基礎から学ぶメールマーケティング戦略
SNSがコミュニケーションの中心となり、メールの使用頻度が減ってきている現代においても、今なおメールマーケティングには高い価値があります。
このnoteではマーケティング初心者でも0からメールマーケティングで収益をアップするためのポイントを整理しています。
なお前提として、eコマース用のプラットフォームを提供しているshopifyでジュエリーのEC店舗を立ち上げている僕の目線で学んできたことを書いています。
メールマーケティングとは?
メールマーケティングは「パーミッションマーケティング」というマーケティング活動に一つです。パーミッションマーケティングとは、お客様から許諾(パーミッション)を得て行うマーケティング活動のことです。
「メール配信の許諾」を得ている顧客だけにメール配信します。
特徴として
・パーソナライズされている
・期待されている
・付加価値を提供しその対価を回収する
などがあり、許諾を得たお客様に付加価値を提供して信頼関係を築くためのものです。
メールの種類
eコマースのメールマーケティングのメールは3種類に分けることができます。
・取引メール
・ブロードキャストメール
・トリガーメール
取引メールは注文確認及び発送完了のメールです。新規購入や発送完了など次のステップに進むタイミングで送ります。保証に関する情報、サブスクリプションに関する最新情報などを記載します。
ブロードキャストメールは購読者をお客様に変えるため、お客様をロイヤルカスタマーに変えるためのメールです。ニュースレターや販促、アンケートが主な内容になります。
トリガーメールは3種類のメールの中で最も効果が大きいメールです。
例えば「かご落ち」メール。ユーザーがECサイト上で商品をかごに入れたものの購入せずに放置したことがトリガーとなって送信されるようなメールです。
他には商品を受け取った2週間後に商品レビューをリクエストするメールもトリガーメールです。
このトリガーメールが最も高い収益を生みます。
メールマーケティングでは取引メール、ブロードキャストメール、トリガーメール、これらの3種類のメールを届けることでお客様へ価値を付与します。
メール購読を希望する人はストアからの連絡を待っています。特典やディスカウント、ブランドに関する情報を待っています。
メールサービスプロバイダー(ESP)を選ぶ
メール配信をするためにESPを選びましょう。
メールサービスプロバイダー(ESP Email Service Providerの略)とは購読者宛にメール送信する機能を提供するサービス事業者のことです。
例えばsendgridなど
shopifyの場合だとアプリストアで「email marketing」で検索できます。
shopifyメール
ESPの1つとしてshopifyもメール機能を提供しています。
メール作成、実行、追跡ができます。ストアから情報を読み込んでメールを作ることができるため、キャンペーンの作成が簡単です。
僕は「Klaviyo」を使っています。
考慮すべきESP機能
ESPを選ぶポイントは6つあります。
・費用
従量課金なことが多いです。
・カスタマイズ可能なテンプレート
テンプレートを自社に合わせてカスタマイズできるか?
・オーディエンスのセグメント
顧客プロフィールに基づいてターゲティングメール送信できるか?
・自動化
どの程度までのメールが自動配信できるか?
・オプトインフォーム
登録フォームの埋め込みができる機能がついているか?
・分析
メールマーケティングの詳細分析ができる機能がついているか?
自分に合ったESPを探しましょう!
法に則ったメール送信
法的規制を理解しておくことも重要です。
日本では「特定電子メール法」のガイドラインに則った運用を心がけましょう。
ちなみに他の国でも法規制はあります。
アメリカ…CAN-SPAN
ヨーロッパ…GDPR
カナダ…CASL
オーストラリア…2003年スパム法 など
海外向けに配信をする場合は調べておきましょう。
注意すべき5つのポイント
・メッセージが広告であることを伝える
メールの末尾に配信元の名前と広告であることを追記するだけでok。
・会社の所在地を伝える
署名欄やフッターに追記すればok。
・オプトアウト(解約)の方法を伝える
メールサービスプロバイダーの機能についていることがほとんど。
・オプトアウトの要求をすぐ処理する
・代行する者をモニターする
配信する担当者の権限を管理すること。
運用を外部委託しても責任は依頼した自分にあり。
メールマーケティング戦略
次に戦略です。戦略的にメールを有効的に活用していきます。
成功しているブランドのEコマースの平均コンバージョン率は1%〜2%です。売上が好調な日でも、100人が販売サイトに訪問したら、そのうち1人-2人が購入するという計算です。
なぜこれほどコンバージョン率が低いのでしょうか?
