短歌 まとめ 10~12月 (十二首)
【短歌】
トークノートなどにあげた短歌をテキストノートにまとめました(ひと言コメント付き)。今回は10ー12月分の十二首です。
あてもなく出かけたはずが
気がつくとまたここにいる
またここにいる
(2015.10.3)
※目的もなくぶらりと出かけてはいろんな街を歩いたりするのですが、いつだって最後はもっとも落ちつく場所に帰ってしまいます。僕のなかではそれが吉祥寺なんですね。
きみのため
死ねるといえる
馬鹿がいて
目を細めてる
その光量に
(2015.10.7)
※この歌の前に、【シークエンス】のコメント欄で『愛と誠』のセリフの話があって、これを言えるって眩しいほどの光量だなと思った次第です。はい。
ついてない
というあなたの
かなしみが
いちょうなみきの
ふきだまりのうえ
(2015.10.14)
※「ついてない」という言葉って、よほどじゃないと口をつかないと思うのですね。たぶん、一度発してしまった言葉は重いから風に飛ばされないで道のうえにいつまでも転がっている。かなしい光景ですよね。
真夜中に
冷蔵庫震え
突然の
我が心臓と
共振し傷む
(2015.10.16)
※真夜中にキッチンの換気扇のしたで煙草を吸っていると(僕は煙草を吸います)、急に冷蔵庫が唸りだして動悸と共振するときがあります。
颯爽とゆく月曜日肩を押し
重い足どり駅の階段
(2015.10.26)
※たまに世の中から月曜日が消えてなくなればいいなんて思ってしまうことがありますね。火~金は思わないんですけどね。すべての月曜日がさわやかになればいいですね。
まだ夏の
名残探して
夕闇に
呼び戻すのは
枯れ葉踏む音
(2015.11.2)
※この秋冬は暖かかったので、いつまでも衣替えができなかったのですね。服も心も。
だめなんだよ、と目を伏せて霜月の
止まり木のうえ吸い殻の紅
(2015.11.12)
※Twitterに掲載したものです。なんだか意味深ですね。きっとどこかのカウンターで酔っていたのでしょう。
はじまりは
おわりのあとに
やってきて
ふりかえらずに
くちぶえをふき
(2015.11.16)
※口笛っていいですよね。でもあまり吹く機会がなくて、しばらく吹いていないとうまく音がでないんですよね。僕にとって詩や小説のなかの重要なアイテムなのです。
青空に
くちびる噛んで
こらえてる
ひかりの量と
そぐわぬ心
(2015.11.27)
※10月までは雨が降り続けていたのでなおのこと、晴れ渡る11月が眩しかったのですね。天気に気持ちがついていかないことってありますよね。
見あげれば雲の切れ間にオリオンの
三つ星灯りそっと手にする
(2015.12.17)
※これは【シークエンス】で書いた物語の帰結として詠んだものですね。「星が見える場所」をご覧ください。
いくつもの
夜空あおいで
終電車
変わらぬ月は
年の瀬もなく
(2015.12.19)
※年末の忙しさ(夜の)で遅い帰宅が多く、この慌ただしさも月から見れば平坦な日常だよなと思った次第です。
ゆく年を
惜しみ見あげる
夕空に
361日の月
(2015.12.26)
※月が続きますね。僕はある時期から月のことが気になりだして、地学的な資料を調べたり、物語的な文献を調べたりしました。今も月の話をnoteに連載中(休載中?)ですが、よく考えたら月を空を見あげてばかりいるのって現実逃避なのでしょうね。でも現実っていったい何なのでしょう?!
さて、今回のまとめ、いかがでしたでしょうか。今後の参考にご意見ご感想ひと言コメントなどいただけるとうれしいです。
そして改めまして、今年もよろしくお願いします!
ではまた、次のまとめの際に、お会いしましょう。
tamito
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