまいスタイルのアームが、
落下防止&逃げ防止にはたらきます。

スゴ枠  JRW-1

通常、スゴ枠上部から開口部に入れて、
アームが開口部の上端にひっかかるまで差し込んだら
下部を開口部に入れます。
アームがつねに開口部に引っかかっているので
挿入作業中に枠が落下することはありません。

枠の上部から開口部に挿入

(今回、疑似開口部の上に余地がなく、下方から挿入)

枠の下方から挿入
(アームにギサが付いているのに注目)
上部も開口部にいれて位置を調整

押え金具と同様、ツメが開口部下端に引っかかっています。
また、アームの開口部に接触する部分にはギザが付いていて、
枠を裏からボードに密着させ、逃げないように固定が可能です。

ツメとアームのギザで仮固定

取付枠を固定したらアームをニッパで切断して完成。

スゴ枠:正面
スゴ枠:裏面

奥行がほとんど必要ないので、
壁裏スペースが狭い場所にはベスト。
開口部上下のみの固定で、左右への圧力分散はない。
取り外した際に再利用ができないので、新しい枠に変える必要あり。

未来工業

⑤ パネルボックス

他の材料は石膏ボードに取付枠だけを固定するものです。
ふつう、ボックスを取り付けられるのは通常は新築時のみ。
ボックスをボードに挟んで後付けできるという画期的な商品が、
このパネルボックスです。

はさみ工事と配線処理を別々に行える楽さがあります。

パネルボックスは以前、自宅のコンセント増設で使用しました。

⑥ はさみプラ枠

パネルボックスと同じ機構を取付枠に備えた商品。

はさみプラ枠 PWX-1
この部分(スライドツメ)が・・・
ドライバーを回すと下(上)向きに飛び出します

スライドツメをひっこめた状態で開口部に挿入します。

開口部から挿入

ネジを締めると、スライドツメが飛び出して
ギューンと手前にスライドしてきて石膏ボードをはさみます。
インパクトでやれば本当に一瞬です。

はさみプラ枠:正面

ボードへの接触面積が狭いのは若干の懸念あり。

はさみプラ枠:裏面

取り付けの楽さはベスト。
接触面積の小ささとコスト(金属製各種の3倍くらい)がネックか。

⑦ 枠ちん

純樹脂素材の後付け枠。
柔らかく若干曲がるので、壁裏が狭くても使えます。
この1種類を在庫しておけば、
表裏を小判穴用と角穴用として、リバーシブルに使えます。

枠ちん  HP-1

この枠が一番本領を発揮するのは、小判穴ホルソーで開口したとき。
上下のバネツメを小判穴にひっかけると、
わりとしっかり固定できるようです。(ホルソーないので未確認)

小判穴用の固定ツメ

引き回し鋸で開けたような角穴では、
さきほどと裏返しに使って、
飛び出た突起が石膏ボードに食い込んで滑らなくなります。

角穴用の突起

角穴で使う場合の落下防止・逃げ止めには輪ゴムを使用。
枠と取り付け枠を輪ゴムで止めます。
枠にフックが付いているので作業中に輪ゴムが外れません。

輪ゴムをひっかけるフック
取付枠と輪ゴムで留めた状態

輪ゴムがついたまま枠ちんを開口部から挿入し、
石膏ボードをはさんだ状態で位置を調整します。

枠ちんの短辺から開口部に挿入
石膏ボードを挟んだ状態で仮固定

輪ゴムのおかげで、落下せず、
枠ちんの突起部分で石膏ボードで食い込んでいる状態で動きにくいです。
取付枠をネジ止めして、輪ゴムを外せば完成。

枠ちん:表面
枠ちん:裏面

樹脂製で可とう性があるのは、狭い壁裏空間では有利です。
別途輪ゴムを使う分手間はかかるが、シンプルな構造で安価。
開口部全周にあたるので圧力分散には有利ですし、
配線があれば壁裏に落下することは避けられます。

ミニプレートの後付け固定

今回の工事では、開口部からHDMIケーブルを1本引き出すだけなので、
1連プレートの代わりにミニプレートも候補としました。

フルカラーシリーズでは、
通常より一回り小さいホテル用プレートがラインナップされていて、
ミニプレート1コ・ミニプレート2コ・プレート3コの
3つのサイズ展開があります。
コスモシリーズの、ミニプレート
ホテル用プレートのミニプレート1コと同サイズです。
(ホテル用プレートというサイズラインナップはなくなりました)

通常の1連プレートが70×120のところ、
ミニプレートは70×70と一回り小さいサイズ。

ミニプレート(コスモ・ラウンド) WTF7071W

1口分の樹脂製取付枠とセットになってます。

取付枠を外したところ

ミニプレートも取り付けシミュレーションをしておきます。
開口は50×50。
正方形なので90度回転して取り付けもできそう。

50×50で疑似石膏ボードを開口

① パナソニック はさみ金具

ミニプレートの後付けに関して、
パナソニックでは、はさみ金具のみ準備されています。
通常の1連プレートと同じものが使えます。

はさみ金具 WN3993
ねじをゆるめた状態で開口部に差し込み
ミニプレート+はさみ金具:正面
ミニプレート+はさみ金具:裏面
テレホンガイドを付けてみたところ

② 神保電機 ミニプレート用はさみ金具

他社も探してみたところ、神保電機からC型の金具が出ていました。

ミニプレート専用はさみ金具 15189

1連用と同様に、
上だけネジ止めして金具の下部から開口部に差し込みます。

上部だけネジ止めして開口部に挿入

金具が斜めになったときは、
取付枠側を動かして金具の下の穴に合わせ、
ネジを入れてから位置を調整します。

金具が斜めになったとき

石膏ボードへの接触面積ははさみ金具より大きいです。

③ 未来工業 パネルボックス

ミニプレート用のパネルボックスもあります。

パネルボックス SBP-1H

ネジを締めることでスライドツメが飛び出して手前に移動、
石膏ボードの裏から固定します。

スライドツメ

ボックスの外周分を挿入するため、
50×50より数ミリ大きく開口する必要があります。

パネルボックス壁にあてて罫書きます。
開口サイズはシビアです。
石膏ボードの手前に引っかかるツメの長さが3mmほどしかありませんので、
ボックス周囲より大き目に開口するのは厳禁。
サイズちょうどか、少し小さめに開口して後で削る方が安全。

パネルボックスの外周を罫書きます
ボックスが開口部にすっぽり入ります
手前側のツメは3mmほどしかありません
ツメの幅はカバープレートの中に隠れるギリギリのサイズ
パネルボックス:裏面

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?