その原因は「信頼の欠如」です。
Eコマースの場合、お客様とお店の信頼ができる前にお客様がサイトに訪問することがほとんどです。
信頼を得るために、まずはお客様との信頼関係を築く必要があります。
8:2の法則
ユーザーは買いたくてメールに登録しているのではなく、自分や自分のブランドを知りたくて登録しているという意識を持つことです。
価値がある情報を届けることが8割。
販売のお知らせが2割です。
8:2のバランスを心がけましょう。
効果的な挨拶メール
まずは「挨拶メール」を送りましょう。
「挨拶メール」とは登録してくれた潜在顧客にまずは配信するメールです。
ブランドを知ってもらい、信頼を築くための最初の機会です。挨拶しない人は信頼出来ないのと同じです。挨拶は信頼の基礎です。
挨拶メールで伝えること
挨拶メールでは具体的には何をどう伝えるのが良いでしょうか?
挨拶メールには盛り込むべき「5つのポイント」があります。
・登録に対するお礼
数あるメール配信の中から自分のメール配信を登録してくれた感謝をしっかり伝えましょう。挨拶メールでお礼もなくいきなり押売は引かれます。
・期待できることを明確に示す
どれくらいのペースで、どんなコンテンツが届くのか?
・パーソナルなメッセージにする
・CTA(行動喚起)を明確にする
CTAは「Call To Action」の略で「行動喚起」を意味します。
登録者に何をして欲しいかを明確に伝えましょう。
「クーポンコードを使ってサイト訪問して欲しい」「メールに返信して欲しい」など登録者が次のアクションを取りたくなるように伝えましょう。
※ただしクーポンの乱発は要注意。クーポンをよく発行するお店だと登録者が認識すると、登録者は大きな値引クーポンを待って動かなくなります。
また挨拶メールは必ず自動送信の設定にしましょう。
登録してくれた瞬間にメールが送信されるようにしましょう。
挨拶メールのコンテンツの構築
挨拶メールは取引メールと違い、様々な情報を伝えるためのメールなので長くても短くても構いません。
購読者に次にとって欲しいアクションを1つ決めて、そこから逆残して構成します。
例えば
ご登録のお礼→動画でストーリー紹介、自己紹介する→商品を愛用してくれているお客様の声→オファー(サインナップ特権10%引き)
オファーはシンプルに!
起こして欲しいアクションは一つに絞るのがベストです。
オファーはわかりやすい位置にわかりやすいフォントで記載。
具体的なアクションの詳細の説明はそのあとでokです。
CTAを最適化する
登録者がスムーズに次のアクションを行えるようにしましょう。
メールにボタンを配置する場合、たかがボタンと侮るべからず。
ボタン一つでエンゲージメントは変わります。
ボタンは「送信」「エンター」「ここをクリック」などのような単純なものは避けてください。文脈や自分のブランドに合った文言にしましょう。思わず押したくなるポジティブな言葉を選ぶと効果的です。
例)
×「送信」「エンター」「ここをクリック」
○「やってみよう」「参加します」「仲間になる」
エンゲージメントを生む画像を追加する
ストーリーに沿った画像を積極的に使いましょう。
特にアニメーション動画のついたGIF画像がオススメです。
アニメーション動画のついたGIF画像を使うと最大26%エンゲージメントが上がったという調査があります。
GIFはGIFメーカーなどで無料で作ることができます。
(スムーズに表示させるためにファイルサイズは40Kバイト以内がベター。)
モバイルファーストのデザイン
今はほとんどの人がメールチェックも携帯で済ましています。
モバイルフレンドリーなレイアウトにして件名は短くしましょう。
ポップアップの活用
メーリングリストを増やすための方法です。
サイト訪問者が購買プロセスから離れようとしているときにメーリングリスト登録を促すポップアップを表示させましょう。(かごまで行ったけど他のページに戻った時など)
ポップアップのポイントは4つです。
・マーケティングコピー
短くてシンプルな言葉にする
・商品画像
楽しそうな画像、商品のことがよくわかる画像を使用する。
一貫したブランディング
ポップアップのテイストはブランドのサイトのテイストに合わせる。
明確でわかりやすいCTA
メールアドレスを登録するインセンティブ、メリットを明確に書く。
ポップアップ機能としては「Privy」を使っています。
かご落ちメールの活用
オンラインショッピングの60%〜80%が「かご落ち」します。
かご落ちの理由は様々です。
・想定外の費用
(こんな送料がかかると思ってなかった。。)
・閲覧しているだけ
(I'm just looking)
・もっと安いものを見つけた
(別サイトのこっちの方が安い!)
