短歌 まとめ 7月(十一首)

【短歌】

 

※トークノートなどにあげた短歌をテキストノートにまとめました(ひと言コメント付き)。今回は7月分の11首です。

 

 

質量のあるものだけを恃みにし
風に転がる空きカン見つめ

(2015.7.9)

※ほんとうは在るものだけじゃなく、目に見えないもの(無いもの)が人にとって大事なのに、生活という在るものに縛られて、ただ風に転がる空きカンを見つめている。それも在るものとして。

 

街にいて
傘ごしの空
灯を照らし
散る花の夢
くりかえし見る

(2015.7.9)

※都心の街の灯はくもり空に映るくらい明るくて、まるで花火のようだと傘ごしに見あげ、いつかの花火を思い出している。

 

足りないと
思いめぐらせ
足るをしる
見えるものだけ
見えるものだけ

(2015.7.10)

※そのまんまですね。最初の歌と一緒で漠とした足りない思いは封じ込めて、身のまわりの見えるものだけを信じて生きようという意思表示。

 

怯えてる
昨日と明日の狭間にて
時計の針に
壊れることに

(2015.7.13)

※眠れぬ夜シリーズ(?)。眠れぬ夜はろくなことを考えません。Twitterで初出。noteは初掲載です。

 

ひかり跳ね
街の輪郭
際立たせ
鉄塔の影
夏のいろ濃く

(2015.7.13)

※本格的な夏の日射しが輪郭を際立たせ、いよいよ夏のいろが濃くなるタイミングで詠みました。

 

深海に並ぶふたつの貝に似て
月のない夜
帰れない影

(2015.7.17)

※月のないくもり空に影はどこかへ行ってしまって、いつまでも帰ることができないでいる。深海のように静かな場所でただ並んでいる。……「スキ」をいっぱいもらいました。ありがとうございます。

 

明け方に
わずか短い夏を鳴く
蝉 生き急いでるような声

(2015.7.21)

※そのまんまですが、作者の生き急ぐ気持ちも重ねているようですよ。

 

塗りかさね
輪郭までも
色まざり
それぞれの青
復元してる

(2015.7.23)

※人と人との関係は近寄りすぎると色と同じで混ざってしまうので、ときに、それぞれの個性を見つめ直したほうがいい。そんな風に思います。

 

鮮やかな
光と影の対照に
街ゆくデニム
色褪せている

(2015.7.24)

※真夏の光が眩しすぎて、くたびれた自分に気づかされる。そんなことの多い今年の夏です。

 

ぎらぎらと
照る日のひかり
影もなく
居どころもない
淋しさもある

(2015.7.27)

※最後、「きみの淋しさ」から変えました。掲載してすぐに、ああ、こっちだった! と思ったのですが、トークノートは修正できず。逃がれられない淋しさはまるで真昼の日射しのようです。

 

あえばまた
表のことば
行き交って
手をふる裏で
言えないことば

(2015.7.31)

※そのまんまですね。そんなことってありますよね。えっ、ありますよね?

 

さて、今回のまとめとコメント、いかがでしたでしょうか。今後の参考にご意見ご感想ひと言コメントなどいただけるとうれしいです。

前回のまとめ

前々回のまとめ

ではまた、次のまとめの際に、お会いしましょう。

 

tamito

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