太った

医療系の研究施設で働いている。独り現場だが、独り暮らしもしている。それを機に自炊もはじめた。料理も上手くなったと思う。失敗の数も減った。食事は自炊オンリーではないので苦にもなってはいない。だからといって得意料理はない。まんべんなくそこそこ作れるようになったわけだ。

僕は自分の料理が好きだ。手が込んでいるわけではないが美味しいのである。焼く、煮る、揚げる。調理方法はそんなものだ。味付けも塩、醤油、味噌くらい。出汁を入れ忘れなければ大概美味しい。料理初級者の僕としては合格点だろう。

僕の自炊を支えているのは、近所のスーパーだけではない。小さな町だがファストフード店は揃っている。もちろんコンビニもだ。自炊しなくても生きていける環境が整っている。そのことが気持ちの余裕となり、僕を自炊へと向かわせるのだ。

食環境は整っている。だが太らなかった。かなり多く食べているにもかかわらずだ。おそらく環境の変化で緊張していたのだろう。自覚は無いがそんな気がする。故に食べ過ぎても太らなかったと思っている。

ただ月日を重ねるうちに緊張も無くなっていったのだろう。その日は突然おとずれた。急激に太りだしたのである。僕の身長は166cm。たまにさばを読んで167cmになったりするが基本的には中途半端な小柄だと思う。それは高校生のときから変わらない。あの頃の僕は56kgだった。大人になる頃には62kgまで増えていたが、それが見た目にも運動能力的にもベストだと思っている。それが71kgまで増えてしまったのだ。

さすがに減量を考える。生活に支障が出ているからだ。とにかく動きずらい。足の裏も痛い。すぐに疲れる。服もぱっつんぱっつん。それら全てが減量で改善されるならば、やったほうがいい。とりあえずホームセンターで体重計を買ってきた。

計ってみるとやはり71kg。目標は62kgだ。けれども方法が分からない。分からないときは情報収集が鉄則。ためしに1時間ごとに体重を計ってみた。当たり前だが何かを食べると体重は増える。そしてトイレで出すものを出せば体重も減る。

運動もしてみた。家の近くの公園を走ってみた。1時間ほど。走る前と、走った後で体重を計ってみたが変化はなかった。それよりもお風呂に浸かると体重は減る。そして夜の寝てる間にも減っていた。朝が一番軽い。それらの情報から僕の減量方法を決めたのである。

なにもしないダイエット。食べるごはんは1人前の80%ほど。1日3食きちんと。白米と野菜、肉類をバランスよく。あとは何もしない。運動の類は禁止した。ドライブや草野球の練習も極限まで減らした。やると食べたくなってしまうからだ。とにかく食べたくなることを排除したのだ。

効果は抜群だった。劇的な減り方はしないものの、淡々と減っていく。途中、停滞期もあったが予想できていたので慌てることなく乗り越えた。62kgまで3ヶ月掛かった。その後も半年ほど同じ生活を続けたが、それ以上は減らなかったので減量は終了。リバウンドすることも無く65kgくらいで安定した。食事量も元に戻し、たまに暴飲暴食もするが、再び太ることは無かった。

おかげでまた楽しい自炊生活をはじめられる。いや、減量中の自炊も楽しかった。お昼は毎日お弁当を作っていたが、それも楽しかったのである。むしろ減量前よりも料理が楽しくなった。

そろそろ次のステップに上がりたいと思っていたところだ。しかし何処から手を付けていいか分からないのも事実。でも「健康を考えてこそ料理の中級者」とも言えそう。まだまだ料理は楽しめそうだ。


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