・時間がかかりすぎた
(買うまでに何クリックもするの疲れた。。)
・気がそれた
(あ、友達からLINEだ。どれどれ。。)
このような様々な理由で起るかご落ちを「かご落ちメールの配信」で5%〜11%防ぐことができます。
かご落ちメールのポイントは、しつこくならない程度に急を要する感じを伝えることです。
商品のキャンペーンコードを合わせて送って今すぐ買いたくなる動機付けをすることもできます。
注文確認メールの活用
注文確認メールは一番簡単に改善できるポイントです。
注文確認メールをテンプレートの決まりきった内容だけで送っていませんか?
注文確認メールの開封率はその他のメールより50%〜70%高いです。
通常ブロードキャストメールの開封率・・・ 20%
注文確認メールの開封率・・・70%〜90%
この圧倒的開封率!テンプレートのまま使っていてはもったいないです。注文確認メールを最大限活用しましょう!
例えば
・コミュニティへの参加を促す
・facebookやインスタグラムへ誘導する
・期間限定で追加購入なら無料配送をするキャンペーンなどを盛り込む
・次回の購入が割引される紹介リンクを友人や家族に送るよう伝える
など信頼を築く取り組みを注文確認メールに盛り込みましょう!
購入後のフォローアップ
購入後にメールのレビューの投稿を依頼したり、意見を投稿してもらうためのメールを送信しましょう。
お客様が何を求めているかカスタマーサービスにメールしてもらうよう伝えるのも一手です。
メールマーケティングの成果の測り方
メールマーケティングの成果はどのように測れば良いのでしょうか?
成果の評価基準
メールマーケティングの成果の評価基準は4つあります。
・開封率
・クリック率
・購読解除率
・収益
開封率は20%〜40%が良いとされます。メールマーケティング立ち上げ初期の方が高い開封率になる傾向があります。
受信者に届いたメールのうち1回でもクリックされた割合を示すのがクリック率です。一般的には5%前後と言われています。メール内の画像とCTA(ボタンなど)がクリック率を大きく左右するポイントです。
購読解除率はどのメールがマイナスだったのかを明確にし、将来のキャンペーンにつなげるデータとなります。
そして最終的にメールマーケティングによって収益が上がるかが重要です。
成功しているブランドでは売上の20%がメールマーケティングによる売上だそうです。
A/Bテスト
A/Bテストにより客観的な評価が得られ、より良いメールを作ることができます。
メールマーケティングでのA/Bテストの方法を説明すると、まずメール配信先をA・B・Cの3つのグループに分けます。
先にAグループとBグループに別々の内容のメールを送り、より良い反応がえらえた内容でCグループにメールを送るという手順です。
A/Bテストで比較する項目は
・件名
・送信者名
・コンテンツ
・曜日と時刻
件名は開封率に一番影響するのでこだわるべし。
送信者名は社名、個人名、ブランド名のどれが良いのか試します。
コンテンツはどの画像が良いか、どの文章が良いかです。
送信する曜日と時刻は、ある調査によると火曜日と木曜の午前中が一番高いそうです。
まとめ
メールマーケティングはお客様との信頼を築くためのものです。
メールやESPの機能をそれぞれ理解して使えば、エンゲージメントも工夫次第で飛躍的にあげることができます。
なお今、EC店舗がコロナショックの影響を受けている場合、大切なことは共感力と透明性を保ったメールを発信をすることです。
今回のコロナショックで、サプライチェーンが途絶えている、従業員に対して自宅待機の対策をとっているなど、必ずしもお客様にとっては喜ばしい事ではないことも、隠さずに丁寧に透明性をもって伝えるのが信頼につながります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
ビジネスで活用して頂くための参考になれば幸いです!
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