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ヤク漬けくまちゃん大活躍!「コカイン・ベア」は感動の家族映画だった!?

衝撃の快作の登場だ。
ガンギマリクマさんがただただコカインをキメたいだけの映画。
それが「コカイン・ベア」だ!!

グロ度★★★☆☆

全部人間が悪い。

結論から言うとこれに尽きる。
モンスターパニックものとして「人間(バカ)が余計なことをしたばっかりに凶悪な怪物を目覚めさせてしまった」というのはわりかし定石だ。
『ゴジラ』や『キングコング』の二大巨頭に始まり、『ジュラシックパーク』、『ザ・フライ2』、『ディープ・ブルー』、最近だと『MEG ザ・モンスターズ2』などもあった。
いずれも人間は「動物として可能な関わり」を超えて、自分のエゴや利益の実現のために自然そのものを「コントロール」あるいは「破壊」する。
その結果として自然の手痛い反撃を喰らい、それを執行する怪物たちは大体悪い人を優先的に殺戮してくれると言うわけだ。
『コカイン・ベア』はそのかなり先鞭をつけられたテーマ性やジャンルへ「フィル・ロード&クリス・ミラー節を」盛り込み、80年代風味で味付けした作品だった。
事実、コカインが森に投下されたことでクマは正常な判断力を失ってしまう。そうとは知らずにクマと目を合わせ、あまつさえ写真まで撮って刺激した人間、銃を撃って傷つけようとした人間はことごとくクマに襲われることとなる。

人間とクマちゃん、実はシンクロしていた?

もしすでにコカインベアをご覧になった方がいたら思い出して欲しい。
本作で登場したガンギマリくまちゃんはメスだったはずだ。
そしてそのメスには二匹の「守るべき子供」がいた……。
そう、主人公となる看護師のサリと同じなのだ。
サリも「母」として「守るべき二人の子供」がいる。
さらにはその子供たちが好奇心からコカインを試してみてはしゃいでいたのも、人間、クマともに同じだったのだ。

実は深い?コカインベア

これが意味するところはたった一つだろう。
「母は子供を守るためならなんだってする」
確かに全編にわたってメスのクマはコカインを追い求めるように各地を走り回っていた。
しかし、人間を虐殺する理由についてははっきりと明言されていない。
そこが既存のモンスター映画と異なっていた。
コカインはもちろん欲しい。
だが果たして「コカインを吸ったから人間を襲った」のだろうか?
冒頭に登場する、「クマは滅多に人を襲わない」との警句の引用元はどこだっただろうか?
単に人間が「自分の子供たちに近い領域に近づいた」から襲った、コカインはそれをより増長させたにすぎないのかもしれない。
そしてその原因は全て人間の欲に塗れた行動が招いたもの。
本作のクライマックスはその諸悪の根源のハラワタを掻っ捌き、突き落とすことで綺麗に完結する。


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